監督 小津安二郎 (ちくま学芸文庫)

蓮實 重彦 - 筑摩書房 価格 ¥ 1,260
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監督 小津安二郎 (ちくま学芸文庫)

蓮實 重彦
筑摩書房

価格(new/used): 1,260 円 / 380 円 より
発売日: (1992-06) アマゾン売上ランキング: 162743 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 4件

スノッブな小津ファンだった頃
 僕は小津の映画は 相当好きだ。

 1960年代に生まれ 1980年代が主たる青春時代の舞台だった僕が 小津のどこに惹かれているのかは 正直今でも分からない。
 これが例えば 黒澤明であれば 考えることはない。どう見ても 黒澤映画は世界的に考えても面白いからだ。
 それに比べて小津の映画は 好きな理由が難しい。

 蓮寶重彦の本書は 小津好きの映画ファンには いっときバイブルのような様相を示していたと思う。本書を抱えて 今は無き銀座の並木座に行っていた頃の僕は 今考えても スノッブな小津ファンだったのだと思う。それからもう20年経った。

 LDでたまに見る小津映画は やはり面白い。中年になった今の自分の方が 鑑賞力が上がっていることにも気がつく。
 そんな中年になって本書をぱらぱらと見る。見ていると1980年代がデジャビュのように立ち上がってくる。
表層批評の名品
蓮實氏独特の文体に酔っているうちに、知らずと小津の世界に引き込まれている自分に気付く。伊丹十三はかって、小津の映画が上映されないことを皆もっと怒るべしと、蓮實氏との対談で語った(『フランス料理を私と』所収、実は岸恵子氏を含む鼎談)。しかし今や、小津がフィルムの表層にやきつけてくれた、穏やかで暖かいかっての日本の家庭生活は、失われたフィルム以外はすべてDVDによって、いつでも鑑賞できるようになった。蓮實氏の功績の一つであろうが、この書によること大である。感謝をささげよう。しかし、氏の唱える「表層批評」の実践がよく為されたという意味においても、歴史的一冊であろう。その表層にこだわる批評の一部始終をじっくり味わっていただきたい。
それほどのものだろうか?
蓮実重彦の本書は80年代の著作と言え、今日も通じる小津安二郎
論である。しかし、小津作品とはかくも複雑な謎に満ちたものだろ
うか。我々は今日の眼から小津作品を評価しているだけではないか。
すでに失われた昭和20-30年代の日本を憧憬しているだけでは
ないだろうか。小津の作品は例えば国際便の機内で他に何もしようの

ないときに見るには十分味わえるが、日常なかなか見ても楽しめ
ないものだ。連続して見たらまず耐えられないほどの冗長を感じる。
昭和30年代後半、日本映画が衰退したが、その一因は小津のような
作品が跋扈したこともある。
小津の過大評価は戒めたい。

強靱な狂人の凶刃による、新世界への道案内
小津安二郎作品の入門書、蓮み重彦の入門書、いや、これは映画そのものへの入門書であります。この本のすごさは、小津映画の見方が変わるだけでなく、映画(そして世界)そのものの見方を根底から変えてくれる(否応なく変えられてしまう)可能性を秘めているところであります。一度読んだら最後、蓮み氏独特の魔術(ペテン)のような文章の誘いで、新世界まであなたを案内してくれる事でしょう。そこから出られる事が出来たあなたは、きっと新時代の映画作家か、批評家か、さもなければ映画を観ることをやめているかもしれません。


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