格差と希望―誰が損をしているか?

- 筑摩書房 価格 ¥ 1,890
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格差と希望―誰が損をしているか?


筑摩書房

価格(new/used): 1,890 円 / 1,270 円 より
発売日: (2008-06) アマゾン売上ランキング: 3887 位
単行本 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 5件

こういうスタイルの本は・・・
本書を
お勧めしたい向きは、普段から、大竹氏の論調に関心があり、
まとめて、テーマ別・時系列的に読んでみたいと思う方だ。

お勧めしない向きは、そもそも過去に書き連ねた論文を
並べるという(直近の追加コメントはあるにしても)本の
作り方が嫌いな方だ。

私自身はいやしくも「本」として世に問うのならば、
最新のデータと論調を踏まえて、書き下ろすべきだという
考え方なので、大竹氏の個別の論点で傾聴すべきところは
あると思いつつ、「本」としての評価は低くなってしまう。
長期的且つ広範囲な視野で、今の判断をしているか?
 新聞・雑誌発表の各論者の言も参考にし、それに補足などして自身の論を構成し、各紙・誌に発表したコラムを書籍化したもの。

 曰く
 ☆解雇規制強化は、正規・非正規労働者の双方に負担を与える。

 ☆評価システムは、非効率で暇な部門ほど優れた資料作成可能であり、当初の目的に反して、素晴らしく評価されるおそれがある。

 ☆年金制度を個人勘定の積み立て方式と、税によるセーフティネット方式に変えるべきだが、利得者たる高齢者の人口・投票率が多すぎて、政治家はそこに踏み込めない。

 ☆他国が既に行っているように、政府統計を研究者向けに公開して、世界の研究者の提言を、政策提案に利用すべし。
 
 ☆格差社会の出現は、年功序列システムの延命の為、各個人が自身の賃金を下ぬ事に固執するあまり、新規雇用を阻み、生産性弱者を排除することで発生した。

 ☆市場競争に関する既得権者と弱者の、規制緩和反対「共謀」

 上辺でなく本質的な問題点に言及し、顕在化させた良書であり、2004年の文章もあるが追記でフォローされているのにも好感をもてたが、教育に関しては、具体論にまで及んでおらず、残念ながら☆1つ減点した。
経済学からの視点
問題となっている格差とはどのようなもので、なぜ拡大し続けているのか。以外に知らないこれらの点を、経済学という観点から論理的に解説。他にも経済、社会保障といった分野も含めて総括に議論する。
「格差に対する規制強化はまったくの逆効果」「既得権層が弱者を利用する」など、注目すべき主張は多いのだが、いくつかの連載やコラムをまとめたものであるだけに若干まとまりに欠け、論点もぼけてしまっているのが残念。それでも本書の優れた視点は評価すべきだろう。
格差対策としての教育の内容と有用性が分からない
帯にもなっているコラムには「学歴間賃金格差は高い学歴や技術を身につける行動の原因となるため、必ずしも悪いことではない。」という趣旨の記述がある。しかし「学校は人的資本を形成するのか?(齋藤経史)」が示したように高等教育がシグナリングにすぎない場合でも、悪いことではないと言えるのだろうか?

「まっとうな格差対策は教育・訓練しかありえない」「教育の充実こそ格差対策の本流」との記述があるが、筆者の考える教育の内容や有用性の論拠が示されていない。よって筆者の指す教育がどのような教育か?本当に有用なのか?を読者は考えることができない。

解雇規制や上限金利問題に関しては、具体的に二次的な帰結を示している。しかし、教育に関しては、かけ声だけに読めてしまうのが残念に思う。
格差論にはいろいろあるが、ここ最近の格差論を概観したうえで、あるべき姿を論じており、客観的でかつ経済学的思考のうえに書かれている好著である。
本書は、2005年から2007年にかけて、著者が日本経済新聞と週間東洋経済に連載していた記事をまとめたものである。

 当時の経済に関する出来事と、それに対する識者の論説を紹介したうえで、著者の考えを述べている。

 本書の主要テーマは、表題の通り「格差」である。ちょうどNHKで放映された「ワーキングプア」をきっかけとして広まった格差問題に深く切り込んでいる。著者の分析によれば、不況期に企業は正社員の既得権益を守るために賃金には手をつけず、新規雇用の抑制と非正規雇用の増加で対処してきた。これにより、若年層の間で格差が広がった。同時に、正社員の長時間労働化が問題となった。というもので、格差論の背景には、労働組合も含めた既得権者の存在があるという。

 格差解消のためにわれわれがなすべきことは、規制緩和をやめることではなく、若い人たちに必要な教育をさらに充実させることだとしている。

 格差論にはいろいろあるが、ここ最近の格差論を概観したうえで、あるべき姿を論じており、客観的でかつ経済学的思考のうえに書かれている好著である。
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