共生の作法―会話としての正義 (現代自由...

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共生の作法―会話としての正義 (現代自由学芸叢書)


創文社

価格(new/used): 3,990 円 / 2,755 円 より
発売日: (1986-07) アマゾン売上ランキング: 83888 位
単行本 / 通常24時間以内に発送
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正義論を始めるために
正義論を始めるための土台部分の構築ともいえる。
以下は要約。


1章 そもそも正義論なんて無駄ではないかという主張を3つに大別し、批判している。

・諦観的平和主義 「正義より平和を」という主張。それ自体「平和に反する者は不正」という正義感であるため矛盾しており、正義と平和の共存を目指すべき。
・階級利害還元論 「正義論は、実は自分の階級の利害に基づく動機で行われている」という主張。動機とその発言内容の正当性は無関係であり、階級対立が消滅しても財の分配の問題は残る。
・相対主義 まず巷の相対主義の多くは厳密な意味での相対主義ではない。そして、「確証可能でなければ客観的に真ではない」は確証と独断が不可分になってしまうため、独断的絶対主義を変わらない。さらに徹底された相対主義は自己論駁する。

何が正義か、の問いは「正解がどこかにあるから問うのではない。逆である。問を真正の問として認めるからこそ、その正解の存在を想定せざるを得ないのである」(p24)


2章 これまでの正義議論では無視されてきた(正義論の外側とされていた)エゴイズムとの対話を試みる。

・人々は、正義感覚とも呼ぶべき感覚を有しているが、それは具体的な正義の基準を与えるには曖昧すぎる。そのため、人々は不正は批判するが、正義に対してはシニカルである。
・正義定式として「各人に彼の権利を」「等しい者には等しく、不等なるものには不等に」「不当な事態は是正すべき」が導ける。
・エゴイズムは「彼が彼であること」を理由に特権的待遇を望むから正義定式に反する。しかしこれまでは、自己犠牲的排他主義もエゴイズムの1種である点を見落としてきた。
・「正義は最善の政策か(エゴイズムでもうまく行きうる)」「エゴイズムは普遍化できるか(個人化された利己主義は可能))「正義もまた本質主義か(待遇の差異には属性の同一性以外に正当性もいる?)」


3章 現代の正義論を俯瞰する。

・法は正義に最も近く、ゆえに一般性が要請される。
・正義論には「功利としての正義(功利主義)」「権利としての正義(ノージック)」「公正としての正義(ロールズ)」があることを紹介し、それぞれの論の難点を指摘する。


第4章 社会契約の考え方を改めて問いなおす。

・契約モデルと自然状態モデルは不可分ではなく、むしろ対立する。例えば、ある特定個人を信頼しての独裁は排除できない。さらに、契約モデルは自然状態モデルよりも多くの論拠を提出できるわけではない。
・ロールズは、「自然状態なき社会契約説」であり、無知のヴェール下で全員一致を得ようとする。
・ノージックは「社会契約なき自然状態説」であり、超最小国家や最小国家の導入を見えざる手で説明する。
・これまでの論の問題点は、個を自律的に扱っていることである。


第5章 会話による正義の提唱

・オークショットを援用し、「目的のための行動」ではない「行動すること自体を目的とする行動」の重要性を指摘する。
・「会話」は「行動すること自体を目的とする行動」である。
・会話によって、対立する者同士の共生が可能になる。
捻出される正義論
 そもそも正義などあるのか?論じるべきか、否か?そうした根本的な問いから本書は議論を始める。正義を論じることをあきらめようとする相対主義は強力な否定論であるが、著者は、情熱的に、緻密に論理を積み重ね正義論の足がかりを築いていく。もちろん、スタートした正義論も正義という概念の内容をめぐる論争は避けられないのだが・・・

 法哲学者が論じた、重厚な正義に関する論考。覚悟を決めて読まなくてはならないかもしれないが、図式化や対話形式やを取り入れるなど、手作りの工夫が感じられる好著。