ドキュメント太平洋戦争への道―「昭和史の...

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ドキュメント太平洋戦争への道―「昭和史の転回点」はどこにあったか (PHP文庫)


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多面的な要素があった。
 「東京裁判史観」では、軍部とそれに支配された政治家が、「天皇の統帥権」を利用して、謀議の結果、中国への侵攻、アメリカとの開戦をしたという風に単純化されていくだろう。
 しかし、著者が明らかにしているように、日本において、「統一的な政治的意思決定」は存在しなかった。様々な事件のたびに、様々な人たちの異なる意見や思惑が、複合し、ある方向に流れていったということであろう。誰か、もしくは、何かの組織が、主導的に「太平洋戦争」への道を決定したわけではなかった。
 この点をいくつかのエピソードを解説しながら、見事に解き明かしてくれている。
 最後に、「太平洋戦争」という名称の是非について論じられているが、この本を読めば、首尾一貫して戦争指導がなされたという前提を撮る「15年戦争」などという呼び名が如何に虚しいか分かるであろう。
まさに太平洋戦争への道
太平洋戦争への道は軍部の独走によってもたらされたものだと信じている人がいまだに多いようであるが、そんな人たちに本書をお薦めする。軍部のみによって戦争が始まったのではないと言うことが、本書を読めば理解出来るだろう。世論、マスコミ、政治家たちの思惑などが様々な形で絡み合って、日米開戦まで行き着いてしまったのである。

現在の時点から当時を批判的に捉えることは簡単である。では自分が当時に生きていたとして、軍縮条約に賛成出来たか、2.26事件の反乱軍兵士に反感を抱いたか、三国同盟に反対したか、を問い直してみると良いと思う。本書はその点でも最良のテキストに成り得る。