幕末太陽傳

日活2002-11-22 - 日活 価格 ¥ 3,711
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幕末太陽傳

日活

価格(new/used): 3,711 円 / 2,960 円 より
発売日: (2002-11-22) アマゾン売上ランキング: 8549 位
DVD / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 8件

落語を知らなくても十分楽しめてしまう傑作
 他のレビュアーの方が触れているように落語の知識があれば倍に楽しめる映画ではあるが、落語の知識がゼロでも十分に楽しめてしまうほどの傑作で、事実、私が始めて見た時はネタになっている落語についての知識はまったくなかった。
 時代劇の重みも派手なチャンバラもないけれど、フランキー堺の素晴らしい動き(あの羽織を一瞬で着てしまうシーンとか)を見るだけでも面白い。例えて言うならフレッド・アステアのダンスの動きの素晴らしさと同様に、他の配役は今となっては思いつかないほどの存在感だった。他にもブレイク寸前の石原裕次郎、小林旭、二谷英明といったこの後日活の屋台骨を支えるスターの出演もあり、いまとなっては日活オールスター映画としても楽しめる。
 佐平次が女郎屋に現れてからの賑やかな楽しさとテンポの良い演出に圧倒される。これで、もし当初の構想の通りに、佐平次が時代劇のセットから現代の撮影所まで飛び出していく結末だったら最後まで突き抜けたバイタリティあふれる傑作になっていたかも知れないが、この静かなエンディングも印象的でよかった。
 川島雄三の代表作のみならず、邦画のオールタイムベストテンでは黒澤、小津、溝口、成瀬とならんでベスト10にも選出されるほどの評価を得ているのも納得できる。
久しぶりに堪能
これまでこの映画は、何度かテレビで放映されたものを見ましたが、年齢が上がると共に色々分かってきました。特にこの数年は、しばらく聞かなかった落語を聞き出したため、この作品の随所に見られる有名な古典落語の設定や歌舞伎の名台詞−「首が飛んでも動いてみせやしょう」(鶴屋南北『東海道四谷怪談』)―も良く分かり、よりいっそう、楽しめました。
なお「商品説明」に「柴浜の革財布」とあるのは、「芝浜の革財布」の誤り。1957年当時、「ヒッピー」などは影も形もありません。
落語ブーム(らしい)の今、もっと観られてもいい傑作
川島雄三作品。これは素晴らしい。1957年の作品だが全く色褪せていない。傑作。全く「もたれず」3回も観てしまいました。

幕末の品川の遊廓「相模屋」を舞台に、居残り佐平次、高杉晋作、女郎たちの様々なストーリーが展開される。
居残りというのは遊廓の勘定が支払えない時に客がやったそうです.文字通り部屋に居残って篭城すること。居残りは「下下の下下(げげのげげ)」と廓では嫌われた。

フランキー堺が本当に素晴らしい。僕自身これほどまでとは思わなかった。佐平次のクレーバな所、ピカロな所、江戸っ子なところ、そして動きの素晴らしさ。運動量の多さ(カメラは縦横無尽にそれを追う)。着物を着る仕草。どれもがピタッと決まっている。芸者を揚げているときに、芸者から太鼓のバチをうばって、それをクルクル回す(このあたりはジャズドラマーらしい)。台詞回しに少し落語家口調が入っていたりする。

全体的に明るい映画だが、佐平次が結核を病んでいて、それが映画に陰影(とうか凄味)を与えている。

板頭(その廓で最も人気のある芸者)のおそめを演じた左幸子は野太い声が「品川女郎」を演じるのに適しており、絶品である。「青べか物語」、「飢餓海峡」での演技は、本作でのアクトが踏み台になっているのだろう。この人元々体育の先生だったそうだ。

他にも「相模屋」主人の金子信雄、その妻山岡久乃(川島作品の山岡は絶品である)、若旦那徳三郎に若い(!)梅野泰靖(芦川との風呂場でのシーンが素晴らしい。特に第一声が。ラヂオの時間では千本のっこのマネージャー役)、小沢昭一(若旦那への第一声が素晴らしい)、殿山泰司(太った殿山ははじめてみた)、岡田真澄、芦川いずみ(可憐)、高杉役の石原裕次郎、小林旭(台詞がわかんない)、二谷英明、菅井きん(上手い)、杢兵衛大尽役の市村俊幸(これは凄い)、南田洋子(きれい)など豪華な役者陣が脇を添えていて、アンサンブルも強力だが、それでもフランキーの素晴らしさが群を抜いている。これは本当に凄いと思った。

役者陣は時折芝居がかった口調をするがそれが上手い。三味線の合いの手が入るところはタイミングが絶妙。この「呼吸」は今出来ないだろう。

脚本は落語から着想をえている。いくつもの噺(4つか5つ)を使っており、それらのエピソードの集積からこの作品は出来上がっている。佐平次がそれらのエピソードにからみつつ進行する。どのエピソードも非常に良く出来ている。落語から上手く「頂いている」という感じ。

物語の最初の方に57年当時の品川が映る。それから、幕末の品川に変る。こういう手法は後の「青べか物語」でも使われている。遊郭という室内を主な舞台にしているが、後年の大傑作「しとやかな獣」も団地の一室が舞台だ。

それからカメラが下から上へ上がる動きをする時、やけに気持ちいい感触を受けた

二重、三重の深みを持つ傑作
本作は日本の名画ランキングで常に上位に位置づけられる傑作だ。しかし、本作のよさを最大限に享受するためには多少前提知識を必要とするように思える。必須ではないのだが、より深く味わえるであろう。

まず、落語の筋は頭に入れておいたほうが良い。フランキー堺が演じる佐平次は落語「居残り佐平次」に登場する。この佐平次は落語三大悪人(?)に数えることができる悪いやつだ。他にもいろいろな落語から引用されているシーンが登場する。あぁ、これは「品川心中」だと内心にニヤッとするのも、この作品の楽しみ方のひとつだ。しかし、ただ登場させるだけではなく、きっちりとアレンジを施して深みを与えているのだ。本作で佐平次は単なる悪人ではない。川島雄三監督についても多少は知っておいたほうがいいだろう。公開当時の時代背景に関しても然り。

このようになかなか敷居が高い作品なのだが、それを越えてしまえば本作の持つ優れたエンターテイメント性を余すところ無く享受し、繰り返し見たくなるであろう。

文句なしの川島映画最高傑作
文句なしの川島雄三の最高傑作であり 日本の喜劇史上に燦然と輝く。主人公がコミカルなフランキー堺なるも 実は死病であった結核に罹っているという設定も 病気に苦しんだ川島監督自身の投影であり 陰影の濃い喜劇に仕立てられている。笑いながら 死を想わせる稀有の作品である。今の日本には いや 世界には そんな映画は無いと 嘆息させられるのみである。


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