麦秋 [DVD]

松竹2005-08-27 - 松竹 価格 ¥ 1,861
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麦秋 [DVD]

松竹

価格(new/used): 1,861 円 / 2,680 円 より
発売日: (2005-08-27) アマゾン売上ランキング: 45201 位
DVD / 在庫切れ
[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 7件

正真正銘の傑作
★何個有っても足りない、私の最も好きな小津作品です。彼の作品は、淡々したドラマの中にもしっかりと人間を描いているのですが、本作は、その傑作群の中でも抜きん出ていると思います。登場人物の台詞・仕草に注目すると、単に一家族の枠組が崩壊していく様だけを描いた作品ではないことに気が付くと思います。素晴らしいショットを多々見せつつ、群集劇において人間のある一面を描いた見事な作品です。哀しさを全て後ろ姿で描いているのも古風で良いと思います。それに比べ、最近の映画やテレビドラマの過剰な演出にはうんざりさせられます。
名作
「晩春」や「東京物語」と同じような格調高さを持つ、戦後初期の名作です。
有名な「東京物語」は、いわばこの作品の続編的内容と言われています。
特徴的なのは戦後小津作品での偏在的キャラクターである「周吉」を、笠智衆ではなく菅井一郎が演じていることで、そのため笠はいつになく若々しく怒りっぽい家長の姿になっています。
ミクロで見れば個々の家族が結びつきまた離れていく、しかしマクロで見れば家族の絆というものは代々受け継がれていくのだという小津の輪廻観のようなものがテーマであると言えます。
いうまでもないことですが杉村春子の「あんパン」シーンが大変素晴らしく、この映画のハイライトといって良いと思います。必見です。
戦後の日本を垣間見れた気がした
映画に映し出される平凡な日常生活のすべてが、この時代を知らない私にはとても新鮮に感じた。当時の人々の喜怒哀楽に満ちた生活風景から、おいしそうなご飯、ショートケーキに喫茶店、おしゃれな椅子が置かれた畳部屋から懐かしい日本の家の構造まで、すべてがとても新鮮で、でもどこか懐かしい。当時の家族観はもちろんだが、戦争に関する会話もとても印象に残った。すべての人が幸せそうに生きているように見えて、しかし多くの人は戦争の傷跡を心の底にそっとしまって精一杯生きている、そんな時代が日本にあったのだなということを教えられた。また急激に変わっていった(現在も変わりつつある)日本社会の中にあって、さりげなく映し出された今とほとんど変わりない鎌倉の大仏や江ノ島の風景が印象に残った。
小津のマスターピース
 小津の最高傑作というと 本作と「東京物語」「晩春」あたりが 先頭争いになるのかと思う。「小津の最高傑作とは何か」という設問自体が あまり意味が無いと思うが 「小津で一番好きな作品は何か」という設問には即答できる。本作である。

 何が良いのか。原節子は輝く美しさであるし泣き顔も素敵である。笠智衆の珍しい若作りも楽しい。東山千栄子の大きな体も母性を思わせる。そうして 何より杉村春子の演技足るや 入神と言っても良い。演じておられる俳優の代表的な作品に仕上がっている豪華さがある。

 しかし それだけでは説明のつかない感動に満ち溢れる。映画の感動には 話の筋、演技等もあるが 「一瞬の映像の切れ味」も大きいと思う。その意味では 本作の一家離散の前の記念写真の場面には心を打たれるし 最後の 麦畑を行く婚礼行列には 理由はわからないが涙がにじんでしまうのが毎回である。「離散する家族」と「婚礼により新しく誕生する家族」のコントラクトに感動しているのであろうか? 自問自答しても 答えは解らない。

麦の秋は初夏:おわりとはじまり
麦の刈り入れは5月ごろで、この作品の英名にearly summerつまり初夏と振ってあるのを見ました。

あることの終わりと、また別のことの始まりが重なっていて、さみしいようなうれしいような、
そんな感覚が表題にうまく託されている気がします。

また、なんの変哲もない出来事ばかりが淡々と連ねられていますが、
だからこそ、知る由もない1951年前後の空気を感じることができる気がします。

「やけに子供が増えたな」というせりふや実際ひっくり返したようにして遊ぶ子供たちは、
10数年後学園紛争の時代をへて、現在の2007年問題とかいう流れに出会っている世代に相当するのかなと思うと、
これはまんざら今と無関係のことでもないのかなという気がしてきます。

めぐるもの、が主題のひとつだと思いますが、すばらしい映画です。