書物としての新約聖書

- 勁草書房 価格 ¥ 8,400
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書物としての新約聖書


勁草書房

価格(new/used): 8,400 円 / 6,000 円 より
発売日: (1997-02) アマゾン売上ランキング: 180566 位
単行本 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 6件

迷わずに買いました
聖書の中身ではなく聖書を書物として見た場合に、その成り立ち、書かれた言語、残存する写本の数々、
各国語翻訳等について微に入り細に入り書いてくれる"聖書本"の決定版。
著者の田川氏は、なかなか戦闘的でかつ体制批判な論旨を展開する方なのですが、彼のキリスト教に関
する所論は、宗教的なドグマとは無縁でかつ説得的なものです。彼の論調のクセに慣れればかなり面白い
本です。
大学時代に彼の著書をはじめて読んだのですが、それ以来、私のキリスト教についての知識や聖書解釈は
ほとんど彼に負っているといっていいです。
ここは迷わずに「買い」です!
従来の「聖書・神学辞典」や「註解・講解書」の類に欠けていた、本当に知りたいと思う事柄は、ほぼ網羅されています。他のレビュアーの方が、既にご指摘のように、「文章=日本語」「構成」ともによく練られていて、実に読みやすいです。また、教職が(知っているくせに)信徒には教えたがらない「事実」を確認するための、辞書的な使い方も可能です。文献批評学を学ぶ学生さんの最良の入門書としても使えるでしょう。例のごとく(笑)、「田川節?」も随所で炸裂しており、サービス精神満点。決して読者を飽きさせません。

これだけの大著を、共著者なしに独力で完成された田川氏のお力・志の高さには、ただただ敬服するのみです。ティンダルに対する氏の思い入れの深さの理由も、よく理解できました。「聖書」翻訳、研究とは一生を賭した、まさに命がけの作業なのですね。曲がりなりにも「日本語」で聖書を読める現代の幸福(しあわせ)。(もっとも、新共同訳ではまともな註釈なしですが)。

願わくば、予告されておられる「新約聖書・訳と註」全巻の出版が可能になりますように。
やはり、すばらしい本である
BR>まず、加藤隆氏が本書と内容が重なるように見える著作を次々に出版している。ちなみに加藤氏は本書の著者田川氏と同じく、フランスのプロテスタント新約学者E.トロクメのもとで学んでいる。具体的には加藤著「『新約聖書』の誕生」「新約聖書はなぜギリシア語で書かれたか」が本書の第1、2章と重なるように見える。
が、加藤氏、愚見では自らの著書の題名付けが下手である。つまり、題名から想像される内容と実際の間には相当の乖離がある上、その記述は愚生が「暴論」と公に言うほどのものが含まれる。本書とは比較以前のレヴェル。
その、加藤氏も国立大学教授。それが何故…という疑問から、今、トロクメの著書を順次読んでいる。その結果、「構図」が見えてきつつある。田川氏も師の説をいくらか継承しているが(その旨、明記している部分もある)、本書の本質とはやや距離のある点が殆どで問題は現時点では感じない。加藤氏は全く対照的だが、それはここで論じる問題でない。が、価格だけで加藤本に流れると、結果的に大変な損をすること確実である。
また、本書で詳しい検討が間に合わなかった、著者の「論敵」荒井献氏が彼のお弟子さんと出した新約聖書訳(岩波)は、今年刊行の合本に際して特に注が一段と充実し、愚見では実にすばらしいものとなった。無論、田川氏の訳本も出来たら読みたい。が、その一方で邦人による大規模な新約概論たるべき「総説 新約聖書」の改訂版は期待したレヴェルからは相当に遠い結果に終わった(加藤氏がここでも大変な「貢献」をしている)。岩波が、合本で省略した新約各文書の解説を編集・加筆して出版する可能性もあろうが、やはり5人以上の「共著」となろう。
外的概説
聖書を読んでいて疑問に感じたこと、理解できなかったことは、そのままにして置かずに、注解書やこういった「概説書」を読んでみることをおすすめします。

聖書はただ何となしに読んでいても大した理解は得られませんし、(聖書のみを)「何度も読み返せば理解が深まる」わけでもありません。
詳しくは本書に書き尽くされていますが、

正典の成立過程や写本の種類、古代から現代に至るまでの翻訳の歴史など、聖書の「外的」な解説がていねいに述べられています。
著者が書かれていることですが、「入門書」だからとて、奇妙に水準を下げて書くようなことはしてありません。

そういうわけで、いらいらすることなく知りたいことを知ることができると思います。特に既存の教会や普及している教会訳に対する歯に衣着せぬ物言いは、個人的にも何となくモヤモヤと胸につかえていたものの輪郭を確認できたのを非常に幸運なことだと思っています。
近いうちにこの続編か、著者の訳した新約聖書を読んでみたい気持ちです。

水準・面白さ共に抜群
~「どうでも良いけど、えらく高い本だなぁ」と思って購入を迷っている人があれば、この瞬間に決心してもきっと後悔しません:買いです。確かに、本一冊にこれほどの出費となると(お仕事用の専門書でない限り)、いささか怖気づくものがあります。私も一時間ほど悶々と迷いました。しかし、少なくとも三回は通読しており、折に触れてあちこち参照しており、そ~~の度に面白いのでズルズル読んでおり、何よりも中身がしっかりしている ― 要するに、十分、もとは取れます。

~~
「何が書いてあるんだろう、結局は怪しげな宗教話になるんじゃないか」と思っている人があれば、安心して頂けます。新約聖書はどのように出来上がったのか。どういう事情でギリシャ語で書かれたのか。どうやって二千年を経て現在に伝えられたのか。どういう翻訳があるのか、どの翻訳が良いのか(良い翻訳とはどういうことなのか)―~~ 大きくはこの四つについて、新約聖書学の成果が紹介されます(個々の文書について検討するのは、この本ではなく、続編の守備範囲とのこと)。わかっていることとわかっていないことを明確に区別しつつ、読みやすい日本語で話が展開します。話の流れに応じて、随所に著者の意見が噴き出します(これがまた面白い)。

~~
これほど読みやすく、中身が濃く、しかも700ページあまりの大部ですから、一朝一夕にできた本ではないはずであり、また読者の方も、チョイチョイと読んで「ハイわかった」というわけにはいきません(少なくとも私の場合は、ですが)。しかし、書き方や日本語が下手だといったつまらないわずらわしさが最小限ですから、問題の中身に直接ぶつかることができ、実~~に読み応えがあります。いろいろな意味で読むに値する本であり、大いにお勧めできます。~