私の幸福論 (ちくま文庫)

- 筑摩書房 価格 ¥ 672
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私の幸福論 (ちくま文庫)


筑摩書房

価格(new/used): 672 円 / 290 円 より
発売日: (1998-09) アマゾン売上ランキング: 61697 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 11件

いろいろ考えさせられます。
もともとは若い女性向の雑誌に連載されていたものを集めて本にしたものなので、福田恒存は本の中で女性、特に若い女性にむけて語りかけています。この本が加筆も経て出版されたのはもうずいぶん前のことですから、内容的には現在の実情とはあっていないな、と感じられる部分も多々あるかもしれません。若者に関して論じた部分、働く女性に関して論じた部分などに現在との違いが感じられます。しかし、それをふまえてもこの一冊は読む価値はあると思います。人間が生きていく際の、最も根本的なことに関して、福田恒存という人が私たちに伝えたかったことがかなり具体的に書かれています。
個人的に特に印象的だったのは、「美醜について」「教養について」などの章です。「美醜について」の章では、福田は誰もがなかなか口に出せなかったであろうこと、すなわち人の間には顔が美しいか醜いかということによってはじめから不公平が生じているのだ、ということをあっさりと明言します。この章によって、福田は評論家としては少々「変わった」人だなということが読者のほうに印象付けられると同時に本の中に引き込まれていきます。また、福田が最初のいくつかの章を中心に展開している宿命論は、私たちが気づいているようでいなかった自分自身の心の動き方を明示してくれ、目からうろこが落ちたような気分になります。また、もうひとつ私にとって印象的だった「教養について」の章では、頭に知識を詰め込むことと教養を身につけるということはまったく違うのだと言うことを示し、今の私たちの社会でもはっきりと存在する表面だけの学力至上主義、詰め込み主義に一石を投じます。
そのほかの章でも、個性的で面白い、一本筋の通った論が展開されています。自分は福田に賛同できるかどうか、じっくり考えながら読むと、読み終わったときには少し世の中が変わって見えるかもしれません。
突き放した中にも優しさがある
初っ端から女性の美醜による差別はあって当然という、誰も触れてはいけない領域にずかずかと入ってきて、女性は中身が大切と慰められてきた人達を突き放す。
その後恋愛や結婚、仕事感、家庭など女性が生きていく上で避けては通れない事柄についても容赦なく断言していく。
この本は今までのどの本とも違い、読者に対して全く優しくない。逆にいえば、本を買って貰うためのお世辞はいっさい抜きなのである。
だからこそ、信用できるなという安心感が生まれ、昔かたぎの優しささえ感じられる。
著者は既に亡くなっており、今のこの時代を見ていたらどんな風におっしゃるのだろうかとさえ思う。
指摘されない真実を指摘する
まず、女性向けの幸福論の冒頭、それも2つの章を割いて、「美醜について」を論じるところに、ただものではない、と言う感じを抱かせます。
 「醜く生まれたものが美人同様の扱いを世間に望んではいけないということです。貧乏人に生まれたものが金持ちのように大事にされることを望んではいけないということです。‥・・」
 受け取り様によっては、救いのない文章ですが、これが福田の福田たる所以です。シリアスでシビア、そしてちょっぴり皮肉屋ですが、人間を見る目は、限りなく優しい。
 そんな福田の、“若人向けの生き方の手引き書”がこれではないでしょうか。
 
 文庫本は添えられている解説も楽しみの一つだったりしますが、この本にはコラムニストの中野翠が
解説を書いています。少々きついところのある福田の文章をうまくフォローし、とっつきやすくさせる名解説になっています。
この手の本は読む趣味が無くても面白い
私は福田恆存に、シェイクスピアやエリオットの訳者というイメージしか持ってなかったが、
この本を読んで随筆家としても福田恆存は一流だと思いました。
醒めた超越者の視点があるので、福田恆存は一流である。
幸福論と言いながらも、最後まで「幸福の定義」はしない。
世界に同じ人は居ないのだから、幸福と自称する人の
幸福になる方法が別の人にも巧く適用出来る筈がない!
幸福を語ることの無意味を福田恆存は承知しながら、
不幸に耐える方法を提示する。
各々の個性に応じて素直に自然体で生きろという福田恆存は性教育も否定します。
性欲には個人差(最低の性欲を持つ者の性欲値を1とすると最大の可能性欲値は1800だそうです)
があるのに、性の知識をわざわざ学校で教える必要がないと主張します。
学校やマスゴミが情報を流さなければ、恋愛欲も性欲も発生率が下がるのでは?
というナイスな意見を開示します。
若者の性の乱れは、情報に踊らされているだけと、若者を馬鹿にしてます。
若者に媚びるマスゴミや学者が多くなった現代は情けないよな。
幸福とか不幸とか考える暇もなく、
ただ、ガムシャラに働くしかない人々の存在も福田恆存は認識していてビバである。
幸福になりたいとのんびり考える暇がある人は、既に幸福だと思いますw


幸福
 落ち着いた口調で含蓄のある言葉で語りかける名著です。男にとって、そして女にとって
幸福とは何か考えさせられる本です。
 著者は作家であり演劇も手がけ、かつてシェイクスピアを訳したこともある人物です(1912−1994)。
 著者が最後に述べるように「幸福とは何か」はわからないけれども「幸福とはなんでないか」を語ることで
幸福への近道を導いてくれます。
 是非疲れた時などに読んで欲しいお勧めの1冊です。