芥川龍之介全集〈7〉 (ちくま文庫)

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芥川龍之介全集〈7〉 (ちくま文庫)


筑摩書房

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「侏儒の言葉」に見るアフォリズムの文学性
 原著『侏儒の言葉』は、すでに昭和2年(定価2円20銭)に発行されている。それも雑誌「文藝春秋」に大正12〜14年発表した文章に著者自身がさらに手を加えたものである。以来80年を越えてなお、平成人に響く言葉があるかどうか、試みにいくつかを抜粋してみよう。

   人生
 人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのはばかばかしい。重大に扱わなければ危険である。

   危険思想
 危険思想とは常識を実行に移そうとする思想である。

   天才
 天才とは僅かに我々と一歩を隔てたもののことである。只この一歩を理解するためには百歩の半ばを九十九里とする超数学を知らなければならない。

   政治的天才
 古来政治的天才とは、民衆の意志を彼自身の意志とするように思われていた。が、これは正反対であろう。むしろ政治的天才とは、彼自身の意志を民衆の意志とするもののことを云うのである。この故に政治的天才は、俳優的天才を伴うらしい。ナポレオンは「荘厳と滑稽との差は僅かに一歩である」と云った。この言葉は帝王の言葉と云うよりも名優の言葉にふさわしそうである。

 これらの言葉が永遠の真理であるとは言えないにしても、人生の機微を穿った名言として現代にも通じるものがある(雅)