バッハ:フランス組曲第2番&4番&6番

リヒテル(スヴャトスラフ)2007-09-26 - ユニバーサル ミュ... 価格 ¥ 1,164
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バッハ:フランス組曲第2番&4番&6番

リヒテル(スヴャトスラフ)
ユニバーサル ミュージック クラシック

価格(new/used): 1,164 円 / -- 円 より
発売日: (2007-09-26) アマゾン売上ランキング: 27170 位
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収録曲のリスト
  1. フランス組曲 第2番 ハ短調 BWV813 アルマンド
  2. フランス組曲 第2番 ハ短調 BWV813 クーラント
  3. フランス組曲 第2番 ハ短調 BWV813 サラバンド
  4. フランス組曲 第2番 ハ短調 BWV813 エール
  5. フランス組曲 第2番 ハ短調 BWV813 メヌエットI フランス組曲 第2番 ハ短調 BWV813 メヌエットII
  6. フランス組曲 第2番 ハ短調 BWV813 ジーグ
  7. フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815a プレリュード
  8. フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815a アルマンド
  9. フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815a クーラント
  10. フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815a サラバンド
  11. フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815a ガヴォットI フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815a ガヴォットII
  12. フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815a メヌエット(BWV815)
  13. フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815a エール
  14. フランス組曲 第4番 変ホ長調 BWV815a ジーグ(BWV815)
  15. フランス組曲 第6番 ホ長調 BWV817 アルマンド
  16. フランス組曲 第6番 ホ長調 BWV817 クーラント
  17. フランス組曲 第6番 ホ長調 BWV817 サラバンド
  18. フランス組曲 第6番 ホ長調 BWV817 ガヴォット
  19. フランス組曲 第6番 ホ長調 BWV817 ポロネーズ
  20. フランス組曲 第6番 ホ長調 BWV817 ブーレ
  21. フランス組曲 第6番 ホ長調 BWV817 メヌエット
  22. フランス組曲 第6番 ホ長調 BWV817 ジーグ
  23. トッカータ ニ短調 BWV913
  24. トッカータ ト長調 BWV916
  25. ファンタジア ハ短調 BWV906
[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 1件

バッハに対する共感が滲み出た演奏
 リヒテルは生涯に大きく変化したピアニストである。西側にデビューした当時はその比類なき完全な技巧に裏打ちされた巨大なスケールとダイナミズムによって巨人的な演奏家と仰がれていたが、年を経るにつれ若き頃の激しさは影を潜め、次第に音楽の内面を見つめた内省的な芸術に変化していった。特に、リヒテル全盛期の演奏は二つの側面が高次の次元で互いに融和して、完成度の非常に高い演奏を残している。例えば、平均率クラヴィーア曲集やシューベルトの最後のピアノソナタなどは彼にしか成し得ない隔絶した世界を作り出している。その彼が、晩年には主にライブ演奏で数々の録音を残しているが、その中でこのバッハは特別なものであろう。
 ここには全盛期のような我々聴き手に全く媚びない孤高の世界は存在しない。むしろその逆で、親密な雰囲気に満ちたものとなっている。録音には聴衆の拍手も収められているが、それから推測する限り小さな会場でのリサイタルに思える。リヒテルは生涯を通じて大きな演奏会場は好まなかったと言われているが、とりわけ晩年はその傾向が強かったのかもしれない。しかし、演奏はバッハに対する限りない共感に満ちたものである。ここに収められたフランス組曲は荘重で厳格なイギリス組曲に比べて、形式も比較的自由で全体的に柔和かつ優雅な趣を湛えている。バッハの二人目の妻アンナ・マグダレーナのために作曲されたという経緯があるためかもしれない。この曲をリヒテルは晩年の演奏に共通する一音一音を慈しみをもって奏し、繊細な表情付けを行なった演奏をしている。。イギリス組曲ではその特徴が曲によってマイナスとなる部分があったが、フランス組曲では曲想にマッチしてかどれも美しい仕上がりを見せている。一つ一つの曲が様々な魅力を持った生きた珠玉の曲として光り輝いている。これは晩年のリヒテルにしかなせないものであろう。 
 時にリヒテルのバッハは過剰にロマン的な解釈として批判される事があるが、確かに現在から見ればその感は否めない。しかし、これほどバッハを自由な精神をもって豊かに奏でた演奏家はリヒテル以外にはいないのではないだろうか。音楽的ドグマや時代考証には見向きもせず、ただ自身の感性に則して自らが想うままに厳しく音楽と向き合ったからこそ、これほど共感に溢れた演奏が成し得たのではなかろうか。「リヒテルのバッハ」ではあるが、私はこのように作曲者と演奏者の間に音楽を通じた絆が感じられる演奏のほうが好きである。その想いがこのように後世に残された事は幸いな事であった。