ハマースミスのうじ虫 (創元推理文庫)

William Mole - 東京創元社 価格 ¥ 819
home書籍CDDVDゲームソフトウェア家電キッチンおもちゃ・趣味
ハマースミスのうじ虫 (創元推理文庫)

William Mole
東京創元社

価格(new/used): 819 円 / 199 円 より
発売日: (2006-08) アマゾン売上ランキング: 159202 位
文庫 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 6件

幻の名作の名に恥じない一作
普段はそれほど酔ったりしない堅物の銀行家が、いつもと違って飲みすぎているのをクラブで見かけたワイン商のキャソン・デューカー。気になって声をかけてみると、渋々ながらその理由を語り始める。銀行家が強請られていることを知ったキャソン、興味を持った彼は、わずかな手がかりから、バゴットと名乗る脅迫者を探し出そうとするが・・・。

名作だ、傑作だ、おもしろいと噂は聞けてもなかなか読めることのなかった、いわゆる幻の名作だったサスペンスミステリ。

ほんの少しの手がかりを使い犯人の正体を探っていくまでは、ちょっと都合よく進みすぎな感じもしますが、犯人を特定してからのキャソンとバゴット、片や犯罪の証拠を見つけ出そうとし、片やキャソンを使ってある目的を達成しようとする二人の腹の探り合いは迫力にあふれ読み応え十分。なるほど、幻の名作の名に恥じない一作です。

新訳、文庫で復刊、なんとも喜ばしいことですね。願わくは、すぐに品切れ、また幻の名作になったりしませんように。
待ってました!!!!
'55年にクライム・クラブの一冊として刊行され、好評を得ていたにもかかわらず何故か再刊されなかった幻の名作がとうとう復刻。
個人的には20年以上前にボロボロのクライムクラブを借りて本作を読み、その意外なプロットによる犯人探索に感銘を受けた。その後再読したくなり探しまくったがどこでも見つからず、とうとうイギリスから原書(これもボロボロ)を取り寄せた。
正直言って稀代の名作かと問われると肯定は出来ない。時代を感じさせる面もある。ただ復刻しただけで星三つ。さらには解説で謎の作者だったウィリアム・モールの正体が分かり星一つ追加の星四つを捧げたい。
コアなマニアには是非読んで欲しいと願う。
粋な作品
強請られた人に出会った主人公が素人探偵として、犯人を見つけ、追いつめていく物語です。
この作品を奇妙な味にしているのは、主人公が探偵役を務める動機です。正義感というには、歪んでいて、特に被害者に同情した訳でもないようです。かといって犯人との知恵比べをスポーツのように楽しむ名探偵の役どころかといえば、犯人を追い込んでいく過程は陰湿で、ある登場人物に「私は穢された」と言わせるほどです。
この奇妙な味わいは、他のミステリーではなかなか類が無く、読んでみる価値はあると思います。
ただ残念なことに、偶然やなぜか主人公の都合に合わせて動く犯人の行動に頼っているような展開が散見されたので、少し減点です。
確かにヴィンテージもの
クラシカルなミステリーでヒッチコックの映画を観ている気分になれる。街の風景描写など巧みで引き込まれる箇所も多々あるが、所詮道楽者の素人探偵が結構歪な正義感で犯人を追い詰める、という骨格は赤玉ポートワイン級の「甘さ」。時の流れを「芳醇」と取るか「陳腐」と取るかは読者のミステリー観による。読み手を選ぶ一冊。
ハマスミスのうじ虫
元の本は1955年に出版され、今回、再翻訳がなされたのです。
 テンポが早く、関係が複雑に入り組んだ現代の推理小説とは、およそ両極をなすかのような、ゆっくりとしたテンポ。最初の30ページはぶん殴りたくなるくらい、ゆっくり全然面白くないです。しかし、市井の詮索好きが犯人への手がかりはたったひとつ。古美術が好き ということだけから、ゆったりゆったりと世界に入り込む頃、それは100ページあたりからは、ディテール、特に当時のロンドンシティのインテリでワイン輸入商の主人公の普通の生活ぶりを体験しつつ、話を進めるのに、けっこうはまってしまいます。
我慢から、開放されると後は一気に進みます。