誰かへの手紙のように

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誰かへの手紙のように


マガジンハウス

価格(new/used): 1,575 円 / 390 円 より
発売日: (2002-09) アマゾン売上ランキング: 345256 位
単行本 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 2件

答のない、家族という問題集
「ふぞろいの林檎たち」「想い出づくり」「岸辺のアルバム」「日本の面影」といった優れたテレビドラマを作ってきたシナリオ作家・山田太一のエッセイ集です。様々なテーマについて綴られていますが、基本的には家族のありかたについて筆を進めたものが中心となっています。

 読み終えて、家族はこうあるべきだという「型」にはまることを目指すがあまり随分と窮屈な思いを抱えながら生きている家族が実は多いことを著者は鋭く指摘しているという思いを強くしました。それは著者がこれまで何十年にもわたってブラウン管の中で描いてきたことと通底します。一見幸せそうな家族が、「幸せそうな家族を演じている」だけであることの哀しみには、胸を衝かれる思いをしました。
しかしだからといってどうすれば真に幸せな家族になれるのか、そのための処方箋はここにはありません。人は誰しもそれに悩みながら日々を暮らしているのだということを、直視することを改めて伝えるにとどめています。

 しかし、一つの家族の寿命は実はあまり長くないのではないでしょうか。子供が生まれて家族を巣立つまで、平均してたかだか18年程度しかありません。もちろん巣立ったとはいえ、家族でなくなるわけではありませんが、日々顔を突き合わせながら暮らす家族とはやはり形態がかわり、心理状況も変わるでしょう。それまでの約18年の間に生まれてしまったわだかまりや溝を「巣立ち」と「離別」でしか解決できないのであれば、それは家族として解決したことにはならないのではないでしょうか。

 家族はいいぞと無邪気に訴え続けるのではなく、家族は結構厳しいぞ、だからこそ味があるんだぞ、と訴え続けてきた著者ならではの、厳しい愛情の眼差しが感じられるエッセイ集だといえます。

元気です、東京で暮らすまどかへ。
娘が東京に行ってしまった。
親としてまだひとり立ちしていない私は、右往左往。
夕焼けを見ては悲しくなる。
寒い朝には温かくしているか。
些細な事まで心配しすぎている自分に気づく。
そんなときに心に響いた。
子供と同じことに興味を持っていちいち口出ししない。
親は親、子は子。
親の知らないものに興味を持ち自分自身の世界を持っていく。

無理やり入り込まない、お互い。
そうだ、こんな風に生きて、一人の人間を大人にしなくては。
娘はもう十分その力を持っている。
認めていなかったのは、親の私の方。