煙の殺意 (創元推理文庫)

- 東京創元社 価格 ¥ 651
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煙の殺意 (創元推理文庫)


東京創元社

価格(new/used): 651 円 / 185 円 より
発売日: (2001-11) アマゾン売上ランキング: 45511 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 3件

紅葉の山に雪を訪ねる
◆「椛山訪雪図」

 ▼あらすじ

  美術品蒐集家の家に強盗が入り、お手伝いの
  女性が殺され、二幅の軸が盗まれた。

  そのうちの一つは北斎の雪山図だったのだが、
  なぜか後に書庫で発見される。

  その代わり、雪山図と構図や、人物・風物の配置を
  同じくする「椛山訪雪図」が紛失していて……。



 ▼感想

  「椛山訪雪図」の「紅葉の山に雪を訪ねる」
  という画題に秘められた二重の意味とは?

  そして、蒐集家が呟くように口にする其角の
  「闇の夜は吉原ばかり月夜哉」に込められた感慨とは?


  芸術の趣向と、現実の強盗殺害事件の構造が
  二重写しに読者の眼前に示される謎解きの瞬間は、
  まさに著者の真骨頂です。


  軽妙にして洒脱な話運びと、にじみ出る教養。

  著者の数ある短篇のなかでも、
  頂点といっても過言ではない傑作です。
名品「椛山訪雪図」が、格別、素晴らしい。
落語の名人が語る噺の旨味と、トリッキーな仕掛けの妙が味わえるミステリー短編集です。

抑制の利いた文章のたたずまい。
さり気ない話の伏線が、後でとんでもない絵柄となって現れる騙し絵の構図。
上質のミステリーを読み、味わい、楽しむひとときを満喫しましたよ。

収録された八つの短編のなかでも、直木賞候補作となった「椛山訪雪図」、花見の季節の公園を舞台にした「紳士の園」、殺人事件の現場でデパート火災を中継したテレビを見ながら事の真相に至る刑事の話「煙の殺意」の三編の出来映えが素晴らしく、これは!と唸らされました。

とりわけ、「椛山訪雪図」の話の風情が素晴らしい。読むのは今回が三度目くらいになるのかな。しみじみ、このミステリーは良いなあと魅了されました。
今まで読んだ国内ミステリー短編のなかでも、私の中では三本の指に入る名品。未読の方には、ぜひ一度ご賞味くださいとお薦めいたします。

キレの良い短編集
江戸時代の画家の描いた絵に隠された謎を解き明かす名作「椛山訪雪図」、行儀の良い人ばかりの集まる公園の秘密「紳士の園」、完全に見えた殺人計画が思わぬところからバレてしまう「歯と胴」など、毛色の変わった謎を推理によって思いもよらない解決をみせる、といった短編のお手本のようながら、それでいて著者にしかまず書けないようなミステリ8編が収められた短編集。
中には、都合が良すぎる、推理が飛躍しすぎというところもあるのですが、語り口が絶妙で、読んでいる最中には全然気になりません。
発表が1976~80年にかけてと、一昔前の短編ばかりなのですが、今読んでもとても新鮮、キレの良さがすばらしい。読んで損のない短編集です。