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盲獣 |
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徳間ジャパンコミュニケーションズ 価格(new/used): -- 円 / 3,490 円 より 発売日: (2001-08-22) アマゾン売上ランキング: 77126 位 DVD / 在庫切れ [ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 5件 傑作人間の中に潜む狂気の世界を巧みに演出した傑作である。確かにエログロで気持ちが悪くなるところが……特に結末は……触感により快楽を得る変態的芸術家を船越英二が怪演。当時では第一級のナイスバディを誇る緑魔子も妖艶さを通りこし魔力のような魅力を放つ。個人的にはもっとエロくても……ただグロはこの程度で限界。 なんともはやこれはー乱歩の作品ほど一見簡単そうに見えて、実は映像化しにくい小説もないと思います。下手な監督だと、ただ単にエログロをぶちまけて、人間の心理のひだに分け入るあの世界観をブチ壊しかねません。この作品は奇跡的な成功作と言えると思います。 でも、乱歩の世界を描きながらも、やはりこれは増村保造の世界にもなっていると思うのです。増村監督の映画では、たとえ生命を失うことになろうとも、何か情念に取り付かれて遮二無二突き進んでいく登場人物たちがよく描かれます。たとえエログロな世界でも、人間ここまでやらなきゃだめなんだぞ、とでも言うような、ある種のストイズムさえ感じられてしまうのですが、あの何とも物悲しい林光の音楽によって(モリコーネ調のこの音楽は最高です。CD欲しい)やや悲壮感が押さえられ、“憑かれた人間の哀れ”とでもいうような雰囲気を醸し出しています。それは乱歩の世界にも部分的に共通する要素です。嘆美派乱歩と、理知派増村の不思議な合体作で、見る価値大です。 乱歩原作映画の傑作乱歩ファンならご存知のように、原作の小説は途中で作者自身も嫌気が差し、強引に終わらせています。 この映画では、原作をなぞるのではなく、むしろ原作に描かれなかったこと、あるいは描くつもりが描けなかったことに、暗き想像の翼を広げて見せました。 犯人側の心理描写の点で原作を超えており、乱歩原作の映画では、数少ない真の傑作と申せましょう。 ねっとりカルト江戸川乱歩の原作とはかなり違います。(違う点を全部挙げるとネタばらしになってしまうので挙げませんが、たとえば原作では盲目の彫刻家はもっと沢山殺します。) しかし江戸川乱歩的エスプリはしっかりつかんでいます。乱歩ファンもがっかりはしないでしょう。ストーリーに関しては、寧ろ変えたことで映画用には大変まとまりがよくなっているし、確かにこの映画に適役と思われるすばらしいボディをした緑魔子をはじめとする3人の濃密な演技が林光の音楽とあいまってねっとりとした陰惨さと隠微さをうまく醸しています。そのため、巨大女体オブジェの上や周囲を2人がこけつまろびつ駆け回ったり、半裸で刺しっこしたりする、本来はバカバカしいはずの場面も、もの悲しく且つエステティックです。最初は映画にしては舞台演劇的すぎるのではないかと思いましたが、だんだんその独特のトーンにひきこまれていく感じで、お母さん(原作では存在しない)を目の前にイチャイチャネチネチと心理戦に出る緑魔子の流し目など最高です。 盲目の彫刻家のアトリエについては、先に原作のもの凄い描写を読んでいると映画の中のアトリエに少しだけがっかりしますが、原作通りに再現することはおそらく無理なのでこれは仕方がないでしょうし、映画としてビジュアル的には成功していると思います。たとえばホドロフスキーの映画などキッチュな映像が好きな人はこの映画も好きなのではないでしょうか(ホドロフスキーほどバロックではありませんが)。1969年の映画で、冒頭に出てくる写真も60年台末っぽくてなかなかよろしいです。 江戸川乱歩映画の傑作モデルの緑魔子は、自分をモデルとした彫像を撫で回す盲人・船越英二を目撃。やがて彼女は船越とその母・千石規子によって、船越のアトリエに監禁されてしまう。魔子は必死に脱出しようとするが……。 主要人物は3人だけという舞台劇のような映画ですが、さすが増村保造監督作品。巨大な女体のオブジェが乱雑に置かれたシュールなセットを舞台に、美しくも生命力にあふれた緑魔子と船越の「触覚だけの愛」が行き着く悪夢のような愛の姿と残酷な結末を、異様な迫力で描き切っています。 「江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間」「黒蜥蜴」と並ぶ、江戸川乱歩ものの映画の傑作です。ただし完成度の高さは見事なものの、後味の悪さも凄いので、観るときはコンディションの良いときに。 |