マンション崩壊 —あなたの街が廃墟になる日

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マンション崩壊 —あなたの街が廃墟になる日


日経BP社

価格(new/used): 1,680 円 / 399 円 より
発売日: (2006-03-23) アマゾン売上ランキング: 107977 位
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地域の活性化に向けて情報の透明化を!
■ 【デザイナーズマンションの公団版】
バブル末期、1990年初頭に、多摩ニュータウンの一角
に、デザイナーズマンションの先鞭となる47棟の公団住
宅が、竣工を迎えつつあった。それらは、戦後のベビー
ブームを生みだした世代が従来の木賃アパート(文化住
宅)から夢の住居とも羨ましがられ入居したニュータウン
の公団住宅の(最後の)集大成とも言える団地で、後
日、都市計画学会賞をも受賞した物件群なのです。

■ 【欠陥あるが、騒ぐな。(資産価値を守る為?)】
ところが、入居して間もなく雨漏りその他の欠陥が発覚。
結局、公団は、全47棟中、中低層の20棟の「建替え」と
いう失態を招きました。公団側の「資産価値保全の為。」
との緘口令も加わる中、管理組合は、自分達のコミュニ
ティーを形成しつつ、公団と交渉する事態になりますが、
公団は、「構造計算書を、失くしました。」など組織上も無
責任で情報隠蔽体質を露にする始末でした。

■ 【住居とは、街区を買うこと】
住宅を取得しようとしているユーザーは、夢一杯で、込
入った管理規約などの説明は、90%以上が耳に入りま
せん。ましてや、近隣街区コミュニティーについては、
精々スーパー、学校などの所在地が気になる位で、身
近なコミュニティーがどうなっているかなどは、仲介業者
も説明は致しません。しかし、実は、『住居とは、街区を
買うことです。』と住替えのエキスパートは、断言します。

■ 【ニュータウンの再生は?】
公団官僚のメニューには、コミュニティー造りは当初から
皆無だと著者は指摘しております。「私有財産には、手
を出せない。」と言うのが彼らの理屈です。挙句、組織替
えしてしまいました。公団の郊外ニュータウンは、今や建
物の老朽化、住人の高齢化、そして孤独死、若年世帯
少子化が話題になっております。近年、地価下落に伴
い、都心の民間高層マンションがトレンディーにユー
ザーの眼を奪っております。しかし、30年後のそれらを
写す鏡が公団の郊外ニュータウンにあること、地域の活
性化を大事にすることなど、著者は警告しております。
頑張っていた人がいた
この本の中で一番ページをさいて書かれているある物件。大規模修繕を前に検査会社が検査をした事から、重大問題が発覚したわけだが、その発覚から改善に向かう過程の話がとても興味深かったです。欠陥は改善したいけれど、たいしたことがない雰囲気に済ませたいというのは売主・施工者だけでなく、住民の中にもいる。そんな中、根本的な解決に向けて頑張った検査会社の人や住民等の努力は並大抵ではなかったと思う。よく頑張った。そして、様々な障害があっただろうに、著者も頑張って事実を伝える本を書いたと思う。
表紙と同じ風景を窓外に望めるだけに、人ごととは思えない
 本書は建築物を売りっぱなしの箱物商品としか捉えていない愚かさに溢れている。
 手抜き工事のひどさはテレビでも放映されたが、近隣にはそれほど伝わってこなかった。住民の間でなんとかクローズして処理しようとした結果だと思うが、実態はあまりにも深刻だった。本書で紹介される現地は、一部棟は立て直し完了間近だが、解体後の基礎工事で止まった棟、解体もされずに放置されている棟と状態もバラバラである。月並みな言い方ではあるが、一生に一度買えるかどうかという資産である住宅を手がける業者としての旧住都公団(現都市整備公団)のお粗末さ、建築業者の適当さには怒りを感じてならない。この憤りはそのまま行政や司法にも波及して当然だろうと思う。契約字句の解釈や説明を考えている間にも、滝のように雨が漏る住宅に居住せざるを得ない住民がいたことを彼らは体感して理解できていない。PL法をはじめとする消費者保護制度がどうして成立してきたかという経緯を考えれば、本書で知ることが出来る彼らの対応は理解できない。
 このほかにニュータウンの歴史を振り返る章や国立市の景観論争、郊外の過疎団地の問題など、土木建築行政の場当たり的な取り組みが記されている。個人的には筆者には今後、さらに一段階上の都市計画のお粗末さにも焦点を与えて欲しいと思う。丘陵を切り開く宅地開発を否定する物ではないが、開発者や自治体には大規模な街並みを登場させることによる環境や交通、学校や商店の問題というものが与える影響という考慮が不十分に思えるからだ。
マンション購入者は読んだ方がいい
マンション購入の際には相当の覚悟と責任感が必要となることを教えてくれる一冊だ。
最初のパートでは多摩ニュータウンの欠陥マンションの住民達が都市整備公団(現・都市再生機構)に建て替えを行わせるまでの気の遠くなるような闘争を描かれる。行政、官僚、建設業界の無責任・冷酷さには慄然とさせられる。一人ひとりは良識のある市民であるはずなのに組織に属した途端に住民の苦難を無視できるのは何故なのだろう。このような大組織と戦うために要する住民のエネルギー、苦悩はどれほどのものであったかと考えると胸が痛くなる。
続くパートでは多摩ニュータウンを始めとする各地のニュータウンがゴーストタウン化していく姿が描かれる。ここで明らかになるのは日本の行政の長期的な視点の欠如、無責任さと業界との癒着だ。
更に学園都市の国立市の景観を守る市民とそこに高層マンションの建築を強行する明和地所との戦いが記される。住民が長年に亘って築いてきた街の良好な住環境を、商業主義から守ることがいかに難しいことかがよくわかる。それにしても明和地所のマンションの売り文句である“すばらしい住環境と景観”を、そのマンションが破壊していることは何という皮肉だろう。
最後はマンションを崩壊させないように支える人々の姿が描かれる。マンションの住民全員が運命共同体として交流を深めて連帯していかないと生活の場としての環境が維持できないことがよく理解できる。
冒頭に書いた相当の覚悟と責任感とは、基本的な信義則や道徳を持たない業者が横行する建設業界が立てるマンションは欠陥が潜んでいることを覚悟しておく必要があり、運よく欠陥がないマンションを購入できてもそれを維持するためには、他の住民と共同して自らそれを守る責任感を有する必要があるということだ。この観点からは、現在乱立している高層マンションの将来を憂わざるをえない気分になる。
一人の力は小さくても、考えなくてはならない問題
「区分所有権」がマンションの資産価値を守る理由で欠陥が生じても我慢する住民。しかし、資産価値は経済状況が異なる住民には虚ろな概念だ。
煩わしさを嫌う富裕層が住む最上階から去ってゆくローソクが溶けるように灯が消えてゆくマンション。
地価が上がっているうちに形にしたい業者。
バランスシートでのみ判断する投資ファンド。
資産価値を守ろうとする共同幻想の住民。
半世紀近い歴史を持ち、150戸を越える住宅を供給してきた日本一のデベロッパーである公団が扱った団地が大解体工事に到るまでの年月。
建築基準法、品格法、建築士法、建築業法、宅健業法と、住民の安全を担保する法の網が張りめぐらされているが国家機間がそれを破っても誰も大きな責任を問われない。
欠陥住宅に対し資産価値を守る共同幻想で心を呪縛される住民。
都市開発関係者の見通しが地価任せという安直な手法。
都心回帰というマンション販売の裏で、郊外マンション地帯の中古価格低迷という現状。朽ちていく中古マンションに住む、住まざるをえない高齢者の人々。
終の棲家という安心感が求められるマンションだが、建築はそこに生活する人がいて生命が宿る。
高度経済成長期に建設されたマンション、更に今ラッシュで建設されている都心のマンション。
この2つの大きなコミュニティーは将来日本の街に何をもたらすのか。
一人の力は小さくとも、考えなくてはならない問題。