コミュニケーション不全症候群 (ちくま文...

- 筑摩書房 価格 ¥ 672
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コミュニケーション不全症候群 (ちくま文庫)


筑摩書房

価格(new/used): 672 円 / 1 円 より
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 7件

ダイエット、摂食障害、モテ願望に関心がある人にも
オタク女子に関する本だと思われている様ですが、それだけではありません。
オタク関係に興味がなくても、「ダイエット症候群」それに続く「病気の時代」はダイエットや摂食障害、
また羨望されたい願望の病に関心がある人に一度読んでみて欲しいです。

何故過剰なやせ願望を「持たなくてはならないか」、この本に書いてあります。

「彼女たちは体重を減らしたいから、スリムになりたいから、男にもてたいから(略)ダイエットをしているのではない。
彼女たちが求めているのは、社会に受け入れられる事、それ自体である」
「本当に恐ろしいのは、ダイエットと言う形でしか適応できない社会構造その物である」
(意訳)  

皆にかわいがられ、愛され、求められたいのは、自分の存在をより多くの他者によって保証されたいから―これは昨今のモテ願望その物です。
その点では女性に限らず男性にも興味あるテーマだと思います。
                                      
2000年を超えて益々過剰になったダイエット、テリトリーの確保競争、人間の商品化。
この本は91年初出ですが、それらについて書かれています。
過剰な競争社会の構造を書き出しています。フェミニズム本よりよほど的確です。

年代のため細かい所で違いはありますが、今の2000年代以降の社会が既に20年以上も前から追われ続けた結果であると、
学生世代でこの閉塞的な社会がどうなっているのか訳もわからず苦しんでいる人に読んでみて欲しい本です。

オタク女子に関してはそれほど突っ込まれていない感がありますが、それは次作「タナトスの子供たち」に詳しいです。
何よりも自覚すること
現代という時代に「適応」している、そのことがそもそも「異常」である。

本書を通して繰り返し語られる上記のような指摘は、多数派に属していると「思い込む」ことで安心している人々の生活を根底から揺るがすものだ。
10年前に出版された本とは思えない、リアルで生々しいメッセージに背筋が冷たくなる。

当時宮崎某、女子高生コンクリ詰め事件を根拠に語られたこの現代病は、むしろその病状を悪化拡大させているのではあるまいか。
母親を毒殺しかけた女子高生、友達を刺殺した小学生、幼馴染をメッタ刺しにした少年…

閉じた世界で、麻痺していく対人感覚。短絡的になる思考。
人間が人間を、人間だと思えなくなる世界。
10年前に著者がシミュレートした世界は、今や現実の姿になりつつある。


「やおい」や「拒食症」にまつわるジェンダー論としても面白いのだが、その他にオタクや凶悪犯罪等、全てにつながるものとしての「コミュニケーション不全症候群」という仮想現代病には説得力がある。
何よりも「現代」に慣れきってしまっている人達に読んで欲しい。そして改めて気付いて欲しい。
自分達が今生きる世界は、随分と不自然で歪な姿をしているのだと。
作家には「無関係」なものはない(著者談)
世界最長で世界一面白い「グイン・サーガ」の作者としても
著名な著者が、脳内の評論家ソフトを起動して手がけた問題作。
自ら「私は作家である。作家には無関係なものはこの世には
ない」と言い切る著者が、現代に生きる人間の病理を我が事
にひきつけて記した力作です。
病気などで一時的に社会的弱者(この表現よくないですが)に
なり、駅の階段に困惑したり自転車に脅かされることがあって
も常態に復すればすぐに「加害者」にまわってしまう私たちに
必要なのは「想像力」と解いています。
昔は「思いやり」や「やさしさ」に満ちていた、なんてことは
なく、いつの時代も他者との潤滑剤になるのは自律的意思でし
た。
被害者が容易に加害者になり得る時代、「自分と異なるもの
の見方」を知るためにもお勧めの一冊です。
密接感
オタク族,ダイエット中毒の女性,いわゆるやおいものにはまる女性。
この三つを切り口に現代社会が論じられている。
人口過剰に加え、生暖かいヒューマニズムが蔓延しているために
共食いしてスペースを確保するわけにもいかない現代においては、
ヒトの持つ従来のコミュニケーション能力は限界をきたしている。

この三つはそのために編み出された新しい適応の形の一例だ。

従来なら個人の資質の問題として取り上げられていたこれらの現象が
社会の生み出した病理として論じられているところが新鮮で、
少しでもこれらの問題を抱えて悩む個人といしては新しい視点を
得られた気がします。
筆者自らがこれら三つのさきがけを自称しているだけあって、

その論調には対象との密接な距離感から生まれる暑苦しさが感じられます。
それはそれで共感を呼び、面白く読めました。

ただそれだけに、こういった“論じる”ための題材にしては
少しまどろっこしい表現が多く、いらいらさせられることも多かったです。

日本社会の心の病気を読み解く鍵
おたく、摂食障害、ダイエット、少年愛趣味…一見ばらばらに存在するかのような個々の現象。それらを、「コミュニケーション不全症候群」という名の「現代病」を用いて、実はすべての根は一緒なのだと主張する著者の洞察は、現代日本社会を理解するための新たな視座を与えてくれる。そして、もうひとつの重要な論点は、この「病気」の要因が個人の問題に還元されるものではなく、現代社会の構造そのものにあるのだということだ。この作品がエッセイという枠を超えて、アカデミックな立場の方からも大きな評価を得ている理由はそこにある。あなたの心の問題の原因を「あなた」自身に求める「一般向け心理学書」とは違った、心の問題の捉え方を提示してくれる一冊でしょう。