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「おじさん」的思考 |
| - 晶文社 価格 ¥ 1,995 | |
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「おじさん」的思考晶文社 価格(new/used): 1,995 円 / 770 円 より 発売日: (2002-04-06) アマゾン売上ランキング: 14945 位 単行本 / 通常24時間以内に発送 [ユーザーによる評価] 平均評価: 3.5 / 総数: 8件 さすがおじさんきっとこのひとは 勉強ばかりして東京大学にはいって本を書いた 理屈で頭を固めたただの おじさん です 考え方はオリジナルな部分もありますが わたしにはユーモアのかけらも感じられず 作者の心が狭く イライラしました 理屈っぽいのが好きな人には おもしろいのでしょうか? 社会にたいする視点や着眼点は非常に参考になる仏文学者である内田樹のエッセイ集。ブログなどから抜粋した著者の思想と、漱石論を収載している。口語調の肩に力の入っていない文体で、広い読者層が対象。倫理観や教育制度、戦争などについての思想を、一般の評論家とは少しちがった切り口で紹介している。 正直な話、内容は面白かった。自らを予め、何の変哲もなく偉くもないおじさんと位置づけ、『みなさんはそう思っているようですが、ちょっと違うんじゃないですか?』というスタンスで時事ネタに切り込んでいる。全編主観的な解説ながら、妙に説得力を感じる。同氏の哲学からは、個人の主体に根ざす責任から逃げるな、というメッセージが伝わるのだが、その一方で、自身の喫煙を正当化しようと述べた項目では表面的な苦しい屁理屈ともとれる論理で開き直っているようにも見える。喫煙に関しての項目が書かれたのは分煙が進む前のことであるが、喫煙の自由はいいとして、それによって周囲の健康被害や間接的に増大する医療費の観点からみても、同氏の言い訳は非常に稚拙な自己弁護となっている。このように、他者にたいする批判が厳しい割には、自己に対しては『おじさんだから』という弁解が共存している部分を見ると、先の説得力ある論法もすこし割り引かざるを得ない。ただし、社会にたいする視点や着眼点は非常に面白く、多くの点で参考になるのは間違いない。以上より、読者各自が自身の意見を持った上で、全てを鵜呑みにしないで読むべきと思う。 評価は星4つにするか迷うところだが、先の問題点と、値段がやや高いこと、同氏の『ひとりでは生きられないのも芸のうち』と比較して完成度がやや劣るので星3つとした。実質3.5くらいが妥当かと思う。 このおじさんについて行くいやー、まいった。正しい「おじさん」のあり方を語るその口ぶりといったら、文章に腰が入っている。そばも、文章も同じようなもので、「こし」が入っているかどうかで、食べ心地、読み心地もまったく違うんですねー。 「おじさん」の無様な居直りこの著者は「おじさん」ということをウリにしている仏文学者だが、自らを「おじさん」と称することで、ある種の個体存在を先行させることを意味している。それは志村けんが「私が変なおじさんです」と居直るときの機構と同一の先行性である。つまり法や規範に対して、それを逸脱する個体存在の事実性を優先し、そのような個体であることを露骨に提示して居直っている。 というわけで読者は次のことを念頭に置くべきである。この著者の位置取りはレヴィナスとはあまりにもかけ離れて殆ど対極にあるということ。つまりレヴィナスは存在なるものに対する倫理の先行性を思考し、存在論の監牢を突き破るべく存在するのとは別の仕方を模索したのであって、そのようなレヴィナスを「おじさん」なる個体存在の事実性を先行させたうえで道徳講談をするような男が利用している。 このような「おじさん」の道徳講談を必要とするのは低学力の大衆と女子大生。 成熟への三つの道合気道の達人が書く文章はさすがに違う。生の様式、思考の生理ともいうべき文体がびしっときまっている。はりつめた緊張のうちにしなやかな滋味がほどよくブレンドされていて、この「ほどよさ」が「おじさん」の持ち味だ。こうした「正しいおじさん」になること、つまり成熟へいたるには三つの道がある。知的緊張の持続が思想であり、反復練習の方法が哲学であり、秘密をめぐる作法・構えが文学である(ここでいう秘密とは「内面」を分泌する私秘的な意味合いをもたない。強いて言えば秘伝、つまり奥義の伝達をめぐるコミュニケーションそのもののうちに表現されるものである)。とても鮮やかな、達人の冴えわたった論理の切れ味に驚嘆させられる。 |