本当の潜水艦の戦い方―優れた用兵者が操る...

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本当の潜水艦の戦い方―優れた用兵者が操る特異な艦種 (光人社NF文庫)


光人社

価格(new/used): 760 円 / 600 円 より
発売日: (2006-05) アマゾン売上ランキング: 11888 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 9件

潜水艦(と潜水艦乗り)の判る本
潜水艦とはどんな物かについて潜水艦長から見て記した良書。

また潜水艦乗りの性質がにじみ出ていて面白い。
1章では潜水艦そのものについて
2章では潜水艦の用法について
3章では日本海軍の潜水艦使用の実態について
4章では3章で述べられた事の分析
5章では海上自衛隊での潜水艦の現状をそれぞれ記している。

各章では非常に詳細に筋の通った分析がなされている上、分かり易く説明されている。
潜水艦乗りとしての粘り強く好機にあっては果断なところが出ているのだろう。

しかし各章を通してみた時に難点も浮かび上がる。
潜水艦乗りとしての粘着質な所、不満点がにじみ出てしまっているようだ。

例えば1章では
・潜水艦を誉めようとするあまりに全く正反対に近い性質を持つ戦略原潜と基本的には戦術単位である通常型の長所を同時に記載していて、
本来相反する部分を兼ね備えている無敵艦のように描かれている。
・潜水輸送のように3章で用いるべきでないと述べているにもかかわらず1章で長所として記される矛盾。
・潜水艦では難しい、正しい海軍には必須の「水上艦による海上阻止、護衛任務」の無視。
・戦略的価値について言っているのに駆逐艦の万能艦としての、安いため数がそろえられることの意義の無視。
・各国海軍事情に基づいて作られた潜水艦の良い所取り。

5章では
・「敵性海域に存在する遍在性」が売りの潜水艦が現在の日本の法制上どうあっても主役になり得ないこと。
・アメリカでの新たな用途、特殊部隊の浸透などには全く使えないこと。
・核アレルギーから原潜の所有が絶望的であること。
・周辺国全てが軍拡している中、日本のみが軍縮していて、そのため装備の更新が遅れている(特に今はMD予算が圧迫している)ため完璧なバランスの取れた一流海軍にはなり得ないこと。

等ダブルスタンダードや誇大表記、嘘ではないが都合の悪いことの隠蔽などが見られる。
普通に読めば潜水艦が、穿って読めば潜水艦乗りがよく判る、有る意味「深い」本と言えるかと。
日本語がよくできている
まったくのど素人の、おばあちゃんも読んでよくわかった、と言っていた。
事実関係がしっかりしていて、それに著者の独創的な分析があるからだろう。正確でリズミカルな日本語も、下り坂を歩くみたいな楽な読み方ができる。
専門用語を駆使しているのは、著者の素養の高さだと思う。
テーマが、日本海軍潜水艦作戦の分析だから、海上自衛隊の潜水艦の話が少ないと言う不満(書評)は、ないものねだりだろう。
和食の本に、洋食の話が少ないと言って文句を言うのは、野暮と言うもの。
読んでいて辛くなるけど……
潜水艦って、もっと神出鬼没なイメージがあったけど、少なくとも太平洋戦争当時の艦はずいぶん不自由なものだったのだなという印象を受けた。用兵の誤りもあって、日本海軍潜水艦の惨めさには読んでいて辛くなるものがあるが、それを正面から見据えている点が本書の優れた点なのだろう。

現代&自衛隊の部分をもう少し手厚く書いてほしかったので星4つにしました。
今まだにない踏み込んだ書
海上自衛官出身者の書かれたものの多くは、わかり易い内容であるものの、海自への一歩踏み込んだ課題や批判が少ない、いわば優等生の論文の印象を受ける。それに対し本書は海自の問題点を具体的に表している点に今までにない踏み込んだ「提言書」と言える。願わくば全く意見を異にする海上自衛官の抽象的ではない堂々とした反対意見を聞きたいものである。一つ懸念は、本書のレビューに記載されていたが、著者が防研時代の研究成果をコマーシャルベースに使用することへの疑問があった。自衛隊では実務経験や研究成果を退職後、出版してはいけない内規でもあるのだろうか?だとすれば、色々な雑誌や本で元海将とか元何々司令官が今日の自衛隊の問題を提言する内容をよく目にするが、それらも規定に反していることになる。何故本書の著者だけが問題なのだろう?
2冊分ある
4章までは、第二次大戦での潜水艦作戦の潜水艦研究。
日本海軍潜水艦作戦の失敗の原因分析が主。1章で最初に潜水艦なるものを分析しているのは、かつてない手法。そのために戦闘力を定義しているが、軍艦と言うものがここでよく理解できる。
その上で、2章で最適用法を提案、これが仮説であろう。
実際の作戦を事実に基づいて、作戦態様(艦隊協力、潜水艦独自、母潜任務など)別に整理、評価。3章この部分はかなり複雑だが、よく整理してあるし、巻末に一覧表までつけるサービス。こういう表を作るのは大変だ。
4章で失敗原因を分析。この分析もかなりユニーク。5つの原因のうち、最初の艦隊決戦主義は定番としても、民族性などは秀逸。

5章は、別の本でいい。防衛庁省昇格の時期、こういう問題を解決するのが先決ではないか。