にほんの建築家 伊東豊雄・観察記

- TOTO出版 価格 ¥ 1,890
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にほんの建築家 伊東豊雄・観察記


TOTO出版

価格(new/used): 1,890 円 / 600 円 より
発売日: (2006-02) アマゾン売上ランキング: 198067 位
単行本 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 8件

伊東豊雄を愛する全ての人へ
伊東豊雄の作品に初めて出会ったのはTOD'S表参道ビル。
名立たる建築家の作品が林立する表参道に、ひと際際立つ完璧なまでに静謐さ。

オーケストラが調音を止め、指揮者がタクトを上げる一瞬前のような、期待感を持たせる緊張感。
雑踏の中たたずむケヤキ並木のモチーフがそのまま伸び、空に解けていくようなイメージに心を奪われた。

同じガラス張りの建築でも、ヘルツォーク&ド ムーロンのプラダビルの、黒いラバーコスチュームに身を包み、唇を舐めて見下ろすような挑発的な官能性とは一線を画す。

ナニガチガウノダロウ? 
ナニヲツイキュウシテイルノダロウ?
1つの建築が一冊の本を選ばせた。
日本の建築家伊東豊雄を追い、東京から仙台、松本、シンガポール、パリ、バルセロナ。

「ぼくは自分のスタイルをつくりたくないんですね。(中略)スタイルをかたくなに守ることは、ぼくには無理だと思います。今でも自分のつくったものがいつも次第に嫌になってくるんですね。それを叩き台にして、別のものに置き換えていくというやり方をしてきたんです。(中略)道を究めたということは、いちばんやりたくないことです。」

変身する建築家。軽くて透明、無機質でニュートラルな建築を追及していたのかと思ったら、逆に建築の持つ生命力、強さに目覚めていく。

現在の個人の生活、肉体、とりまく空間。イデオロギーではなく、即物的な部分から帰納的に見出していくイメージ。

イメージを形にする、と言葉にすると簡単でカッコいい。出来上がった作品も挑戦し続ける斬新さと、疑いのない美しさを見せる。

ただそこに存在する1人の建築家は、異次元でもがき苦しみ、そしてそれを楽しんでいた。

建築用語や基礎知識がなくても十分に伊東豊雄の鼓動と、彼を愛する人の思いに共振できる。
迫真の臨場感、冴え渡る頭脳
著者の瀧口範子さんには、コールハウスを追いかけた前作から注目してきた。本書は、伊藤豊雄を三大陸に追った観察記。あとがきで、瀧口さんは、こう書く「とかくものごとを論理的に抑えようとする私の粗い網目を、伊藤は抜けていく。」だが、瀧口さんの「論理的」頭脳は、ただものではない。目の前で種々雑多にくりひろげられていく伊藤や彼をめぐる人々の行動を瞬時にとらえ、思考や感性など、きわめて抽象的な「意味」を直感的につかむ。観察は、建築に関する知識によってしっかり裏付けされているのだが、誰にでもわかるよう、必要な情報をていねいに教えてくれる。だから、建築にはまったくのしろうとである読者にも、日本の戦後の建築の歴史や、建築家のビジョンと時代との接点などが、あっというまに把握できる。読者に対してとても親切かつ、正直。消化しきれていない頭でっかちの理論に対しては、わからない、とはっきり言い、通を気取って読者を置き去りにするというイケズをしない。論理的骨組のすきまは、しなやかで素直でいながら鋭い感性が、補完する。伊藤をめぐる人々のインタビューも、商店街のおじさんから、先輩の大建築家、熱っぽい施主まで、短い登場時間にもかかわらず、それぞれの人生の軌跡をかいま見せる。大変な質と量のリサーチに裏付けられているに違いないのに、気負いや堅苦しさをまったく感じさせない。ある講演会でのシーン、伊藤はこう語る、「リラックスして、かつ一生懸命にお聞きください」。この本は、まさにそんな姿勢、つまりは「リラックスして、かつ一生懸命に読」んでしまう本。読み進むにつれ、建築を媒介に「自然や世界の一部であるという人間像」を追う伊藤の熱い思いが、じわじわ伝わってきて、おいしい料理を食べているような幸せ感でいっぱいになった。
観察?調査?自伝との差異
TV番組など多くのメディアに登場するようにはなったが、建築家についてその作品、図面や写真をほとんど主題として用いることなく、人物として着目した文章に新しさと現代性を感じる。
同じ著者の「行動主義―レム・コールハースドキュメント」という本に比べて、伊東さんのこれまでの経歴やや記録、事務所の所員さん達へのインタビューから書かれた部分が多く、滝口さんの観察からくる生の言葉の部分が少なかったように感じた。しかし、おそらくこの二人がドキュメンタリー形式にして世界で一番面白く、かつ多くの人が興味のある建築家なのではないだろうか。
瀧口 範子さん自身は建築家ではないが、出張やプレゼンテーションに同行し、模型や建築の現場、その場での建築家の振る舞いや反応を観察した人の率直な言葉をもう少し見たかった気がする。
対象が日本人だったから本人の観察以外の調査がやりやすかったのかもしれないし、本文の一つのテーマとして「変化」が感じられ、過去との比較が重要なのかもしれないが、「変化」に対して追随するエンジニアや「布」の人達へのインタビューの場面などを本文内に載せてほしかったと思う。
中途半端な気持ちで読むと火傷します。
先日、伊東豊雄さんの講演会へ行ってきました。
馬場章造さんも講演会当日、とても面白い本であったと推薦していました。
近年の講演会内容の多くはこの一冊に含まれているのでは?
と思わせる程の内容でした。

建築に関する考え方だけでなく、伊東さんの人間性にまでスポットを当てた一冊になっています。

建築家の写真はもう見飽きた。
遠い遠い場所から建築家の思想を追うのでは無く、もう少し近い場所から日本を代表する建築家の姿を見たい。
そんな方にはオススメだと思います。

偉大な建築家がほんの少し身近に感じる事ができる一冊。
私には刺激が少し強かったので、☆4つです。
内容としては五つ星です。
観察記となっている表題を
建築家「伊東豊雄」を現在、過去を織り交ぜながら観察記として纏めている。

伊東のもって生まれた優雅さ、変化のきっかけとなった仙台メディアテークに関する思いが甘く書かれている。

が、表題を観察記とするなら、観察した事実と著者の思いをしっかり区別した方が読みやすく、そして伊東の本来の姿が表現できたのではなかったかと思う。それが残念でならない。

これなら、伊東が自伝を書いた方が良いのでは? それと何か変わるのか? という疑問が出てきてしまった。

しかし、著者の文筆力は確かなものであり、他の本も読んでみたい気にさせる。