飯野和好さんの強烈で斬新な絵はとても迫力があって元気を与えてくれます。でも、いたって繊細なところがとてもいい。「菊地まりか」という本名があるのに「しっこさん」と呼ばれている子がいます。もう、これだけで子ども達は大笑い。
初めは「わたし」もしっこさんと心の中で呼んでいたのだけど・・・。
友達になっていく過程を、悪口の呟きから心に突き刺さる言葉の連続に少々、胸が痛みます。
でも「わたし」はあることをきっかけに菊地さんと仲良くなります。その背景となる青空のかなたに1本のひこうき雲がすうっと流れていきます。
それは「わたし」のわだかまりが溶けていく心を象徴するようで、そんな細かい描写にも感動を覚えます。
でも、ある事件がきっかけに、心から「しっこさん」ではなく「まりかちゃん」と呼べるようになったラストに子ども達は静かになりました。
心の成長が発達している子ほど、口をつむってこのお話に感動したようです。「しっこさん」という言葉の面白さだけを捉えてこのお話を好きになった子もいました。いつか理解できる日が来ることを期待しながら、私自身の遠い昔の友情と重ねていました。