悪い奴ほどよく眠る<普及版> [DVD]

東宝2007-12-07 - 東宝 価格 ¥ 1,995
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悪い奴ほどよく眠る<普及版> [DVD]

東宝

価格(new/used): 1,995 円 / 2,555 円 より
発売日: (2007-12-07) アマゾン売上ランキング: 22804 位
DVD / 在庫あり。
[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 6件

今まで他で見たことのないラストシーンの衝撃!
三船と仲代達矢の決闘の迫力や、群集劇的な面白さの点では「用心棒」より
「椿三十郎」のほうがずっと好きである。また、後期のカラー時代劇大作よりも、
「虎の尾を踏む男たち」・「一番美しく」のような初期の小品に味わい深さを感じる。

そして、中期の白黒時代の黒澤作品はどれも傑作ぞろいなので、あまり期待せずに
見た「醜聞」の、スピード感あふれる作りに新鮮な驚きを感じた。そして、続いて
見たこの「悪い奴ほどよく眠る」には、今まで見たことない強い衝撃を受けた。

自殺した父親の復讐を果たすために、脅迫、窃盗はもちろん、殺人も厭わぬ勢いで
犯人をぐいぐいと追い詰めていくあたりの面白さと迫力。光と影を巧みに取り入れて
画面に緊張と不安を演出する映像の見事さ。最後の全く意外な展開と、それを象徴的に
描いた場面の与える衝撃!

黒澤監督の凄さとは、脚本の面白さ、映像の斬新さ、俳優たちのうまさ、以上の3つが
そろっていることで、何度も見直すに耐える作品に仕上がっていることだ。
黒澤版スリラー
公開当時、あまりヒットせず、評論家からも酷評されたそうですが、時代が追い付かない位の内容とサスペンスに理解できる人が少なかったのでしよう。人物描写を何人かで語らせながら一気にストーリーを説明させる方法は、この作品が世界で初めてだ、とコッポラも言っています。冒頭の結婚式のケーキ、自分の葬式を自分の眼で確認するする怖さ、ラストのレインコートの不気味さ。電話相手の謎。これは立派なスリラー映画です。白黒の画面が一層の恐怖感を煽っています。カラーだと魅力は半減したかも知れません。黒澤監督はどんな映画でも創る事ができたんですねー。CGを多用した作品も観て観たかった。
理想主義者黒澤
黒澤明監督は昭和三十年代、これと、“生き物の記録”“天国と地獄”という現代劇を作っています。 二十年代の現代劇は八本なのでかなり数が減っています。しかしながら、この三本には二十年代の作品を束にしてもかなわないような濃厚な内容があります。 娯楽性、映画的完成度という点では“天国と地獄”がなんといっても一番でしょうが、実は残りの二本のほうが興味深い作品であると私は思います。

この二本の作品の中で、主人公は自分よりも圧倒的に強大な力を持った相手に徒手空拳で立ち向かい、破滅します。 一般的な批評では、あのように無謀な戦いを挑む人間などはもともといないのだから、そのようなキャラクターを作ること自体がすでにストーリーを破綻させている、という主張が多いようで、それはそれで分かります。 しかしながら、そもそも人があの様な無謀な戦いを挑まないのは、挑まないことが正当なことなのだからではなく、保身−つまり、生き延びることが目的だからにすぎません。 黒澤作品の凄みというのは、主人公の行動を通して、ルサンチマンを抱えながらもとにかく生き延びることが何より大事−というのは本当なのだろうか、それよりももっと大事な“大儀”なるものがあるのではないか、というところまで我々に想起させてしまう(主人公たちは大儀という言葉は使いませんが、その原理に従って行動しています)ところにあると思います。 理想主義者が時折見せる狂気、そしてその圧倒的な力強さは確かに私たちを奮い立たせる−それが黒澤失敗作を見る醍醐味だろうと私は思っています。 そういう意味で、この作品は必見です。
小川徹の慧眼−−抵抗者と大衆の共存と言ふ視点
 この映画の中に印象的な科白(せりふ)が有る。それは、主人公(三船敏郎)が、当初は利用する積もりに過ぎなかった公団総裁の娘(香川京子)に愛情を抱いてしまった際、同志(加藤武)の前で口にするこの科白である。−−「悪を憎むと言ふのは、大変な事だ。・・・」
 この映画は、公開当時、批評家からは高い評価を受けなかった様である。黒澤明監督の賛美者である佐藤忠男氏なども、この映画には少々批判的である。(佐藤忠男『黒沢明の世界』三一書房・1969年参照)そんな中で、異色の映画評論家として知られた小川徹(1914〜1989)は、この映画を高く評価した。小川徹によれば、この作品は、悪に対して抵抗を試みる抵抗者と、悪との戦ひなどしようとしない平和愛好的な大衆が、いかに共存するか?と言ふテーマを描いて居ると言ふのである。(小川徹『日本映画作家論』三一書房・1965年参照)悪に戦いを挑む抵抗者と、悪を恐れ、戦ふ事を躊躇する大衆の対立と言ふ図式は、『七人の侍』にも見られる構図であるが、黒沢作品に流れるこうしたテーマ−−抵抗者と大衆はいかに対立し、共存するか?−−に着目した小川徹の視点は、実に秀逸であった。
 ところで、私の知人で、政界に詳しい人が、こんな事を言った事が有る。−−「政界って、本当に人が死ぬからね。『悪い奴ほどよく眠る』みたいな事が本当に有るからね。」−−恐ろしい話である。映画の最後に掛かって来るあの電話は、何処から掛かって来たのだろうか?・・・・・

(西岡昌紀・内科医)
汚職や腐敗を扱った映画としては、ストレートすぎるきらいもあるが、脚本の巧さと演出力で一気に見せる
 この映画に★5個の評価を与えるかどうかは悩むところである。これほどストレートに役人の汚職や役人を描くのは単純すぎるのではないだろうか、あるいは香川京子への三船の愛情は描かない方が(あるいは逆にもっとドラマの主軸の展開に絡ませても)よかったのではないだろうか、最後の場面で巨悪が姿を見せずに終わってしまうのは消化不良ではないだろうか、といった疑問の数々が常に頭をよぎるのも事実である。しかし、それでも何回も繰り返し見てしまう脚本の上手さと演出のダイナミズムに圧倒される。コッポラがこの映画が大のお気に入りというのも頷ける。一般的には黒澤明の失敗作(それでも普通の監督にはとてもこのレベルの映画は作れない)と評されることが多いが、生き物の記録」といい、この「悪い奴ほどよく眠る」といい何かに憑かれたような黒澤の演出力には脱帽する他ない。


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