柳田国男論・丸山真男論 (ちくま学芸文庫)

- 筑摩書房 価格 ¥ 1,260
home書籍CDDVDゲームソフトウェア家電キッチンおもちゃ・趣味
柳田国男論・丸山真男論 (ちくま学芸文庫)


筑摩書房

価格(new/used): 1,260 円 / 900 円 より
発売日: (2001-09) アマゾン売上ランキング: 212201 位
文庫 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 1件

西欧的とアジア・アフリカ的
「スターリ二ズム―ファシズム―官僚主義の円環/循環構造」ということが語られている。つまり国家という枠組みがある限りこの構造は保持されて潜在的に循環することを待っている、というわけだ。ここですべての教育主義=官僚主義者はふり落とされることになる。

 そして、この構造を支えるものは丸山の分析と違い上層でも下層でもない「中層」のメンバーである、となる。

 私は最近大学というものが悪の元凶ではないかと思い始めている。人文社会科学は理念を以って自らの存在理由を偽装するが、正しい知識に対する妄念や信仰であり、それが無いものを排除する官僚主義の自己正当化のドグマでしかなくなっているように思う。そして理系の人々もそのモラルはそうしたものに準じている。マスコミはドグマと社会の実際のギャップの隙間に乗じて騒ぎ立てているだけだ。加藤典洋だったか、吉本は「丸山真男論」が一番だと言う話があった。手法がすべて現れているともいう。大学知識人にたいする距離の置き方、日本の後進性の客体視等か。

 吉本は丸山の「現実的立場」は当時の共産圏=スターリン主義の枠組みを越ええず、「虚構の立場」は古典マルクス主義には不可能であった日本の政治体制と思想の実体構造を分析する原理的統一の道を開いたと評する。つまり「アジア的国家」の分析の問題を通じて柳田論へと繋がることになる。そういう意味ではこの文庫では順序が逆だろう。

 他方柳田国男は、始め苦手だったが後に一種の普遍的な学問の手法ではないかと評価が一変し、天皇制の根拠たるアフリカ的段階にまで覡野がとどいていたのではないかとしている。超資本主義の考察と同時期に、柳田を通じて人類の原型、歴史の原型を見てゆこうと言う視点も深まってゆく。ここには西欧近代官僚主義とアジア的封建主義遺制ともどもまず「理論=虚構の立場」的に乗り越えようとする吉本の苦闘が伝わってくる。