風雲児たち (9) (SPコミックス)

- リイド社 価格 ¥ 680
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風雲児たち (9) (SPコミックス)


リイド社

価格(new/used): 680 円 / 501 円 より
発売日: (2002-12-26) アマゾン売上ランキング: -- 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 3件

かくして田沼意次に悪徳政治家の汚名が...
「風雲児たち」を最初に読んだのは20年ほど前のことだが、
当時最も私にとって衝撃的だったのが
田沼意次の功績面に大幅にスポットを当てた歴史解釈だった。

小学生の頃に読んだ子供向け歴史漫画では、
「賄賂が全ての汚職政治化」として描かれていたことを明確に覚えているし、
(しっかりとした記憶は残っていないが)高校の日本史でも
そのイメージを覆すような記述はなかったはずだ。
ところがこの「風雲児たち」では、田沼は庶民の味方で
先見性も実行力もあるスーパーな政治家として描かれている。
そのギャップに大いに驚いたものだ。

この第9巻では、ついにその田沼も汚い謀略に落ちて失脚してしまう。
その謀略を首謀したのが、「寛政の改革」の実行者として
ポジティブなイメージで捉えられる松平定信だ。
この謀略の仮定が克明に描かれているわけであるが、
松平一派の陰謀は、田沼を失脚させるだけにとどまらず、
ありとあらゆる「悪名」を田沼に被せるところまで徹底している。

この江戸時代の「政治的陰謀」のために、
昭和の時代に教えられる歴史にいたるまで
田沼意次には「悪徳」の名前がついて回ったわけだ。
これに異を唱えただけでもこの本の価値は高い。

待てよ、この本はギャグ漫画なんだぞ。
真面目な歴史解釈がスゴすぎて、印象に残るギャグが少ないのが残念。
野心に満ちた田沼時代終わる
 前巻ではお休みだった大黒屋光太夫一行は厳しいカムチャツカの寒さに次々に仲間を失いながらも雪解けと共にユーラシア大陸を目指す。将軍家治死去と共に田沼意次失脚、松平定信が大老に就任する。定信の田沼憎しは想像を絶するもので、領地没収はむろんのこと、埋立地の破壊にまで至るすさまじさ。そして、近年まで支配的だった田沼悪政の歴史観を決定的にするのであった。

 蝦夷探検隊達は沈黙を余儀なくされ、宿願の印旛沼干拓も中止、時代の歯車は大きく逆回転を始める。「寛政の改革」が始まったのである(ちなみにフランス革命勃発の年でもある)。教科書に描かれた歴史とは全く違う展開にうなり、ふつふつと沸きあがる海外事情が幕末への大いなる助走へとなっていく。
波乱万丈たる幕末へ向け、物語は転がる
 最上徳内、大黒屋光太夫、林子平らが繰り広げるメインドラマは、南下圧力を増しつつあるロシアがらみ。探険あり、サバイバルあり……この大河マンガに期待される群像劇にどっぷりとハマることができる。

 そして、江戸政界の中心的存在として描かれてきた田沼意次の周囲にも不穏な動きが巻き起こる。まさに、クライマックスたる幕末への胎動は始まっているのだ。今後の展開に、ますます期待が持てるというもの。鬱屈たまった庶民による「天明の打ちこわし」の裏側も、実に興味深く読めた。