モジュール化―新しい産業アーキテクチャの...

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モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質 (経済産業研究所・経済政策レビュー)


東洋経済新報社

価格(new/used): 2,940 円 / 1,200 円 より
発売日: (2002-02) アマゾン売上ランキング: 67719 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 9件

わかりやすくて便利
執筆者は、
学界から、青木昌彦(1)、ボールドウィン(3)&クラーク(2)、
柳川範之(5)、藤本隆宏(6)、中馬宏之(8)、
産官界から、安藤晴彦(小論)、池田信夫(4)、大久保宣夫(7)。
さらに、青木、ボールドウィン、榎啓一、橋本浩、国領二郎、桑原洋による
パネル・ディスカッション(10)も収録されている(数字は章)。

モジュール化とアーキテクチャの関係の本質がわかるのは、
第5章「ゲーム産業はいかにして成功したか:アーキテクチャ競争の役割」であり、
モジュール化と組織の関係に若干触れていたのが、
第10章「実践から学ぶモジュール化の意義と可能性」であった。

組織論的には「分権と集権」という旧くて新しいトピックにすぎない、
という感想。
重要!!モジュールという考え方!!!
今日の市場環境の急激な変化は、流通過程・生産過程に何を求めているのか。その率直な答えの一つは、モジュール化経営の展開、という点に求められる。本書は、モジュール化という考え方について、主に生産過程で生じている現実と理論の紹介をしてくれる。
本書によれば、モジュールとは、半自律的なサブシステムであって、ほかの同様なサブシステムと一定のルールに基づいて互いに連結することにより、より複雑なシステムまたはプロセスを構成するものである。ここで、一つの複雑なシステムまたはプロセスを、一定の連結ルールに基づいて独立に設計されうる半自律的なサブシステムに分割することをモジュール化、ある連結ルールの下で独立に設計されうるモジュールを統合して、複雑なシステムまたはプロセスを構成することをモジュラリティという。
モジュールの考え方は、その基礎に、最終製品の複雑化・製品技術の複雑化に伴いモジュールの概念を導入することで、こうした複雑性を処理する方法論として位置づけることができ、その特徴・便益として大きく3つが指摘されている。①モジュール構造にすると、複雑性が管理可能なものになる、②モジュール化によって並行作業が調整可能となり、モジュール間の相互調整をせずとも同時に行うことができる、③モジュール構造は下位システムの不確実性に強い、これらである。こうした基礎的便益は生産面、設計面、使用面で現れるとされ、具体的には次のような効果があるとされる。例えば、生産面でのモジュール化は柔軟な生産システムが可能となり生産を弾力的に行うことができるようになる、設計面でのモジュール化は製品の多様性をほぼコストをかけずに拡大することができるようになる、使用面でのモジュール化は消費者において構成要素を組み合わせて自分たちの好みやニーズに合う最終製品を手にすることが可能になる、などである。詳細は、本書を参照されたい。
本書は、このようにモジュールという概念を詳細に議論し理解を深めてくれる。その内容は、競争が激しい市場環境において避けることのできない概念であるといっても過言ではない。そうした重要な概念が明らかになりつつある中、次なる課題は、こうしたモジュール化が進むことによって企業を成立させている機能(ex;マーケティング・開発・生産など)はどのように変化するのか、という点であろう。しかし、この点については、稀薄である。
「モジュール化」について、理論から応用事例まで丁寧に解説
 IT産業やゲーム産業、自動車産業をはじめ様々な産業において、近年ますますその存在感を示している「モジュール化」という概念について、理論から応用事例まで丁寧に解説している。理論の部分ではモジュール化の概念の最初の提唱者ともいえるクラーク氏とボールドウィン氏の論文が掲載され、応用事例の部分では現実世界でのモジュール化事例研究の分野で活躍してきた日本人研究者の論文が並ぶ読み応えある構成だ。

 モジュール化は何もIT産業や自動車産業に限って有用な概念ではなく、あらゆる産業で十分応用可能な、経済学的にも経営学的にも優れた概念であることを本書は強く主張している。もちろんモジュール化は万能の概念ではなく、本書でもどのようなケースに置いてモジュール化することが有効か、その数理的分析がなされている。しかし組織構造や製品設計、技術開発など身近なシーンで見受けられる汎用的概念であり、モジュール化の力が及んでいる範囲の広さを改めて認識させてくれる。本書の原典ともいえる『デザイン・ルール―モジュール化パワー―』よりも現実のビジネスでの事例が豊富で、読みやすいので、モジュール化理解への近道となるだろう。

「イノベーションのジレンマ」とともに現代経営学にとって必須の教科書.読むべし!
モジュール化の大きなうねりが世界中を席巻している.過去20年に渡りIBM PC互換機の発展を目の当たりにしてきた者にとっては,それは大変強大で避けがたい波に見える.しかし一方で日本の車作りを見てみると,統合型アーキテクチャの製品も相変わらず強い競争力を保っていることに気がつく.モジュール化が我々にどのような衝撃を与えるのか,それに対処するにはどのようにすればよいのか,あるいはもっと積極的にモジュール化を経営に生かすにはどのようにすればよいのか?

この本は,モジュール化の長所と短所,産業や経営にもたらすインパクト,具体的な対応方法などについて,世界一流の識者たちの解説と意見がぎっしりと詰まった玉手箱である.今日の経営にとって,モジュール化の意味を知らないままでいることは致命的であり,そのインパクトの大きさは「イノベーションのジレンマ」に述べられた破壊的技術以上のものがあると言ってよい.多様な執筆者群の多面的な解説は大変参考になり,経営改革への刺激を与えてくれる.全てのビジネスパーソンにお勧めの良書,というより必須の教科書である.

ちょっと難しい
モジュール化を学ぶための入門書として読むには、少し難しいかもしれない。しかし、モジュールの理解の決め手となる、設計情報の説明はとても詳しくされているので、とっつきにくいが、読んでしまえば、これほど分かりやすく説明された本は無いであろう。

本の中で扱われている中馬の半導体露光装置とNS旋盤のモジュール度による競争優位の違いを研究したペーパーはとても興味深い。
なぜニコンのステッパーは近年世界シェアを落としてきたのか、またなぜ日本の工作機械、なかでもNS旋盤は高い競争優位を持つのかを、モジュールを使って説明した傑作である。