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ある映画監督の生涯 |
| パイオニアLDC2001-09-10 - パイオニアLDC 価格 ¥ 4,501 | |
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ある映画監督の生涯パイオニアLDC 価格(new/used): 4,501 円 / 3,700 円 より 発売日: (2001-09-10) アマゾン売上ランキング: 68244 位 DVD / 在庫切れ [ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 5件 田中絹代溝口健二云々というより田中絹代主演作品という気がします。彼女にとって、若しかしたら生涯一の儲け役ではないでしょうか。溝口監督にとって重要な女優であった事は勿論ですが、新藤監督は田中絹代に相当な思い入れがあるんでしょうねえ。こういう作品を観ると、所謂ドキュメンタリーと言われるものもまた、製作者がある方向へ意図的に仕組んでいる事がよく分かります。まあ、そう言っても多くの映画人が見られるので資料価値は十二分にあります。増村保造監督のインタビューも面白いですが…これも、「『楊貴妃』、『新・平家物語』は失敗作である。」という結論ありきのインタビューなんですよね(笑)。 愛すべきゴテ健これは非常に珍しいドキュメンタリーフィルムだ。助監督を勤めたこともある新藤兼人が、自らインタビュアーとなり、名匠溝口健二の人物像に迫った記録映画である。特に溝口作品に登場した田中絹代をはじめとする女優陣や、歴代の助監督やカメラマン、美術担当へのインタビューは面白い。アカデミー受賞式で受賞者が述べる美辞麗句とは異なる、溝口に関わった者たちの生の肉声が聞ける貴重な歴史的資料ともいえる。 自分の得意分野(祇園、遊女)を扱った作品では、小道具やセット、演出にいたるまで比較的短時間でスパッと決める溝口であったが、不得意分野(楊貴妃)における溝口のあたふたぶりは、まるで子供のようだったと語る増村保造へのインタビューは印象に残る。『楊貴妃』の撮影中、途中降板させられた入江たか子は新藤の質問にまともに答えられないほどショックを受けていた様子がフィルムから伝わってくる。増村によれば、演出がなかなか決まらずイライラした溝口のとばっちり以外の何物でもないらしい。 ベネチア映画祭に田中絹代らと共にのりこんだ溝口は、賞取りに並々ならぬ執念を燃やしていたらしい。妾である姉の家で居候として少年時代を過ごした溝口は、公の機関が与える位にこだわりがあったらしいことを、脚本家川口松太郎が指摘している。同じ脚本家の依田義賢が、国際映画賞を受賞した『雨月物語』や『近松物語』が溝口本来のフィールドではない余所行きの作品であったことを感想として述べているが、それらの作品の根底に溝口の名誉欲があったことは否定できない事実であろう。 溝口との関係を噂された田中絹代への突撃インタビューは最注目だ。絹代自身は「溝口は自分が演じた役の女性を愛したスクリーン上の夫」と述べ、私生活における恋愛関係を完全否定していた。しかし、新藤に溝口が田中絹代に惚れていることをこっそり告げたことを伝えると、なんとこの老女優の目が急激にうるみはじめるのである。演技ではない女優の涙は、めったに見るこのとのできない希少な映像だ。 坂根田鶴子まで映ってる!今となってはこの作品自体が、日本映画史の上での一級資料になってしまった観があります。 何しろインタビューで登場する人々のメンツがすごすぎます。 伊藤大輔、牛原虚彦、川口松太郎、依田義賢、永田雅一、増村保造、日本最初の女流映画監督坂根田鶴子まで登場してきます。 俳優さんたちと違って、こんな人々が元気に喋っている姿が見られるなど、想像だに出来ませんでした。 ドキュメンタリーとして構成が悪いという意見もあるようですが、何しろ出てくる人達がみな錚々たる顔ぶれなので彼らの話を聞いているだけでもあきません。 溝口本人の肉声まで聞くことが出来るのは恐らく本作のみでしょう。 ただし、私家版というだけあって、溝口がどんな映画を作る人だったのかは、すでに自明のこととして構成されているために、溝口についてまだ良く知らない、という人にはちょっとお勧めできないかもしれません。でもやっぱり大した作品には違いないと思います。 新藤兼人立派!新藤兼人の1975年の作品、ぼくが強い影響をうけた映画監督は二人、大島渚と新藤兼人である。新藤兼人が師事していたのが溝口健二。日本映画の巨匠として君臨していた男。わずか58歳で死去。 新藤兼人自らインタビューして回る。かれも「先生」と呼ばれる監督。1975年、新藤兼人は1912年の生まれ故、63歳。当時としては画期的なこころみ、溝口健二を生者をもって浮き彫りにした。率直に語る証言者たち。懐かしい顔ぶれである。このような作品を思いつき、実現させるのが新藤兼人らしいところ。新藤兼人をますます尊敬。 インタビュー構想に賛否両論! わざわざインタビューして引き出す内容が新藤監督の誘導尋問に終始したという意見もあるようです。実際、見ていても、インタビューした人数が多すぎて、編集がバラバラのような気がします。一緒に仕事をしたスタッフにインタビューしたかと思えば、街の人や一般人にもインタビューして、また女優陣へのインタビューに戻り、その合間に映画の説明写真が入って…と、一応年代を追っているのでしょうけれど、もっとポイントを絞ったほうが分かりやすいと思いました。スタッフも仕事は一流かもしれませんが、素で話すとちょっと幻滅するようなしゃべり方だったり、趣旨を事前に伝えずにインタビューしたのか、溝口監督とは関係のないことを話し出したり、一般人や街の人(おそらく昔取材などをされた花街の人々や、病院関係者)に突然インタビューしたのか、軒先での「まだ生きてはったん」というような応答がそのまま撮影されていたり、気分を害する人もおられたのではないかと思います。女優陣へのインタビューも、一部が編集されていたようです。編集が時間の関係で避けられないこととしても、事前にそれを伝えて、それなりのしゃべり方をしてもらうほうがよかったのではないかと思います。不自然な途切れ方が多く、田原総一郎の政治討論のように遮断が多くて不愉快でした。が、それが溝口監督のリアリズム系譜を継承する(?)新藤監督の狙いなのかもしれません。 |