悲情城市

紀伊國屋書店2003-04-25 - 紀伊國屋書店 価格 ¥ 3,888
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悲情城市

紀伊國屋書店

価格(new/used): 3,888 円 / 3,780 円 より
発売日: (2003-04-25) アマゾン売上ランキング: 1810 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 10件

歴史とは語り継がれ、史記は残すもの。
どの国でも、いつの時代でも代々語り継がれ積み重ねられたものが国家ではないでしょうか。日本はいつの時代から語り継がなくなったのでしょうか。1940年代以降の台湾では、日本語、台湾語、中国語が入り乱れ、価値観も様々でした。北部の港町(基隆)の林家を通じてアイデンテティーを描いているこの作品を我々日本人が評価する場合は、そうとう腹をくくらないといけません。李登輝先生の入国に対し「日本は自由の国」と発言した首相や、小林善紀先生の入境に対し「私の在任中は言論の問題で制約をつくらない」と発言した総統は腹をくくった国家元首として立派だと思い尊敬します。最期に、ヒロインの呉寛美の言う「私は道理よりも、あの人(林文清)が無事かどうかが大切だ。」という気持ちこそ、この作品の主題ではなかったのかと思います。
アジアのゴッドファーザー
というコピーを書けば、いかにも安っぽい感じがするが、
あきらかに、この作品はコッポラの「ゴッドファーザー」
を下敷きにしている。それでいて、ある意味、「ゴッド・・・」
を超えている。台詞のないトニー・レオンの演技は神がかり的だ。
小津の影響の見られる、丹念なシーンの積み重ねが、レオンの演技
を後押しする。中国の「黄色い大地」と並ぶ、アジア映画の傑作
senseの音楽もいい。
日本と中国の狭間に挟まれて
この映画は第二次世界大戦末から中国に統治されようとする台湾の史実を
映画化したものです。

まず台湾は日本から半世紀もの間の統治から開放されます。映画の中では
丁度玉音放送が流れる間に赤ん坊が生まれる。まさに台湾は日本が
産み落とした私生児と言わんばかりに!

次に中国が台湾を統治します。しかし日本以上に中国人は台湾人の扱いを
粗末に扱います。
「日本人の軍隊は良い犬だったが中国人の軍隊はそれよりも劣る」
と囁かれる。
台湾の激動期を描いた映画。現在も台湾は国連に国として認められて
おらず、中国との仲も悪い。当時の余波が残っています。
この映画を観て少しでも現在の台湾の状況を実感できればそれは
この映画を観た価値があったと言えます。
玉音放送と共に始まる外国映画−−台湾の戦後現代史は玉音放送と共に始まった
 この映画は、玉音放送と共に始まる。初めてこの映画を観た時、私は、この冒頭に衝撃を受けた。それまで、私は、昭和天皇の玉音放送(昭和20年8月15日)で始まる外国映画と言ふ物を見た事が無かったからである。いや、そんな外国映画が在る事を想像した事すら無かったのである。しかし、考えるまでも無く、台湾の現代史は、日本が降伏したこの日から−−玉音放送が流れたあの日から−−始まったのである。
 玉音放送で始まる、この映画のこの冒頭ほど、台湾の現代史を象徴して居る物は無い。そして、私が、玉音放送で始まるこの映画の冒頭に受けた衝撃こそは、日本人が、台湾と言ふ国について、いかに無知であったかを証明する物であったと、今、私は、思ふ。
 この映画を理解する事は簡単ではない。何故なら、私達日本人は、私のこの衝撃が象徴する様に、台湾の現代史について、余りにも無知だからである。しかし、だからこそ、私達日本人は、この映画を繰り返し見るべきである。台湾と言ふ国の歴史が、私達の国(日本)の歴史と、いかに不可分であるかを知る為に。

(西岡昌紀・内科医/台湾の戦後現代史が始まった日に)
私たちは台湾のことを知らなすぎた。
 私たち日本人は、昭和天皇が敗戦を宣言したときになにを考えていたのであろうか。
 大日本帝国が崩壊した日、空襲で瓦解された生活の場を考えたであろう。
 外地に出ていた兵士・民間人の生死を考えていただろう。
 同時に解放された朝鮮半島の人たち、強制連行された朝鮮半島の人たちのことも考えていただろう。
 沖縄のことをどれくらい考えていたのであろう。
 台湾のことをどれくらい考えていたのだろう。

 この映画は、台湾の映画監督が、大日本帝国の崩壊した後の台湾の歴史と社会の変遷をを克明に語ってくれる。
 最初がすごい。昭和天皇の玉音放送(敗戦の宣言)がラジオで伝わってくる。その中で、新しい赤子が誕生する。1944年8月15日がこの映画のスタートだ。
 侯孝賢(ホウ・シャヲシエン)監督は、日本の敗戦後、中国大陸より渡ってきた外省人が、民主化を求めた大衆を虐殺した1947年の「2・28事件」、さらにその後もそれに参加した者を徹底的に追求し殺害した事件をたんたんと、ある家族の歴史を通じて伝えようとする。もし、台湾に「民主化」の波がなかったらこの作品は完成されることはなかったであろうし、台湾の人のみならず私たちも「2・28事件」に関して知ることができなかったであろう。この虐殺の真実は闇に葬られていたかもしれない。
 敗戦後の日本国の歴史と、朝鮮半島の歴史、さらに中国の歴史、さらに沖縄の歴史。台湾の歴史。これらを私たちは知らされないで生きてきた。
 ゆったりとしたテンポで敗戦後の台湾の歴史は描かれていく。監督は、小津安二郎監督を尊敬していると語っているが、まさしくバタバタと動じずに多くの人たちの群像を静かに静かに伝えていく。その画面の静かさ。それ故に、歴史に翻弄される多くの人たちの悲しみが伝わってくるのである。
 私たちは台湾の歴史を知らなかった。知らされていなかった。
 様々な工夫がこの作品には込められている。
 
 これは特典をみると、「これだけ、精魂込めて作られているのか」と感動する。まさしく、本編を支えるために時間をかけ編集したことがよくわかる。
 悲しい悲しい映画である。私たちはこの作品を観ないといけない。なんどでも。繰り返し。
 「英雄」で出演していたトニー・レオンが偉大な国際俳優であったということもよくわかった。