消えた赤線放浪記 その色町の今は……

- ミリオン出版 価格 ¥ 1,785
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消えた赤線放浪記 その色町の今は……


ミリオン出版

価格(new/used): 1,785 円 / 1,159 円 より
発売日: (2005-06-27) アマゾン売上ランキング: 170883 位
単行本 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 4件

街の「光」と「影」
作者はおもに旧遊郭、旧赤線・旧青線跡を写真と文章でルポした単行本を数冊出しています。本書はその延長線上にありますが、ここでは現存する「表風俗」「裏風俗」を実際に体験するというスタイルをとっています。こう書くと、単なる風俗体験モノになってしまいますが、木村氏がライフワークとする(?)旧遊郭探訪を軸に、飲食店、旅館、商店など街がもつさまざまな機能を絡めながら、実にリアルに、しかし淡々と描かれています。さらには、旧遊郭を中心に据えることで昭和33年の売春防止法を転機として、街がどのような変遷を遂げてきたかまで言及しています。

古くからある街は、商店街、住宅街、商店街と住宅街をつなぐ歓楽街、そして歓楽街に収容できない風俗街を「岡場所(おかばしょ。悪場所とも)」として配置することによって、人間が発散するさまざまな欲求・欲望を吸収してきました。しかし、ご存知のように最も原始的な欲求・欲望(男性限定ですが)を吸収してきた「岡場所」は、再開発や警備上の問題という名のもとに街から姿を消しつつ運命にあります。記憶に新しいところでは、横浜黄金町の売春街摘発や歌舞伎町の浄化活動があげられるでしょう。その結果、どの街もいかにも役人が考えたようなお仕着せの画一的な姿に変えつつあり、不潔なもの、非衛生で猥雑な要素が排除されたあげく、無表情、のっぺらぼう、没個性的な街が続々と誕生しています。

本書を読んでなぜかほっと安心できる理由は、本来、街がもつさまざまな機能が実にリアルに体感できるからで、さまざまな立場と境遇に置かれた女性の息遣いが感じられるからだと思います。本書に掲載された味わい深いけど、なぜだか無常観に駆られるモノクロ写真を眺めていると、「清潔ばかり求めると、一方で抵抗力も衰えるんだけどなぁ」と呟いてしまいました。
街の遺伝子
売春防止法の施行で、旅館や飲食業に転業した赤線地域のお店のいくつかは、いまでも裏風俗として現役で営業をしている事実を知り驚きました。本書は、日本各地の色里を訪ね、実際に遊んだ上でのルポになっています。売春防止法が昭和33年だから、既に50年近くが経っています。ソープ、ヘルスと気軽な性風俗が表通りで堂々と営業している時代にもかかわらず、表向きは旅館やスナックとして営業しているこれらの店で綿々と当時と同じサービスが供給され、また、それを求める人達がいることに不思議な嬉しさを感じます。まだまだ日本の多様化は失われていないようです。
地方がどんどん画一化する中で、この記録は貴重だし興味津々
 ロードサイドにファミレス、大型パチンコ店、量販店が立ち並ぶ地方都市の風景は、いまや全国均一になりつつある。“地方の時代”とかなんとかいいながら、この無個性化、画一化は、寂しくも悲しくも恐ろしくもある。
 そんな時代に、街の陰の部分、湿った部分を丹念に掬い上げて記録する、こうした企画は貴重だ、というか興味津々である。赤線時代のなごりを残すタイル装飾のなんと味わい深いことよ。飲食店や風俗店の並ぶ裏通りや路地、袋小路も、土地によってみな個性があり、決して均一ではない。もちろんそこに介在する様々な立場の人たちも...
 この色町探訪記は、文末に訪れた年月、所在地の概要、所要料金を示すスタイルが、アルペンガイドを彷彿とさせる。なんというか「●●ウォーカー」的な普遍的なデータを標榜したものではなく、具体的な個人の過去の記憶なのである。アルペンガイドが自然によってその道程が通行不能になっている様に、この本を片手にその土地を訪れても、もはやその店はないかもしれないし、女の子は居ないかもしれない。もしかするとその街すら無くなっているかもしれない。それだからこそ、街や人は面白いということをあらためて教えてくれる本なのだ。少なくとも通り一遍の観光地やグルメ満載の旅行情報誌よりは旅情をかきたててくれる。個人的には、本筋とは関係ない横浜・曙町の中華「一番」の記述に共感してしまった。そう、旨くて良心的で猥雑なあの店も「●●ウォーカー」には絶対紹介されないだろうな。
現代版女性街ガイド?
この著者は、以前「赤線跡を歩く」という本を書き上げている。
その本では、当時使われていた<建物&町並み>を中心に
カラ-写真で現在の様子をレポ-トしていたのだが
今回はさらに一歩踏み出し旧遊廓周辺の風俗までレポ-トをしている。
また、写真はモノクロが多く文章をメインにおいている。
北海道から九州まで代表的な色町を実際に体験した紀行文である。