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日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点


集英社インターナショナル

価格(new/used): 1,680 円 / 1,999 円 より
発売日: (2008-02) アマゾン売上ランキング: 277 位
単行本 / 通常3~5週間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 5件

「常識」を心地よく覆してくれる
日本人は集団主義的だというのが常識になっているが、詳しく調べると、むしろアメリカ人よりも個人主義的であるという実験結果には、驚かされるとともに、納得もいった。確かに、僕らは、本質的に集団主義的なのではなく、そのように行動しないと損をする社会だから、仕方なく集団主義的に振る舞っているだけなのだろう。

ここ10年ほどで、日本の集団主義的社会がかなりの程度解体してしまったにも関わらず、相変わらず従来通りの行動を続けてしまっていることに、現在の日本社会の問題を見出し、それを抜け出して「信頼社会」に向かうにはどうしたらいいのか、を著者は探っている。最近強調されがちな、「品格」だの「武士道」だの、更には教育再生のようなものはむしろ逆効果であるというのが結論で、むしろ大事なのは、「市場の倫理」だという。

そうして、その方向へ進む人の割合が「限界質量」に達すれば、雪だるま式に社会全体がそうなっていくだろうという。このあたりの論理展開には見事としか言いようがない。

将来の社会について、明るい未来への道筋を見せてくれているという点で、読んでよかったと思わせてくれる本だ。
納得できる理論をわかりやすく
 本書の内容については他のレビューアが詳細に語ってくださっているので割愛させていただきますが、すばらしい内容でした。(本当はたくさん書きたいのですが他の方と重複するので断念)


 非常に納得できるお話でどのページも「うん、うん」と頷きながら楽しんで読み進めました。日本国についての書籍はだいたいが評論家や政治家などの著書を読んでいましたが、はじめて社会心理学者の本を読み感動しました。どのページも著者のオリジナリティあふれる見解が満載です。矛盾だらけの評論ではなく1つ1つの理論が積み重なって織りなされるしっかりとした理論展開です。

 何の知識がない方でも少しずつかみ砕いてかみ砕いて説明してくださっているので問題なく読み進めることができます。多くの方に読んでいただきたい名著ですので是非是非手に取ってみてください。非常にお勧めです!!
よくぞ言ってくれました
安心社会⇒統治の論理で閉鎖系社会
信頼社会⇒商人の倫理で開放系社会

本書ではこの2つの対立図式をズバリ指摘しています。
加えて、KYという言葉の流行やいじめの問題、など
社会現象にも踏み込んで言及してあります。

その通りだ! と強く思う反面、これまで自分の周囲
に築いてきた「信頼」のネットワークがどれほどの
ものなのか、心もとなく思える反省にも至りました。

耳が痛いのが、「安心社会と信頼社会のそれぞれの
エッセンスを混在させると社会が腐敗する」という
記述のあたり。恥ずかしながら、仕事場がまさに
それを体現したような場所ですので。。
いつまでも信頼スキルが育たない土壌を、メカニカルに解明
著者は、ここ十年、社会心理学的メカニズムの解明から、「日本型・安心社会からグローバル型・信頼社会」へ、と感情論ではなく、学問的根拠を持って提唱され続けている。
本書は、著者にとっては久々の出版で、内容は、以前のものより平易な言葉で書かれていて読みやすかった。
以前の著作を読んでいなくても、この1冊で十分に著者の主張が語られているし、新しい話題にも触れられている。
ただ正直、新書で出版された方が、値段も安いし、もっと話題になったんじゃないか、と思い、星をひとつ下げた。

日本社会は、あいかわらず閉鎖系・安心型社会のようだ。安心型、といえば聞こえがいいが、著者によると、「他人を信頼しない」社会である。
若者は、「空気読め」というプレッシャーにさらされつつ、あいかわらずの陰湿な「いじめ」が無くならない。
一方で、大人たちの間では、昔の日本人を「素晴らしかった」と持ち上げる「伝統」、「武士道」、「品格」など、再=安心社会化とでもいう動きが流行る。
食品・建築などの「偽装」も次々と明るみに出る。そこにある「旅の恥はかき捨て」という倫理観。
わたし自身を振り返ってみても、他人のことをどこまで「信頼」しているか、改めて、あやしいものだな、と思った。

しかし、日本は、鎖国体制にはない。いや、グローバル化社会の中では、どこの国の人々であれ、いやおうなく「開放系」だ。
ここで未知の人と対話構築に欠かせないのが、信頼スキルのトライアル&エラー。これは、「相手を見抜く力」にほかならない。
見極めて、信頼できそうなら、飛び込む。そこから創造性が発揮されるのが、開放系社会の良さだろう。
「武士道」「品格」へのアンチテーゼ
昔に比べて今の社会が悪くなったのは、人々の心が堕落したからだ。
だから、お説教をして道徳意識を埋め込む・・・。

このような発想の延長線上に、ベストセラー「美しい国」「品格」等があるとすれば、
筆者の主張は、まったく逆の「人の心は環境によって変わる」というアプローチでしょう。

日本人は「集団主義者か個人主義者か」を検討して、
日本人が実は、個人主義者であることを指摘します。
では、なぜ日本は典型的な集団主義社会なのかを明らかにするのです。

次に、社会の仕組みの違いとして著者は「安心社会」・「信頼社会」概念を紹介して、
社会の成員へのコントロールの利く「安心社会」から、個人が積極的にリスクをとっていく
「信頼社会」への社会の仕組みの変化を主張します。

それを踏まえて、社会現象としてのいじめ問題、企業による偽装・隠蔽問題を取り上げます。
これら問題の解決が、心の問題として解決するお説教では、うまくいかないことを指摘して、
この解決の方法を・・・。
具体的な解決策は、著作を読んでみてください。

このような事象の検討の末に、著者の規定する「安心社会」「信頼社会」の対立を、
やがて「統治の倫理」と「商人の倫理」という鋭い価値対立問題として提起します。
グローバル化・格差問題が生じている日本社会で、
これからの時代を担うべき価値観がいずれにあるのか。
筆者の主張は鮮やかです。

これまでの著作と比べて格段に読み易くなり、著者の主張がわかりやすく構成されています。
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