恋するフェルメール―36作品への旅

有吉 玉青 - 白水社 価格 ¥ 2,100
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恋するフェルメール―36作品への旅

有吉 玉青
白水社

価格(new/used): 2,100 円 / 1,408 円 より
発売日: (2007-07) アマゾン売上ランキング: 79238 位
単行本 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 2件

フェルメールに魅せられた著者である有吉 玉青さんの文章に魅せられました・・・
本書を読み進めながら、著者の玉青さんへ羨望の気持ちを押さえることのできないまま最後まで読み通しました。
フェルメール・ファンなら誰しもが思い描く、全作品との対面。それを長い年月を掛けながら、世界中の美術館を巡って、それぞれの作品との出会いを分かりやすい文章で綴った紀行文のようなエッセイです。
1996年にオランダのハーグで開かれたフェルメール展のツアーに参加されたことで、一挙に23点を鑑賞する、という荒業もありましたが、その鑑賞態度は真摯なものでした。

本文中、玉青さんのいろいろステキな文章に出会いましたが、「牛乳を注ぐ女」との出会いでは、「わ。印象は、それだけだ。(少し省略)ガツン。こんな言葉でしか、そのときの衝撃を表現できない己が情けない。」と綴られていました。流石に有吉佐和子さんの娘さんです。素人には思いもよらない文章表現で、その時の感情を伝えてくれました。私も日本で同作品を鑑賞しましたが、言葉にできない輝きに満ちており、何回も絵のそばに言ってはフェルメールの真髄にふれようとしたものでした。
玉青さんの文章は、軽みの極致とも言えるような上手さとストレートな感情表現で、好感を持って読み進めました。

嬉しかったのは、今でもよく覚えている2000年の大阪市立美術館に5点のフェルメールがきたことを取り上げてもらったことです。あの時の長蛇の列と「真珠の耳飾りの少女」の眼は、玉青さん同様、忘れることができません。また2004年の「絵画芸術」が来た時の感想は、私と異なった見解でしたが、それもファン特有の感情として共感しました。
玉青さん同様「合奏」が出てくることを祈りつつ・・・・
玉青さんとともに、フェルメールへの旅
フェルメールへの興味よりも、有吉玉青さんの文章を読みたくて手にとった。
玉青さんのしっとりとしていながらきっぱりとした筆の運びが大好きだ。
しかしながらこの作品は小説ではなく、彼女の個人的なフェルメールへの思いを
気取らずに綴ったものであり、予想はしていたが玉青さんの素の顔がのぞく。
いつもとは違う茶目っ気たっぷりの物言いに引きこまれ、存外楽しませてもらった。
大好きなフェルメールを見に諸外国へたずねて行く。日本で展覧会があれば、
いそいそとフェルメールに会いに行く。
実に16年をかけて、現在見られる35点のフェルメールを見る。
何も難しいことは書いていない。
ただ、大好きな画家の絵を見、思う。その行為の単純明快な喜びに、読む私も
引きこまれてしまう。
七面倒な講釈も蘊蓄もない。描きこまれた細部を見、実物に会えた感慨や気付きを
素直に語る。
その時々の彼女の心の内も吐露されている。人間関係に悩み、絶望していた頃のこと、
説明よりも沈黙……言葉が思いに追いつかず、言葉にするほどに嘘になるという
もどかしさもてらいなく書く。
いっしょにフェルメールを見た友人とのこと、さらりと記された感謝や通じ合う気持ちの
心地よさなど、飾らない人柄がかいま見られて好ましい。
画家にまつわる本にありがちな、絵をカラーで何ページもはさんだ体裁をとらず、
あくまでも玉青さんのフェルメールを見たときの思いや、新たな自分なりの発見を
主体に話は進む。
フェルメールの絵は、ちいさな数センチのモノクロ印刷でところどころにあるだけ。
それがまた、読み手に、ちゃんと今度カラーの画集で見たいなという気にさせるから
不思議なものだ。

私もまた、すこし、フェルメールについて感じていた個人的な思いを深めることができた。

あと1点、<合奏>が一日もはやく見られるといいですね、玉青さん。


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