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わがままこそ最高の美徳
フォルカー ミヒェルス 草思社
価格(new/used):
1,890 円 /
1,033 円 より
発売日:
(2009-09-25)
アマゾン売上ランキング:
79618 位 単行本 / 在庫あり。 [ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0
/ 総数: 2件
賜物であると同時に、呪いでもあるもの「わがまま」と言えば、悪徳とさえ思われるもの(特に、日本においては)なのに、何故に「最高の美徳」なのか?ドイツ語圏でも「わがまま(Eigenshinn)」と言えば、「普通あまりよい意味で用いられる言葉ではない」と翻訳者の岡田朝雄氏も「訳者あとがき」に記している。
「個性の尊重」と日本でも言われる場合があるが、本当にそれを実現していこうとすれば、「わがまま」「組織を大事にしなくちゃね」「世間はそんなに甘くない」などという非難にすぐに出くわすことだろう。日本では、「大勢順応主義(コンフォーミズム)」が唯一のイデオロギーであるだけに、諸外国に比べても、「個性の尊重」に対する圧力(もっといえば、抑圧)の度合いがいっそう深いといえるだろう。
ヘッセは、この本の中で、「真に個性をもつ人びとは、この世でほかの人びとよりも難儀しますが、またずっとすばらしい生活をします。彼らは群衆の保護を受けませんが、自分自身の想像力の喜びを享受します」と言う。自己実現には、困難や孤独が付きまとうものらしい。しかし、そこには、何物にも侵されない喜びもあるのである。
ヘッセ自身、学校からの脱走、自殺未遂、心の病を体験しつつ、自己実現を成し遂げからこそ、その喜びを語ることができたのだと考えられる。
彼の治療にもかかわったといわれるユング(C.G.Jung)は、「人格が未熟の状態から完全な自己意識へと発達することは、賜物であると同時に呪いでもあるのだ」と述べたが、ヘッセの主張とも符合する。それは二人とも自己実現がいかに激しい二律背反を伴うものかをよく知っていたからだと言えよう。
だからこそ、孤独を恐れずに自分自身と向き合いつつ、日々の生活の中で、自己実現に心を砕いていく「狂狷の徒」に対して、この本は勇気と喜びと平安を与えるものとなるだろう。
社会との軋轢に苦しむ人のために現在、日本はますます幸福に暮らしにくくなっていると思う。
いろんなものが制度化され、硬直化している。
人間本来の生物的なリズムや、個人の信念ではなく、社会の都合や、会社の利潤などで個人は踏みつぶされようとしている。
ヘッセは、どんな世の中であろうとも心の底から自分を信じて生きろと説く。
それが、短期的には地獄へ至る道であったとしても、結局は個人の救済につながっていると主張する。
社会と個人の軋轢を感じ、自分を信じることに自信が持てない人のためにある本なのかもしれない。
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