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〈謎(エニグマ)〉~甦るロシアの巨人 |
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〈謎(エニグマ)〉~甦るロシアの巨人ワーナーミュージック・ジャパン 価格(new/used): 3,647 円 / 2,780 円 より 発売日: (2006-01-18) アマゾン売上ランキング: 17125 位 DVD / 通常24時間以内に発送 [ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 5件 リヒテルの音楽との対し方、その音楽の孤高の輝きが、ひしひしと感じられるドキュメント映像ですネイガウスに師事した青年時代から、幾多の優れた音楽家との出会い、世界的な活躍と賞賛、「リヒテルという人は消え、ただその見事な音楽だけが在る」とでもいった晩年の境地まで、偉大なるピアニスト、スビャトスラフ・リヒテル(1915-1997)の足跡をたどっていくドキュメンタリー。リヒテルその人と妻ニーナのふたりのコメントを挟みながら、興味深く、見ごたえのあるリヒテルの演奏風景などの映像が展開されていきます。 まず胸打たれたのは、音楽そのものと向き合うリヒテルの、真摯で謙虚な姿でした。日記の記述を見ながらインタビューに答えるリヒテルの話を聞きながら、あれほどの名声とは裏腹に、ひとり、凛として音楽を奏で、歌っていく天才ピアニストの凄さ、素晴らしさがひしひしと伝わってきて、しんとした思いに包まれたのです。 初々しい若さにあふれていた青年リヒテルの姿。プロコフィエフやショスタコーヴィチといった大物作曲家との映像、とりわけ、英国の作曲家ブリテンと、モーツァルトのピアノ連弾曲を録音した際の映像、リヒテルを賛嘆の眼差しで見やるブリテン。ヴァイオリンのオイストラフや、リート歌手のフィッシャー=ディースカウとの競演など、歴史的な音楽シーンの数々の魅惑。全部で二時間半の映像の中に、深い輝きに満ちた音楽の宝物が、ぎゅっと詰まっているんですね。感動しました。 おしまいに、この映像に登場した、こちらも偉大なふたりのピアニストのリヒテル讃を紹介して、拙文の終わりといたします。 <信じられないほどの素晴らしさだった。ピアノのあんな響きは、聴いたことがない> アルトゥール・ルービンシュタイン <技巧そのものにはあまり関心を向けない。自己と楽曲の運命的な絆を重視し、聴衆を幻想世界に巻き込んでいく。重要なのは演奏ではなく、音楽そのもの。現代、その最も優れた例が、リヒテルだ> グレン・グールド リヒテルが自ら語る真実リヒテルの死の翌年に公開された貴重なインタビュー〜ドキュメンタリー調の映画である。 2部構成となっており、前半は彼の生い立ちをメインとし、 後半は親交のあったミュージシャン達にまつわる貴重なエピソードも収められている。 最晩年のリヒテル自らが語る一言一言は実に重く、ついつい涙腺が緩んでしまう。 政治的抑制に屈する事無く、純粋に音楽と共に生き抜いた彼の生々しい言葉・表情、 そして数々の貴重な映像から我々が学ぶべきことは実に多い。 特に口にはされていないが、彼が最も望んでいたのは「平和」だったのではなかろうか・・・ 全体としてあまりにもシリアスなつくりのため、このDVDを観て以来、 シューベルトのピアノソナタ第21番の第2楽章を聴くと胸が締め付けられてしまいます。 リヒテルの音楽に一度でも共鳴したことがある人には是非観ていただきたいと切に思います。 リヒテルへの感謝・畏敬の念が永遠となることでしょう。 そして、自分に厳しく他人に優しいリヒテルの愛を感じてほしいです。 あの時代を生き、弾いたということ。晩年のリヒテルがインタビューされて、生涯をふりかえる、という構成。途中で奥さんが出てきたり、師匠が語り始めたり、おもしろいです。ものすごい名演もちょこちょこ挟まれつつ、海の映像なんかも挟まれつつ…体制とか権力とかそういう世俗的なものから極力離れて生きた、リヒテルに寄り添い共感できる内容になっています。映画としても、おすすめかもしれません(ストローブ=ユイレとか小津安二郎とかいけちゃう人は)。 演奏家(またその生き方)にとって、印象的な言葉もぎっしり詰まっているすてきなDVDだと感じました。 エニグマ(謎)を解く!リヒテル様・死の直前のインタビュー! 今までの沈黙を破り、よく話す気になったものです。 20世紀の貴重映像をまじえ、 本人の口から、 衝撃の生い立ちや交流のあった音楽家の話が聞けます。 リスト役で出演した映画の話は面白かったし 、奥様とのなれそめも面白かった。 しかしインタビューが終わりに近づくにつれ、 世紀の大巨匠のイメージから離れ、1人の淋しい老人の姿になっていきます。 ご本人が「もう引退だよ」とつぶやき 「自分が気に入らない、フショー(終わり)」 が最後の言葉です。 涙なくしては見られませんでした。 エニグマ、一生大切にします! 映像も構成も素晴らしい!彼の演奏も効果的に配置されています。 ドイツ人リヒテルの悲劇と栄光リヒテルが、何度目かの日本公演で日本を訪れたの事である。或る場で、リヒテルが、「私は、ドイツ人だ。」と言った事が有った。それは、極く少人数の人々しか居ない場で、リヒテルが、不意に口にした言葉であった。私は、その時、その場でその言葉を聞いた人物から、リヒテルが「私はドイツ人だ」と言ったと聞かされ、何か複雑な事情が有る事を察した。しかし、当時は、ソ連時代で、リヒテルのルーツは、彼の数度に渡る来日にも関わらず、ゴルゴ13のルーツと同様、謎(エニグマ)だったのである。(1970年代には、リヒテルは、ユダヤ人だと言はれる事すら有った。) このドキュメンタリーを見て、私は、リヒテルのその言葉−−「私は、ドイツ人だ。」−−に籠められた悲劇を知った。ドイツ人であったリヒテルの父は、第二次大戦中、ドイツへの協力者と見なされ、ソ連の手で処刑されて居たのである。 そして、その、ドイツの協力者として処刑された父を持ったリヒテルが、その後、スターリン時代のソ連において、20代にして、プロコフィエフの2つのピアノソナタの初演者に選ばれ、ソ連を代表するピアニストと成ったと言ふ彼の人生は、数奇と呼ぶ他は無いものである。 リヒテルは、同時に、ロシアを深く愛して居た。−−リヒテルが初来日した際、彼が演奏したあの『展覧会の絵』は、彼のロシアへの深い愛情無しには考えられない芸術である。そんな彼のアイデンティティーには、20世紀と言ふ世紀の悲劇と栄光が、凝縮されて居る。 (西岡昌紀・内科医/ヨーロッパの大戦終結から61年目の5月に) |