「大人になんかなりたくない」
ふと,自分も友人も,合い言葉か何かのようにそんなことを考えていた過去を思い出しました。 つまんない考え,つまんない言葉・説教,つまんない生き様,行動。ただの歯車。
「大人って,ホントつまんねぇ・・」
大人を見る度に,胸に込み上げていた大人批判。
あの頃は,確かに,大人を否定することが格好いいことだと思っていたのです。
それが,何者にも縛られず自由な考えでモノを見ることができると。
何と,狭量で浅薄な自分だったことかと思います。苦いですね。
真に「大人になっていく」ということは,どういうことなのか。
それを本書は,強いメッセージとして伝えてくれます。
守りたいものを守るため,社会の中で無力な自分から脱皮しようと決意すること。
それが縛られることだというのなら,少年篁の父親のように社会の歯車になることだというのなら,それは何て素晴らしいことなんだと思えます。
大切なことを見つけ,それを守るためにやらねばならないことに向かっていく。
そこには,たくさんの責任が生まれ,たくさんの力量を身につけることを求められ,そして人間として強く成長していかねばならないことでしょう。
しかし,そうしてこそ,本当の意味で,関わりたい人に関わっていくことができるのですね。
思春期の頃の自分が読んでいたら,大人というものに対する見方が変わっていたかもしれません。
大人になるということって,素晴らしいことなんだと改めて思います。
というより,いつまでも子供でいることの方が格好悪い。
最近,大人になり切れていない大人が多いことだけが,本書に水を差しているようで残念です。
いや,もしかしたら,だからこそ本書が生まれたのかもしれません。