岡崎京子―総特集 (KAWADE夢ムック)

- 河出書房新社 価格 ¥ 1,200
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岡崎京子―総特集 (KAWADE夢ムック)


河出書房新社

価格(new/used): 1,200 円 / 439 円 より
発売日: (2002-03) アマゾン売上ランキング: 99982 位
単行本 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 2件

岡崎京子ファンは必読。
 冒頭は、単行本未収録のマンガ『東京は朝の7時』『初恋・地獄篇』の2本立て。
 吉本ばななさんは、「新作は読みたいけれど、新作を描いてくれなくても、生きていてくれるだけで嬉しい」みたいなことをおっしゃっていて感銘を受けました。
 岡崎さん自身のインタビュー「電話はコミュニケーションを分断する」と、『東京ガールズブラボー』の巻末の浅田彰×岡崎京子の対談に、目から鱗が落ちました。岡崎さん自身の文章では、これが一番面白かったです。
 宮台真司さんは、岡崎さんを題材にして、彼自身の思想を語っているように思えました。
 椹木野衣さんは、岡崎京子とその時代のリアリティが伝わる良いインタビューでした。
 『エンド・オブ・ザ・ワールド』『私は貴兄のオモチャなの』『ヘテロセクシャル』のあとがきに、『女のケモノ道』に出てきた清岡卓美さんが出ていて嬉しかったです。
 大庭萱朗さんは、一番的を射ている意見をおっしゃっていると思います。
 足立守正さん・岡村みどりさん・臼井遥さんの対談は、マンガのキャラの鼻の穴について語っていましたが、私は今迄マンガのキャラの鼻の穴を気にしたことが無いから、とてもビックリしました。
 「岡崎京子を読み解くためのキーワード集」「岡崎京子作品徹底レヴュー」は、岡崎さんのファンになって間も無いので役に立ちました。

 他の人による評論ばかりではなく、岡崎京子さん本人の文章やインタビューやイラストや創作ノートやあとがきも。←はレアで貴重なので、岡崎京子ファンは必読。
岡崎京子という天才を知るために
漫画家・岡崎京子について吉本ばなな・宮台真司などさまざまな論者が持論を語り尽くした贅沢な特集。巻末には岡崎京子の全作品レビューもあり、岡崎京子に興味を持ち始めたばかりの人には打ってつけの本であるといえる。

個人的には吉本ばななのインタビューに興味を持った。『リバーズ・エッジ』が傑作ではない、という指摘は本作発表後しばらくの期間を経て多くの論者が指摘するようになったことではあるが、吉本がここまで断定的に論じたというのは衝撃的である。私は吉本の意見に同調する部分もあるが、『リバーズ・エッジ』が駄作であるとは思わない。『リバーズ・エッジ』は、ある種の普遍性を持っていたがために、時代を経るにつれその衝撃の度合いが必然的に希薄なものとなるという逆説的な運命を持っていた作品だったと考えている。ただ、いずれにしろ、吉本の意見は全体的に見て、新鮮であり興味深い。

吉本のインタビューとは対照的に、読了後ある種の違和感を覚えたのは宮台真司のインタビューである。「ダウナー系まったり」などの独特のタームを駆使して岡崎の作品を語る宮台であるが、私には彼の理論があまり的を射ているとは思えなかった。「あえてする」という文脈で岡崎の作品を論じるというのは理解できるが、ACの議論にまで踏み込んでしまったのは行き過ぎであろう。少なくとも私には上野千鶴子より宮台の理論の方が「凡庸」に感じられた。

また、本作には岡崎京子の稀少な作品も何点か収録されている。その中で抜群に面白いのは「女のケモノ道」である。このようにフェミニズムを自分のものとして消化できるのは才能であると思う。『負け犬の遠吠え』の公刊よりもずっと前にこのような作品が存在したという事実を私たちは記憶しておく必要があるだろう。