日本の選択

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日本の選択


講談社インターナショナル

価格(new/used): 1,680 円 / 97 円 より
発売日: (2007-03-01) アマゾン売上ランキング: 96660 位
単行本 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 10件

客観的に日本をよく見ている
ロンドンエコノミストやフィナンシャルタイムスでは日本のことが記事として取り上げられることが多いが、イギリス紙のほうが日本のマスコミよりも、鋭く本質をついている。

しかし、遥か遠くのイギリス人が、日本をよく見ていることに感心する。
日本のマスコミが日本以外の国に詳しいことがあっただろうか・・・
「世界の中の日本」という言葉をますます意識するべき時代が来ているが、この本以上の認識をもった国民がどれくらいいるだろう。。



昔と変わらない日本の問題
例によって、知名度のある英国評論家の日本に対するコメントは昔から一貫している。小生が一番同意するコメントは「生産者優位の日本社会」という点。彼らの指摘もあるように前川レポートにて生活者優位の社会への転換訴えたバブル前の動き、また大前研一氏の本でも主張された消費者大国への転換等にも関わらず、バブル崩壊経て、現れた日本は、昔と変わらない「生産者優位の社会」であり、むしろ、労働強化、賃下げ等によって厳しい生活強いられる国に変貌した。 この先、消費者が豊かさを享受できる国になり得るのか、それとも「労働者奴隷化先進国」に成り下がるのか、政治家、官僚ではなく我々、国民自らが判断すべきだろう。これは日本社会の宿命なのか、世界のグローバル経済化が否応なく、日本を変えていくのか注目する点でもある。  
レース当事者(日本人)にはない客観視点の予想屋(外国人)ってところは評価出来る点
 ほぼ同じ立ち位置でありながら、ビル・エモットはやや楽観的、ピーター・タスカはやや悲観的という差異がある。この差異は2人の日本との距離感を反映しているだろう。それにしても“悲壮”を絵に描いたようなピーター・タスカの風貌はどうだろう。“年1回のタスカ本”って言えば90年代であり、まさに失われた10年である。ピーター・タスカの顔は疫病神のまさにそれに見える。
 経済市況を競馬になぞらえれば、アナリストは予想屋である。予想屋が馬券客相手であるように、アナリストの商売相手は当然のことながら投資家だ。そして、予想はある程度当たったほうが良いが、商売の肝は“当たっていそう”“買う気にさせる”口上、説得力で、外れても、うまく騙されちゃったな、と納得させる、騙されてもまた聞きたくなる物語性があれば良いのだ。競馬でも経済でもウン千ウン万のパラメーターがある訳で、「風が吹けば桶屋が儲かる」って現実は常に帰納的なもので予測は不可能だ。本書ではポイントとなるパラメーターを掲げ、こうすればこうなる、あーすればあーなる、あるいはもう一歩踏み込んで、こうしたほうがいい、って感じで複数のシナリオが提示される訳だ。但し「買うのはあなた」って自己責任は、馬券も株券も同じであって、タスカの商売は予想を売った時点でお終いなんだな。それと競馬(経済市況)に興味のない人にとっては、“クリーンエネルギーも評価基準は収益性”っていう純投資家視点には同意しかねる部分も多々ありである。まあ実際のレース当事者(日本人)にはない客観視点の予想屋(外国人)ってところは評価出来る点で、日本固有の事象だと思ってたことがグローバルな現象だったり、逆にデファクトだと思い込んでたことが実はドメスティックなものでしかなかったり、って勘違いを知らしめてくれて、予想屋の中ではハイレベルであることは間違いない。
もはや鎖国ではいられない
 日本を熟知する二人の英国人による提言集。日本とイギリスには、大陸に面した島国であること、アメリカとの同盟国であること、経済的文化的なパワーを持つ民主主義国家であることなど、いくつか共通点がある。このため、欧米の中ではイギリス人の言うことに親しみを感じるのではないか。

 日本は長い不況からようやく脱しつつあるが、この繁栄を維持できるかどうかは、日本の選択にかかっていると二人は言う。
 一例を挙げるとシティである。かつてイギリス病と呼ばれた不況の後、サッチャー政権から始まった構造改革により、シティは(大陸に位置しないにもかかわらず)ヨーロッパそして世界の一大金融センターになった。
 二人は、東京もアジアの金融センターを目指してはどうか、と提言する。今までは香港そしてシンガポールがその地位を目指していたが、中国に呑み込まれつつある香港、地理的に不便なシンガポールよりも、東京は有利な部分がある。

 ただし、そのためには規制緩和、税制の優遇、英語教育、ゼノフォビア(外国人嫌い)を改革・克服していかなければならない。しかし、資源国でもなく、少子化に向っている国がとる道としては、これは数少ない有効なモデルとなる。

 また、地政学的にも興味深い話がいろいろ出てくる。中国の覇権主義は変わることなく、その影響下での朝鮮半島統一もありうる。日本はアメリカとの軍事同盟を維持し、自衛隊を強化して政治的発言力を強めなければならないと言う。現在は中国の購買力や経済力に目を奪われ、大手メディアも中国の覇権主義的行動の報道を控えているので、人々はその野心を意識しにくい。

 口調はソフトで論旨はわかりやすいが、二人の提言は今後の日本の将来にかかわる重要な選択肢のひとつである。そしてそれはわれわれ日本人自身が決めなければならないことなのだ。
退屈な本である
エモット、タスカ両氏とも、90年代からの論壇登場で、「日はまた沈む」、「日本の時代は終わったか」がそれぞれの最初のものだったと記憶する。
当時、これらの論点は鋭く、本質を突いており、“ははー、そうだったのか”と感心し得心させられるところが多かった。

その後両氏とも、数点の著書を発表している。
エモット、タスカーの熱心な購読者としての私には、本書「日本の選択」はほとんど“また同じことを言ってる”と思わせることばかりである。

この著者にあまりなじみがなく、国内の評論家のものを少し読み、テレビ経済学の程度の読者には新しい視点あり、得るものがが多いであろう。
しかし馴染みの読者には退屈である。
対談という形式だから仕方ないかもしれないが。

タスカー氏はいう、「未来はすでに存在している、現在の中にすでに潜在的な未来が存在しているのだ」
そのとうり、15年前の両氏の説くところを読めば、この本はすでに存在していたのだ。