エイリアン通り(ストリート) (第1巻)...

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エイリアン通り(ストリート) (第1巻) (白泉社文庫)


白泉社

価格(new/used): 630 円 / 1 円 より
発売日: (1995-12) アマゾン売上ランキング: 116310 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 7件

ある意味時代を象徴する漫画だったのかな
私が小学生から中学生にかけて大ヒットした少女漫画。本当に物凄い人気でした。長らく私にとって謎の少女漫画でもありました。
大金持ちで天才的IQを持つ金髪の美少年がビバリーヒルズの豪邸に友人を集めて住んでいて、という設定です。全てに恵まれて周囲にチヤホヤされているが実は成育史にトラウマを抱えている。しかし周囲の人間に「なんて可哀相な」とチヤホヤしてもらうことによって心が癒されていくという話。美貌で金持ちで天才であるばかりではなく、「可哀相」でさえあるのだから主人公は世界一特別なんですね。しかもその可哀相の中味が全く大したことないのだから訳が分からない。このとことん甘ったるい仲良しワールドに酔える読者は波乱のない家庭で育った子供たちでしょうね。つまり1980年半ばまでには日本の家庭の多くがそれなりの豊かさを達成し、尚且つ意外と円満でさえあったのではないか、というのが後年の私の推測です。
全く「対立」のない世界です。キャラたちには全く個性がなく、独自性を持った言動を見せるキャラは誰もいません。全員が一人の人間の自我の産物であることが透けて見えます。この漫画の中のひたすら光に満ちた「アメリカ」の姿もそうです。この「アメリカ」は純朴で善良な日本人が夢見た蜃気楼であり、己の自我の一部です。どうもこの蜃気楼の先に、「駅前留学」やら「行くだけのアメリカ留学」やら後年グロテスクな形で現れる「日本人にとっての外界(海外)」、或は「小学校からの英語教育」さえも存在しているような気がしますね。
作者のひとつ前の世代の少女漫画たちが、ファンタジーの世界に住みながらも御し難い現実が外界にあることを認識して慄いていたのとは対照的に、この作者にはもはや何の慄きもありません。あるのは慄きのポーズだけです。善意の塊で、浅薄なのに己の真摯を疑わず、とことんナイーブで妙に自信に満ちた世界。24年組の感性が退化した延長線上にこの赤毛漫画があったのか、あるいはこの頃に新しい日本が誕生していたのか、もはや推測する気にもなりませんが。
成田美名子作品の最高傑作!?
成田は絵もうまいけど、ストーリイテラーとして、キャラや物語の設定・構成・展開のさせ方がうまい。
ストーリイの骨格がしっかりしているので少々脱線気味に話しをすすめてもブレることがない。
シリアスなシーンとコミカルなシーンとのつなぎ方やバランスが絶妙で、とてもテンポのよい運びは読者を退屈させない。

アラブ某国の石油相にして次期首長候補(最終話で首長に)を父に持つ主人公シャール・イダニス・モルラロールを主人公に
彼を取り巻く人々との顛末を描いていく。
当時、米国映画エイリアンが流行っていたこともあっての題名とは思うが、
本歌取りで見事に成田流のドラマを構築しているのはさすが。
題名にだまされてはいけません。
"エイリアン"という概念をテーマに据えて、シャールたち"エイリアン同士"は本当の仲間になっていく。
最終話では、拉致されたシャール救出作戦の際に、切り札としてセレムが真顔で
「だいじょうぶ。これがあります」と取り出す「中国花火」、
そして花火をきっかけに「合図だ!」とのり込むジェルを中心とした仲間たち。
感動の場面だった。
最終話のこのシーンはとても印象的で、いちばん好きなシーンでもある。

シャールの生立ちは複雑で、今は亡き母親は元英国美人女優のシェリル・ドレイク。
彼は母から金髪碧眼と絶世の美貌を受け継ぐ(女の子以上に美人に化けたりする)。
そしてナイーヴな一面も...。
反首長派との権力争いなど、金髪で目立つシャールは生命の危険にさらされやすいのもあって、
舞台の中心は留学先のアメリカ西海岸。
頭脳明晰な彼は既に16歳にしてロスの大学生(スキップ)。
大富豪の子息であるシャールの邸宅には、執事以外にもいろいろな同居人や仲間たちが集まってくる。

・執事/バトラー:シェリルの執事だったがそのままシャールに侍従。やさしく包容力あるナイスミドル。
・同居人/川原翼(女):シャールに拾われてきた。自己を探求し確立していく。
・同居人/ジェラール(通称ジェル):裏表ないストレートな性格。シャールの性格修正に彼の影響力は大きい。
・シャールの家庭教師兼父の補佐(後に同居)/セレム:静かな中に強さを秘めた男。彼自身も成長し変わっていく。

ゲストキャラも含めて、その他にも魅力あるキャラクターたちが目白押し。
それぞれのキャラたちが、自分なりに成長し自分を確立していく過程が丁寧に描かれていてとてもおもしろい。
時に共感し、時に笑い、時に涙し、読者も自分について考えさせられる物語となっている。
セレムの「迷いのある者は木の下にゆけ」など、奥の深い台詞が散りばめられているのも魅力。

クライマックス、王位継承者として正式に名乗りを上げ王族の前に姿を表すシャール。
次代の首長を目指すシャールの力になることを、ひとりの親友としても誓うセレム。
父と同じく不偏不党のジャーナリストを目指すジェル。
自分を取り戻し家族の元へと帰る翼。
みんなバラバラになってしまうが、いつでもロスのシャール邸に集まることはできる。
普段一緒にいなくてもお互いの心の絆は出会った頃とは比べものにならないことを再認識するシャール。
心に残る素晴らしいエンディングだった。

各エピソード(ストリート)の題名が映画の題名をパロディにしたものになっていて、それもおもしろくて味わい深い。
現在入手できる文庫版で紹介していくと、

第1巻
1st.真夜中のカーボーイ
2st.アラビアより愛をこめて
(番外編)ロスの魔法使い
(予告編)エイリアン通り
解説:高千穂遙

第2巻
3st.夜ごとの魔女
4st.掠奪された1人の花嫁
シャール通信
解説:鈴木結女

第3巻
5st.鷹は舞いおりた
6st.親父が出てきた日
シャール通信
解説:波多野鷹

第4巻
7st.この家の鍵貸します
8st.翼よあれが郷里の灯だ
(特別編)フィリシア
シャール通信
解説:平井和正

本編のおもしろさは言うまでもないが、番外編「ロスの魔法使い」や「フィリシア」もハートウォーミングで素晴らしいエピソード。
ウルウルしてしまう。
ぜひ一度読んでいただきたい。
青春のひとこまを鮮やかに切り取る
成田先生はなぜこんなに外国を描くのが上手かったのだろうか?
シャール、ジェラール、翼、皆輝いていた。辛くて落ち込んでいる時でさえ輝いていた。
若さとは素晴らしいものだ。苦しみでさえ美しさに変えてしまう。
そして未来がある。時があるというのはうらやましいことだ。
もちろん自分も連載されていた頃には、青春だった。ただ、自分では自分のことは見えないものだ。
シャールのようにではなくても、喜び、笑い、悩み、苦しみ、そして前進しようとしていたはずだ。
翼君、女の子なのにクンは可笑しいかな。でも貴方は女の子の素晴らしさを持っているのに、男の子の最良の面も持っているんだ。
シャールは・・・全てを持っているのに、一番大事なものを失くしてしまった。
そして、それをロスで見つけた。もう二度と失くすことはないだろう。
私も見つけた。二度と失くさないように毎日を必死で暮らしている。
シャール、がんばれ!
マンガ史に残る傑作
80年代前半に大ヒットした名作。金髪の美少年、天才、大金持ちでビバリーヒルズの豪邸に住んでいる、など主人公の造型はいかにも古くさいし、作品全体に漂うアメリカに対する盲目的な憧憬も、何というか、時代を感じさせる。

が、そのような理由で本作を敬遠するのはあまりに勿体ない。この作品にはそれだけではない深みがあるからだ。他者に対する戸惑い、ぎこちなさ、孤独。それを自覚してなお他者と繋がろうとするいじらしさ。このような人物をここまで的確に、かつ魅力的に描ける漫画家は、成田美名子をおいてほかにない。何より、どの人物も品のよいところが素晴らしい。作品は、ひきこまれるストーリーとセンスの良いユーモアに包まれつつ、生きることの素晴らしさとかすかな悲しみをあぶり出していく。一人一人の心の中に深く入り込んで、微妙な心の襞を丁寧に描いていく。70年代から80年代初頭はテーマ性をたたえたマンガが次々と世に送り出された時代だが、その中でも本作は、人物の陰翳、ストーリーのオリジナリティ、絵柄の美しさ、過度に小難しくならないサービス精神、そしてバランスのよさで、群を抜く。

輝け青春
吉田秋生作品に触発されてアメリカものを詠み始めた私にとっては、なんとも甘酸っぱい読み応えだが、
これはこれですばらしい青春物語であると思う。

「アラブの石油王」の息子でアメリカに留学中であり、4年スキップして15歳の大学生、ビバリーヒルズに執事と住み、女装もこなす金髪美形のシャール君の物語。
一条ゆかり先生の『有閑倶楽部』のように、メインキャラたちが様々な事件・問題に関わっていくストーリーかと思いきや、砂漠の冒険や政治的謀略等のエピソードを経て、ものがたりはシャールの【人とのかかわり方】に収束していく。
一見恵まれ、完璧であるようにみえる少年だが、子どもらしくスネたり、恋をしたり。
そんな自分に自分自身が気付いてゆきます・・・甘酸っぱい。
読んで、にこにこしてしまういい話です。