世界の名著〈56〉マンハイム,オルテガ ...

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世界の名著〈56〉マンハイム,オルテガ (1971年)


中央公論社

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両作とも全文掲載、しかも読みやすい(マンハイムについて)
 「世界の名著」シリーズの中には抄訳の巻が少なからずあるが、この巻は「イデオロギーとユートピア」「大衆の反逆」共に全訳で掲載されていて、訳自体も読みやすく、しかも原注のほかに訳注も数多く付されているし、高橋徹氏の巻頭解説も90ページ近くに及ぶ力作で、何かとお得感のある一冊。
ハンガリー出身のユダヤ系学者カール・マンハイム「イデオロギーとユートピア」は、人が何かを考えたり学んだり、長じて自分で発言・主張したり行動したりする背後にどんなメカニズムが働いているかについての学、知識社会学を分析用具としたイデオロギーとユートピアに就いての考察の書。意識が社会的に規定されるというのはマルクスの言葉だが、マンハイムは認識行為、思考、知の体系が社会的に規定されることを示すために、度々不合理で、いつでも叶えられつつあるものとしての現実に対処する術である政治に着目し、政治思想として「官僚的保守主義」「保守主義的歴史主義」「自由主義ー民主主義的市民思想」「社会主義ー共産主義的観念」「ファシズム」の五つを挙げ、それらの政治思想は政治家の振る舞いだけに体現されているわけではなく、社会の諸階層における個々人の生き方や、客観的な体系たろうとする様々な知の振る舞いにも見られるとし、社会的に流通するどんな言説にもそれらを裏付け、下支えするそれぞれの社会的立場や利害があること、それは当該事実を見出す人にとってさえ同じであることを論述する。だからそれらの発言は虚偽でしかない、といえば全てがイデオロギーとなるが、そのメカニズムを全否定せずに各立場と各言説を関連付けて解釈し、構造化していくのが知識社会学だ、という。
イデオロギーが新興階級にとっての旧階級に対する批判の具とすれば、ユートピアは旧階級による新興階級批判の具といえる、とマンハイムは言う。新興階級が持ち込んだユートピアは時を経て現実化されたり、されなかったりする。ユートピアは現実に受け入れられていくと当初のの社会との緊張関係を失い、現代はユートピアが消滅の一途を辿っているようにマンハイムには見えたらしい。そして、サブテーマとして、科学としての政治学・知識社会学やユートピア構想の担い手になりうる社会的存在は自由浮動的インテリゲンツァ、言うところの「知識人」であると主張している。
ここでは書ききれないが、図式化と歴史化、政治の行政化、歴史感覚を喪失した現代人、など、ちょっとした細部でさえもタメになる、新たな発見が満載の一冊。
無題
マンハイムとオルテガ:高橋徹
イデオロギーとユートピア:マンハイム
大衆の反逆:オルテガ
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