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愛という試練 |
| - 紀伊国屋書店 価格 ¥ 1,470 | |
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紀伊国屋書店 価格(new/used): 1,470 円 / 9 円 より 発売日: (2003-07-18) アマゾン売上ランキング: 403015 位 単行本 / 通常24時間以内に発送 [ユーザーによる評価] 平均評価: 3.0 / 総数: 6件 しかし激しい人ですねえ人に愛情を持つことが徹底的に出来ない父親と、そんな父親に徹底的に愛を求め、憎しみを抱き続けて死んでいった母親−これが中島氏の生い立ちだったわけで、他人、世間、共感というものに暴力性を感じるーという氏の感性もわからないことはありません。 私自身は愛されて育ったとは思っていますが、陰に陽に、特に母親の望むとおりの生き方を(愛ゆえに)強要された−という別の種類の苦い経験がありますので。 自分の性質と親の方針がうまくマッチしない場合、子供はやはりコミュニケーション問題を抱えるようになるものだと思います。 とは言え、奥さんや息子さんのことまであのように本に書いて世間に公表してしまっては、憎まれるのは当然だと思うのですが、とにかく自分はそういう人間なのだ、という一種の暴露癖があるのか、それとも助けて欲しいと言うサインなのかー? “私の周囲には本当の愛を求め続け、そしてたえず愛のない人を断罪し続ける女たちがいる。 そんな環境の中にいるからこそ私は本当の愛を静かに拒否したいのだ”と、中島氏は書いていますが、氏の母親や奥さんが求めているのは本当にそういうアガペー的絶対愛なのでしょうか? 人は確かに究極の愛というものを夢見るものですが、それはどちらかと言えば自分の性質や異性というものがよくわかっていない若い頃であって、人生経験を重ねるうちに、人間レベルの想い・想われの関係に満足(−とまではいかなくとも、少なくとも納得)するようになるものではないでしょうか。 氏の周りにいる女性たちはそういった人間レベルの愛情さえかけてもらえないから怒っているのでは? 中島氏がそういう人間になったのは明らかにご両親のせいなのだからお気の毒だとは思いますが、“そういう自分を受け入れるほかないと思うようになった。 それを鍛えるほかないと思うようになった”というのは明らかに転倒した考え方だと私には思えます。 どうもこの極端さこそが氏を不幸にしているように見えるのですがー。 この本で私が一番学んだ事は、双方向性の愛を持てない人はやはり結婚すべきではないなーと、いうことです。 子供に災禍が及びます。 それでも人が結婚するのはやはり性欲のなせる業なのでしょうか? 中島氏が結婚を決めた動機も“このとき私は正気でなかった”と書いてあるので奥さんは犠牲になったとしか思えません。 ある意味、ご専門の哲学以外の氏の著書の中では一番すごい本ですが、なんとも暗澹たる後味のみが残ります。 「そうだ、悲しまねばならないんだ」自らにとっての「本当」を追究し続け懐疑し続け、 アクロバティックに正気を保って本を書き続ける哲学者= 中島義道氏が、「愛」をその俎上に載せた本。 書き下ろし。2003年。 はじめの部分で、それが「愛」であるための条件を分析した後、 具体的事例として氏は父について語り、母について語る。 妻について語り、自らの遍歴について語る。 恋愛よりも「夫婦間の残酷」の方に重心が置かれ、 事態は冷静に言語化されていく。ごまかしは感じられない。 しかし、いつものように出口はない。 読み終わって残るのは漠然とした徒労感のようなもの。 他人のことなので落ち込みはしないが、 それでもため息をひとつ、つきたくなる。 「読めば元気になる」という本ではない。 愛を求めると同時に、拒絶してしまう人へ愛されてこなかったと感じている人は、 愛を受けとる能力が欠如していることが多いと思う。 愛についてのポジティブなメッセージを聞くと、 なぜか心が傷ついてしまう人、愛を求めていると同時に、 愛を拒絶してしまう人、そんな人々に向けられた本だと思います。 愛の非伝導師もうどうしようもなく共感してしまった。条件付きの愛で、もしくは愛のない人に育てられた愛を求めるすべての人に試金石として読んでもらいたいと思う。しかし、このもて具合はちょっと反感を買いそうかも。僕自身はこの人よりはうかつにも人を少しは愛してしまっていたことに気づかされたという思わぬ特典があった。結局3回も泣いてしまったのだが。愛の不在の連鎖はかくも恐ろしい。個人的には一生に一瞬でも愛されればOKかなとも思う。多分共感する層は世界の10000分の1にも満たないだろう。 生きるのが下手?皆さん、家族との関係がどうとか、そういうところに衝撃を受けているようですが、私には、若い頃ウィーンで七人の女性から一度に求婚・求愛されたという箇所のほうがずっとショックでした。そんな人も世の中にはいるんですねえ。「孤独について」を読んで共感し、でもそんな人がなぜ結婚できたのだろうなどと思った私がバカみたいです。中島義道が「生きるのが下手」(「私の嫌いな10の言葉」文庫版解説、宮崎哲弥)なんて大嘘です。まあ中島先生、男にも女にももてもてで、よろしゅうございますねえ。 小谷野敦 |