彼氏彼女の事情 (19)

- 白泉社 価格 ¥ 410
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彼氏彼女の事情 (19)


白泉社

価格(new/used): 410 円 / 1 円 より
発売日: (2004-10-05) アマゾン売上ランキング: -- 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 10件

16巻以降の純心理文的な作者の観察眼はかなり秀逸
作者は海外文学とクラシックが好きということでなにげに随所に作品名が引用されているが、引用の仕方がいい。ありがちなその作品のパブリックイメージだけで引用はあまりされずに、その話や曲の内面的な感性の部分で著者がキャラと投影させやすい部分を選びながらシンクロをさせているあたりは、原作を知ればまた著者の感受性を伺い知れて楽しいと思う。(※「狂気のショパン」「悪意のベートベン」などはなにげに深い考察。かつて松田優作の映画でも、どちらかといえばそんな大分コア(笑)。な使い方がされていた記憶が、ぼんやりと何故か頭のなかにある。)

秀逸なのは16巻以降のドロドロした人間模様の描写。この時期から作者はあとがきでもかたるように純文学作品や伝統芸能(劇)などに頻繁に通うようなっている。それは作品にも検挙にあらわされていて、人の心の闇や全国模試一位や美少年などのキャラの設定に対する周囲の反応は差別化を図りやはり現実味を帯びてくる。(ドタバタな学園ものな要素は薄れてゆく)

人の心に深い細部まで大分入り込んでくる。それゆえにあまりの唐突な展開やよくわからない理由で問題が解決したりもするが、それは純文学でもよくありきで、人の心の問題をつきつめると「みもふたもない」ものは「みもふたもないこと」であることさえにも気づかれず、置き去りにされてしまう読者がいるのは否めないが、深い部分ではこれも正解といえば正解だ。

ただもう少しそうした部分についてわかりやすく、コマ割りや台詞回しの工夫でできるのではないかという余地も見られ、多少作者のテンポ感が早すぎたという点はある。絵とフンイキの美麗な感じでカヴァーしてはいるが。
個人的には一度、「なぜそうなるのか」を細かく、人の心理の「過程」をふくめて話をかいてみてほしい作家である。心理と真理をおさえるだけは、街亥的といえる。やってしまうともう本当に「カレカノ」じゃなくなってしまうからなんだろうけど、ここまできたらもっととことんやって欲しかったところだ。
繰り返すもの
作者は元々、雪野と総一郎の二人の立場から物語を書き分けたかったようです。にしても、総一郎は暗い。この生い立ちの暗さは、古い文豪の文学作品を見ているような感触があります。この連綿と続く「家」と「血」による縛りは、日本の文学作品にはよく見るテーマで、少女マンガでも陰りのある美少年(笑)は、大抵この手の生い立ちの暗さをもっています。昔話や古典で言うと、貴種流離譚ですね。ただ、背中からヒタヒタと迫ってきて精神を追い詰める、生まれる前からの刻印への恐怖・苛立ちそして解放への作者のテーマの展開力は群を抜いています。僕がこの作者を好きなのは、人間のドロドロに暗い側面と、同時に解放されたときの聖性を帯びた美しさ静謐さを「同時に見てしまう」人だからです。主人公たちはのた打ち回りながらも、永遠に反復する業の輪を断ち切ろうと、もがいています。この手の作品は、庵野監督のエヴァンゲリオンで頂点を見た、過剰な自意識を支えきれない弱さのみをクローズアップする視点から、やや踏み出しています。そこは、すごく好感が持てる。

この手の感覚は、最近だと栗本薫の『絃の聖域』『大道寺一族の滅亡』や京極夏彦『うぶめの夏』や古くは森鴎外や田山花袋などの明治の文豪の香りがする気がします。なぜだろう?。たぶん、こういう親や家の長く連続して繰り返される「業」に縛られるというのは、近代日本の大土地所有制度のもとの地主や、地方の名家や芸事とに縛られる家元等の日本的『家』の連続性に絡む発想だからでしょうね。ある意味、そういったドロドロ複雑に絡まった歴史的なヘリテージを否定するところからはじまった米国などでは、ありえない発想でしょうね。だから有馬の父親が、米国に旅立つのはすごく象徴的です。

ドキドキしながらもすっきり!
これまで少しづつ少しづつ有馬本人の過去+有馬家の話に触れてきただけに、一体いつになったら全て語られるんだ~??!!と思って読んでいました。今思えば、上手な引っ張り方で脱帽です☆それだけにこの巻を読み終えた充実感といったら…。まだ読んでない方は早く手にとって頂きたい!さっぱりしますよ♪さっぱりしたあとも続きが気になるのは、やはりこの漫画の魅力ですね。
やっと全てがつながった
今まで分からなかった部分が全て見えてそしてつながりました。
何となく雲に浮いてたような総一郎さんの存在も現実になり、そしてラストは気になる結果となってますね。
優しいタッチですが内容は深く、人の醜さやまたそこから生まれる人間味がよく伝わってきます。
この作者の言葉選びには毎回ですが感動させられます。
螺旋
総一郎の実の父親、怜司。育ての父親、総司。
二人の父親の過去の話が描かれています。
なぜ、総一郎は生まれたのか。
なぜ、怜司は総一郎を捨てたのか。
その謎が解け、総一郎は過去から開放されます。
そして雪野は…。。。

読んでから、また最初から読み返したくなるようなお話です。