風化水脈 新宿鮫VIII (光文社文庫)

- 光文社 価格 ¥ 980
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風化水脈 新宿鮫VIII (光文社文庫)


光文社

価格(new/used): 980 円 / 170 円 より
発売日: (2006-03-14) アマゾン売上ランキング: 35997 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 14件

やはり「鮫」、面白いとしか言いようがない
最新作が待ち遠しく、なんて思っていたもんだから、本作を最新作と思ってつい買って読んだ。
おっとぉ、最新作ではありませんでしたぁ。
読んだ読んだ、でも、もう数年も前だから、微妙に覚えてないなぁ。。。なんて思っているうちに、
もう一度はまりました。

何度読んでも面白い、と、そんな感じがする。
何だか、久しぶりに懐かしい友達に会ったようで、ホッとすると同時に、あぁ(鮫も)自分も、時間
を過ごした(要するに年をくった)なぁ、なんてね。

このところ大沢在昌から少し遠ざかっていましたが、やはりうまい。
新宿鮫のシリーズも、決して色あせることなく、むしろ毎回何らか新しい刺激を加えつつ、円熟して
いっている。
東京と言う場所に住む時間が長くなってきて、ますますこのシリーズの面白さが毎日の生活を通して
伝わってくる。山手線に乗りながら、車窓に東京の、新宿の風景を眺めて読む「鮫」。
いやぁ、よろしいなぁ。。。
カッコいい〜!
この作品、ズバリ私の好みです。

まずは何と言っても、本作の主人公真壁のキャラクターが良い!
一本気で生き方を簡単に変えられない男、自ら危険で損な道を選んでしまう男。
まるで若い頃の高倉健さんが演じてたようなヤクザ。
もう渋すぎてカッコ良すぎて素敵です。
そしてそんな彼にひっそりと寄り添う女、雪絵。
一昔前の人情ドラマに出て来そうな二人だけど、そこがまた良い。

さらには鮫島が内偵の過程で出会う孤独な老人大江と、鮫島が偶然思わぬ形で発見した
大昔の事件にももう一つの人情ドラマがあり物語を盛り上げます。

それから「炎蛹」以来レギュラーになった仙田も現れ、粋な計らいをして去って行き、
いよいよハラハラのクライマックスへ向かいます。

今回は派手なアクションシーンは少なく、「人情ドラマ」に終始していますが、それでも
十分に楽しめたし感動しました。
読み終えた後、思わず「カッコいい〜!」と言ってしまうほど痺れた作品でした。
静かな展開の良さ
新宿鮫のファンでありますが、当作品は鮫島警部の警官としての誇りである「一意専心」を胸の内に秘めつつ静かに物語りは展開していきます。
真壁という暴力団員の存在感や人間性が絡み、人間の「志」がいかに肝要なものかを教えてくれるような気がしました。
最後に、鮫島警部の恋人との会話のなかにも共感できる部分もありました。
相変わらず素晴らしい
初期の新宿鮫と比べると、明らかにノワールに傾斜している。
以前は、複雑なプロット中心で、鮫島がそれを解きほぐして行く中で
深い人物描写が行われていたのである。
また、派手なアクション主体のこともあった。
が、風化水脈は、逆に、登場人物の人生があって、
それらの中で彼らが遭遇した事件が緩やかに描かれる、
という意味で、ハードボイルド感が薄れている。
しかし、それでも、緻密なプロットは健在であり、
平行してすすんでいくエピソードが最終的に纏まって行く展開は、
新宿鮫ならではのものがある。

そういう意味で、シリーズとしてみた時、
原りょうのような「金太郎飴」感のないところが素晴らしいのである。
初期の作品と同じようなスタイルをシリーズに求めている人には不評かもしれないが、
ローレンス ブロックのスカダー・シリーズのように、
作品自体が発展して行く様をリアルタイムで観察できるのは、
読み手にとっても、かけがえの無い経験になる。
秀作
登場人物の設定、ストーリー展開が素晴しく、前半で設定された登場人物それぞれの過去が、終盤一気に交差する。過去のシリーズのような派手さはないものの、心理描写に力点を置いた展開で、最後の鮫島の粋な振る舞いに心地よい感じすら覚えました。秀作です。