早春 [DVD]

松竹2005-08-27 - 松竹 価格 ¥ 3,159
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早春 [DVD]

松竹

価格(new/used): 3,159 円 / 2,700 円 より
発売日: (2005-08-27) アマゾン売上ランキング: 87914 位
DVD / 在庫切れ
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 3件

異色の小津作品。青春群像劇の秀作。昭和30年頃の時代が感じられ
父と子、親子、家庭を描き続けた小津監督の作品では珍しく生臭さのある作品。残念ながらリアルタイムでは見ていない。蒲田から通う会社員がいつしか友達グループとなる。この映画では、池部明と淡島千景の夫婦と岸恵子の三角関係がストーリー展開上で大きな要素となっている。岸恵子の当時としては信じられないくらいのモダンな美しさが眩しい。そして、池部良だが、子供の頃はなんて下手な俳優なんだ、と思っていた。しかし、学生時代はじめてこの映画を見たとき、男っぷりのよさとともに不思議な存在感を感じた。淡島千景も好演。さらに、忘れてならないのは、蒲田グループを構成する友人を演じる脇の俳優たち、どなたかも書いていたが、田中春男は絶品だった。小津映画の作品の台詞には独特のテンポと間があった。それがまた面白い。今から50年前、思えばうそのような当時の生活、会社でも電話一人一台はなかった。当然、冷房はなし。三種の神器といわれたテレビ、冷蔵庫、洗濯機がブームになるのはさらに2~3年後だったと記憶する。そんな当時の生活実感も懐かしい。夫が浮気し、夫婦中が悪くなったところに転勤、単身赴任するが、やがて妻もあとからやってきて元の鞘に収まる。ありきたりな話だが、独特のテンポと雰囲気、小津作品のなかでも好きな作品のひとつだ。最期に常連の笠知衆が池部良の上司、先輩で出演しているが、いい味をだしている。
池部良がかっこいいぜ
前作「東京物語」から2年以上のブランクがあいたのは、「東京物語」でひとつのピークを迎えたあとの脱力感もあるのだろうが、主な原因は例の「月は上りぬ」問題に奔走したためである。

本作は戦後急激に変わりつつある、若者の風俗を積極的に取り入れているところが新鮮。東京の蒲田駅から同じ時間の電車で出勤する若者たちがグループを作り、プライヴェートも行動を共にするが、既婚者の池部良と独身の岸恵子が「できちゃう」のでグループの結束に波紋が生ずる。もちろん池部の妻の淡島千景とも一波乱ある。しかも池部と岸が連れ込み宿に泊まり、キスまでするというドキドキのシークエンスまであるのです。

通勤グループと、池部の戦友会でのざわざわした感じはそれまでの小津作品には見られない、ちょっとした群像劇といった趣がある。したがって、いつもの小津作品に比べて、出演者が多い。これも新鮮。通勤グループのキーマンは後の「浮草」でも好演する田中春男(彼のにぎやかな大阪弁が実にいいですよね)。戦友会はもちろん加東大介(相変わらずなにをやってもウマイ!)。このように脇役に曲者を起用して、作品に絶妙のアクセントを加えるのも、小津監督は本当にうまいよね。

私の記憶が確かならば、小津作品にはこれだけにしか出ていない池部良がクールでやたらかっこいいし、その池部をいつも怒っている淡島千景が、立ち居振る舞いを含めてとても美しく撮られている。東野英治郎、杉村春子、山村聡、宮口精二や三井弘次なんかもさりげなく出てるし、そうそう、淡島の母親役の浦辺粂子がいい味出してます。ラストで池部が岡山に転勤したあとに、実家に帰っていた淡島が何日か遅れで、池部には黙って岡山についていくのが、絶妙の余韻を残す。これも名作。必見です。
美味かったなぁ、
昭和31年(1956年)作品、前作が昭和28年の「東京物語」なのでほぼ1年に1作発表してきた小津安二郎としては珍しく長いインターバルを経て発表された作品である、昭和24年の「晩春」以降積み上げてきたものが「東京物語」で圧倒的な完成を成したためにどうしても必要な休憩だったにちがいない、

本作と次作「東京暮色」は発表当時には当時の世相や流行におもねた作品と批判もされたらしいが、この年の松竹映画86本中で配給収入第3位の大ヒット作である、

確かに家族の情緒を極め細やかに描いた小津の作品歴では異色の2作品である、決して最高作品ではないし2作品ともに小津映画中で最も陰気な印象を帯びたものでありファンの好みも決定的に分かれるとおもう、次の「彼岸花」以降は再びいかにも小津作品らしい内容をカラー映画として遺作「秋刀魚の味」まで繰り返すことになる、

戦後の小津映画には繰り返し戦争の話題が隠し味のように現れ、決して声高には描かずとも自ずと戦友達への鎮魂の念が表現され作品に深みを与えているわけだが、本作は例外的に主人公池辺良たち自身が従軍世代であることを前面に描かれている、劇中の会話から推察するにには彼らは大正後期生まれで陸軍兵として最後に中国戦線に投入された世代、加藤大介がいつもの愛嬌のある顔と声で「美味かったなぁ」という台詞に注目すべきとおもう、