カント入門 (ちくま新書)

- 筑摩書房 価格 ¥ 756
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カント入門 (ちくま新書)


筑摩書房

価格(new/used): 756 円 / 300 円 より
発売日: (1995-05) アマゾン売上ランキング: 30388 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 7件

わかりやすく的確なカント入門書
カントの入門書はカント自身による『プロレゴメナ』をはじめかなり読んだが、本書が一番いいと思う。さすが専門の学者の手によるものだけあって記述も正確で、変な自意識がない。カテゴリー表とアンチノミーの関係等基本的なことがわかりやすく書かれている。多少記述が論理学寄りではあるが、晩年の問題意識もフォローしているので問題はない。構成的理念と統制的(本書は「統整的」とは書かない)理念の解釈、物自体の解釈や視差の問題等は柄谷行人を知る人間にはものたりないが、カント問題意識を現代に蘇らすという点において本書のようなコンパクトな入門書の存在は大きい。
(ただし同著者による他の著書は二番煎じなので、次のステップに行きたい人にはカント自身のテキストを薦める。)
ぐいぐい読めました
カントの哲学について、個別の詳細な議論はあまりせず、全体を通した基本的なものの見方という観点から概説しており、大変わかり易い入門書になっています。この本を読んだ後、別の入門書を読んでみたけど、全体の構成・バランスなど、こちらの方が圧倒的に優れていました。

のっけから、人間理性の限界、理性は無限を把握できないという議論から始まり、宇宙には量がないという結論にあっという間に至ったとき、初めてカント(の入門書)に触れた私は、まさに驚天動地。宇宙は量の概念で図れない。だから、時間や空間は人間の主観的な認識の形式でしかない。そこからカントの哲学が整理されていきます。

難解とされるカント哲学の解説ですが、用語も丁寧に解説してあり、混乱することもありません。何よりも、基本コンセプトの把握に徹しているところが、私のような素人にはお勧めです。また私は、一貫して展開していく論理に引き釣りこまれて、どんどん読み進めることができました。

でも色々な命題に関する証明は、本の性格上最小限に留められています。それゆえ必ずしも全てが腑に落ちるものでもありません。ですので、カントの哲学について自分なりに評価していくためには、さらに読書を進めていく必要があるだろうと考えました。
いい入門書だと思いました。
 著者の石川文康さんは、カントの「批判哲学」のキーワード(悟性、理性、判断力など)をわかりやすい言葉に置き返して、説明してくれています。語源から説明してくれているので、理解しやすいです!
 でも、カントをまったく知らない人は、中島義道さんの『カントの人間学』(講談社新書)をまずは読んでみるのがオススメです。なぜかというと、石川さんの本では、カントの自伝的な要素について書かれていないからです。
 さらに言えば、カントの『純粋理性批判』(岩波文庫)を買って読んでみて、「こりゃ~、一人じゃ読めないよ」と思ってから、この『カント入門』を読むと、「オゥーわかりやすい」ってより感じることができると思います!!
 
 
一般人の入門書になってない
カントに限らず、哲学が敬遠されるのも無理はないな~と思いました。哲学における問題の考察の仕方がどうしてもこじ付けのように思えるのです。例えば、カントが行った理性批判の根拠として、「同一の理性が相反する2つの命題を同時に証明している場合、両方の命題の真理性が失われ、それどころか真理の最高決定機関であるはずの理性がその原因だから、理性能力そのものに疑いがかけられる」とあります。その具体例として、「世界に時間的な始まりがあるかないか」が挙げられ、どちらも理性で真であると証明できるとされています。「ある」の証明において、「もし始まりがないとすれば、どの時点においてもそれまでに無限の時間が経過していることになる。無限な時間とは完結しえない時間である。ところが我々は現在という完結した時点においてある。従って、これまでに無限の時間が過ぎ去ったということはあり得ない。すなわち世界は始まりを持つ。」とあります。なんで現在が完結した時点と言えるの?未来に向かって無限に伸びてるんでは?数直線上のゼロの位置に現在はあるんじゃないの?「ない」の証明においては、「始まりがあるとすれば、世界の始まりの前に何も存在しない空虚な時間があったことになる。空虚な時間からはおよそ物が生起することは不可能である。無から有が生起するなんらの条件も見出せないから。ゆえに世界は始まりを持たない」とあります。「無から有は生じない」は、経験上そんな気もしないでもないですが、絶対そうだなんてどうして言えるのか?結局時間の始まりの有無は証明されていない気がします。そんな一般人の疑問に答えることなく著者はどちらも理性により証明されていると前提して、そのような理性の「二枚舌」を「ショッキングな事態」とし、さらに「いっそうショッキング」なことに、理性の結論として世界は実は存在していないことになる(とカントは考えた)と続け、さらにカントの全体の説明に入ります。もうこの辺で私にはついて行けません。理性なんて、本人の意思や経験や状況に応じて如何様にでも使える単なる「道具」なんじゃないですか?そのような理性の不確実さを発見ないし主張したのがカントの偉大な点だとしたら、大したことないな~と思うのが一般人だと思います。結局本書は一般人を対象とした入門書ではなく、一通り哲学を勉強した人が読んで自分の知識を再確認して自己満足に浸る程度のものでしかない。
類似の本はたくさんあれども・・・
実は、類似のカント解説本がたくさんあるなかで、カントの宗教論について言及されているものは少ない。まず、『純粋理性批判』についてのみ着目する人は、カントを形而上学の破壊者としてのみ位置づけてしまう。それは間違っている。ヴィトゲンシュタインを論理実証主義者と同一視するようなものだ。それを乗り越え、カントはライプニッツ=ヴォルフ的な完全性をひっくり返し、自由の意味を変え、それを道徳と結び付けたという意味合いで『実践理性批判』に着目するだけでも、難しい。しかしながら、カントの宗教批判『単なる理性の限界内の宗教』にまで言及されている入門書はさらに珍しい。というよりも、ほとんど稀有である。それを織り込み、入門書としてきっちりと書き上げているこの本はえらい。