シェルブールの雨傘

ソニー・ピクチャーズエンタテイメント1998-12-24 - ソニー・ピクチャー... 価格
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シェルブールの雨傘

ソニー・ピクチャーズエンタテイメント

価格(new/used): -- 円 / 18,855 円 より
発売日: (1998-12-24) アマゾン売上ランキング: 27242 位
DVD / 在庫切れ
[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 24件

私と同じ大人がたくさんいる筈
13才のときテレビで見た。感動した。ルグランのオーケストレーションの美しい事!ルグランの音楽だけで三つもアカデミー賞候補になったんだね。取れなかったけど。この年の歌曲賞(主題歌のこと)を取ったのはいったい何だったのか、というと「いそしぎ」だった。あれも良い曲、仕方がないか。お小遣いで初めて買ったレコードは「シェルブールの雨傘」だった。いまでも持っている。私が生まれて初めて「この曲は美しい」と思った音楽がシェルブールの雨傘。それから何十年もたったが、この曲の美しさは変わらない。

音楽の次に感動したのは言わずもがなだがカトリーヌ・ドヌーブの美しさ。この映画当時19才で既に完成された大人の美と清純さを併せ持っている。肌の色の白いこと、ブロンドの可愛いこと。日本にはこういう人はいないな、と思った。背があまり高くないんだね。168cm。フランス人はあまり背が高くないんだということをその頃誰かから聞いた。親からかも知れない。いつか金髪の女性に会ってみたいと思った。映画の中でジュヌヴィエーヴとギーがダンスしたり抱き合ったりするその仕草を見ながら、恋人同士というのはこんなに仲がいいもんなんだ、僕の恋人になる人も、こんな愛らしい仕草をしてくれるのかな、と子供心に思った。日本人の目からするとイチャイチャとかベタベタとかネガティブな事を周りから言われそうだという気がした。蛇足だが、フランス語を日本語にするときはウに点々をつけてヴと書いてよいという事を知ったのはジュヌヴィエーヴの所為だった。その後、フランス映画は日本で流行らなかった所為か、カトリーヌ・ドヌーブを映画で見ることは31年間なかった。31年目に見たのは、彼女が出ていると知らずに見始めたダンサー・イン・ザ・ダークの中でだった。この場違いに美しい作業服のおばさんは、シェルブールの雨傘の面影のあるカトリーヌ・ドヌーブじゃないのか? そうだった。こんな役でも気品を漂わせているのがうれしかった。

三つ目に感動したのは、初めて聞いたフランス語の美しさだった。ギーがテノールで「モーナムー」と歌うとジュヌヴィエーヴがソプラノで「ジュテーム、ジュテーム」と応える。一度聞いただけでその音も色も響きもフランス語の歌詞さえも、何十年たっても耳が忘れない。ギーが任地に赴く列車に乗る前に歌われるこのデュエットは本当に美しく哀しくそして素晴らしい。フランス語を喋れるようになりたい、と多くの人が思っただろう。私もだ。シェルブールという町の名前も美しい。いつか行ってみたい、あの石畳のところへ。

さて、たまたまDVDが手に入ったので38年ぶりに観た。子供の頃には気がつかなかったことって、たくさんあるよね。私はギーが戦地で行方不明になって二年たっても帰ってこなかったからジュヌヴィエーヴは他の人と結婚したんだと思っていた。これは子供でも納得できる理由だ。しかし実際はギーは行方不明になっていないし、ママはギーとの結婚なんか早すぎると言っていたのがこの他の人には積極的に結婚を仕向けている。なぜ待たなかったのか・・・なぜ純愛をつらぬかなかったのか(妊娠して当座のお金にも困っていたのは分かるけど)・・・これは子供には分からない。ジュヌヴィエーヴは幸せなのか?

哀しいストーリーと裏腹に、明るい色彩の画面にはいちぶの隙間も無く、どこにカメラが切り換わっても完璧にカラーコーディネイトされている。子供の目には「フランスってこんななのかな」だったが、この映像の色使いはただ事ではない。シーンごとに全員が違う色の服に着替えている、どころじゃなく、町の壁の色から塗り替えている。ギーの自転車は黄色だけど、黄色い自転車なんてあの頃あったのだろうか?(特注したのではないか?) 町を歩く人たちがいろんな色の傘をさして無言で通り過ぎていくけど、いくらフランスだからといってそんなにいろんな色の傘をみんなが持っているだろうか? (わざわざそういう色の傘を持たせたのに違いない)ギーに召集令状が来て、明日は別れという夜に二人でカフェでカクテルを前にして抱き合うシーンでは、二人のカクテルは、ジュヌヴィエーヴのは琥珀色、ギーのは黄色。それは画面に映っている店の内装の色と同じなのだ。そのあとギーが出発する駅のプラットフォームを二人で並んで歩くシーンでは、ジュヌヴィエーヴがプラットホームに出たとたん、何の必要もないと思われるのに、唐突にコートのポケットから青いスカーフを取り出して胸のあたりに持っていく。この青はギーのシャツと同じ色だ。なるほど、青い色が並んで歩く絵を撮りたかったんだな。ジュヌヴィエーヴがコートのポケットから青いスカーフを取り出すところは「監督に言われたとおりさっさとやらなきゃ」という初々しい表情が見られてとても可愛い。(まだあるけど、全部書いたら見つける楽しみが無くなるのでこのくらいで。)
全編、カラーコーディネイトされてないシーンはひとつも無い。
ジャック・ドゥミは天才だったんだなぁ。

監督の仕掛けはまだある。ジュヌヴィエーヴが結婚式に乗った黒いメルセデスは、映画の始まってすぐにギーの修理場に入ってきた車とナンバーが同じだ。何を意味するか? 。。。

ラストシーンで、これも今まで気がつかなかったことだけど、ギーの息子はフランソワでジュヌヴィエーヴの娘はフランソワーズだということが何気なく表現されてる。二人が子供の名前として決めていた名前。ギーはそのことを奥さんには言わないだろう。ジュヌヴィエーヴは旦那に言っただろう。すべてを受け止めてくれた人だから。ジュヌヴィエーヴはギーに「あなたの娘に会うか」と聞く。ギーは黙って首を横に振る。多分もう二度と会うことのない娘、どうしてだっこしてやらないのか?
結局、だれが幸せになったんだろうか。ギーの奥さんは幸せか?ギーは? と自問するうちに雪がどんどん降り、ルグランの音楽が流れる。ギーはこのシーンのあいだ中、タバコを吸っています。なぜ・・。ジュヌヴィエーヴはミンクのコートをまとい、美容院でしかできないヘアスタイルをしている。上流階級のファッション。その女の前でタバコを吸う姿は二人が既に交わることの無い異なる世界にいることをシンボライズしているのか。。途中で男がドアを開けてガソリンは「suprieur ou ordinaire?(上級か普通か)」と聞く。なんでこんなシーンを入れたのだろう? ジュヌヴィエーヴは「どっちでもいい」と答える。どちらか決めて、suprieurですねと言われてやっと「ウイ」と答える。。ああ、これはsuprieurがあっちの生活でordinaireがギーとの生活、どちらでも良かったけれど、他の人の力でsuprieurを選ぶことになった、というメタファーなのではないか。そう考えるとジュヌヴィエーヴが事務所に入ったときギーの方を見て「ここは暖かいわ」と言ったのもメタファーなのかもしれない。

ジャック・ドミ33才 ミッシェル・ルグラン32才 のときの作品。悲恋物語は古今東西たくさんあるけれど、トリスタンとイゾルデにしても、ロミオとジュリエットにしても、ウォーク・トゥ・リメンバーにしても、クライマックスはどちらかが或いは両方とも死んじゃうから感極まってみんな泣くんだけど、シェルブールの雨傘は誰も死なないのに大泣きだ。名作。私は一度見ただけで、生涯愛する音楽と出会い、フランス語を勉強しようと思い、いつかシェルブールに行ってみたいという思いを持ち続け、45才のときパリからレンタカーを借りて思いを遂げました。このレビューのタイトルはそういう意味です。
名画とはこういう映画のこと
DVDが廃盤というのはありえません。 こういう名画は常に廉価でいつでも購入できるようにしておくべきだと思います。
ちなみに私は先日運良くスカパーで放映したのを見ることができました。
もし再発売されたらもちろん購入します。
純粋な悲恋
全台詞が歌。しかしミュージカル独特の両腕を広げたポーズやらいきなりのダンスシーンは
一切ありません。音を消して画面を見れば、まったく普通のドラマ。
挨拶も歌ですが、慣れれば不自然さは気にならなくなります。
映画中で、いくつもメロディを覚えることはないでしょう。

一方ルグランのメロディをバックにした場面ががっちり食い込んできます。
ヒットした歌謡曲のサビの部分が記憶に残りやすいように、
映画を通してのサビの場面が、あの名曲に乗って作品の方向性を決定します。
若く美しいドヌーブが涙をポロポロ流しながら恋人に倒れ掛かり、ギイと語る会話は
二人が悲恋に終わるだろうという予感。
互いを失ったら死んでしまうとまで言っていた二人は、すでに終末を予感しているのです。
そして現実はその通りになります。
違うパートナーを得て、生きるための愛を選ぶ。だからといって二人は不幸にもならない。

昨今、重なる障害を乗り越えて貫くのが純愛であるように捉えられがちですが、
理由があって悲恋に終わらせた恋も、互いに大切な思い出であると認める気持ちがあれば、
やはり純粋であるように思えます。
見るべし!!
この映画との出会いはフランス語の授業で渡された、一枚のプリントから。ギィを英語読みしてガイなんて四苦八苦しながら訳したフランス語。意味もよく分からないまま字幕なしで授業で鑑賞しました。最初はセリフも分からないし、壁の色がピンクだったり、ポップでかわいらしい色使いの画面だけを楽しんでいました。ところが、先のプリントで勉強した場面で誰でも一度は耳にしたことのあるあの哀愁のメロディ!!そこから先はフランス語も分らないのに教室中に啜り泣きが…あれから20年近くたった今も、あのシーンの曲を思い出すだけでも涙が出てしまいます。今もうるうるしています。若い二人の未熟な恋愛と別れ、知らず知らず自分の過去を思い出したりしちゃうんでしょうね。でも、観る度に色んな解釈が出来ます。ちなみに私の友人はドヌーブのママ役の女優さんにそっくりです(秋田出身の日本人ですけど)。
おしゃれな配色にこだわった映画
衣装、ヘアスタイル、部屋の内装、色づかいなどとてもオシャレで今見てもマネしたいかんじです。音楽も有名ですね。
ふと再会し、昔の恋をお互い心のかたすみにしまい、そっとサヨナラする2人。
いまの生活に満足はしているけれど、やはりお互い忘れることはできない人。
ゆっくりと言葉をかわす時間もない。ほんの少しの会話で聞いた
彼女の子供の名前は・・・。当時は裏切られたと思っていた彼もその名前で
彼女の愛が真実だったこと、今も自分を思っていてくれていることを知るのでした。
そこにぴったりの音楽が流れ、涙を誘います。
私のいちばんのお気に入りの映画になりました。