フィクション?ノンフィクション?
記憶に関する数々のドキュメンタリーを撮ってきた是枝監督。そんな監督らしく、この映画は
ドキュメンタリーと虚構の物語の間を行ったり来たりします。
この作品に登場する半分は著名な俳優さんたち。もう半分は街頭で声を掛けた、「ふつうの」人たちなのです。
「あなたの人生の中から大切な思い出をひとつだけ選んで下さい」という問いに、台本通りに答える俳優さんと、実人生に即して答えるふつうの人たち。それがやがて、誰が虚構の話しをしていて、誰が本当の話しをしているか、分からなくなってしまいます。
あまりにみんなイキイキと話すから。そしてその話が、おとぎ話のように美しかったり、悲しかったりするから。
もしかして、「記憶」とは、こんなふうにフィクションとノンフィクションのはざまで揺れているものなのかもしれないと思わせる、静かで優しい作品です。