悪徳の栄え〈上〉 (河出文庫)

渋澤 龍彦 - 河出書房新社 価格 ¥ 693
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悪徳の栄え〈上〉 (河出文庫)

渋澤 龍彦
河出書房新社

価格(new/used): 693 円 / 100 円 より
発売日: (1990-10) アマゾン売上ランキング: 67143 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 7件

悪の限りを尽くすまでのジュリエットの成長
物語として、大いに楽しめました。
何しろ、悪徳に向かっての成長過程を描いた小説はあまりありませんから。
ところどころにサドの「美徳と悪徳の哲学」が描かれており、それも興味深かったですが、個人的にはその内容には疑問があります。
でも、それを除いても、ジュリエットがどんどん悪徳の道に深く突き進んでいく様子は読んでいて痛快なものがあるし、ところところに登場する個性豊かな登場人物も、悪なりの魅力たっぷりで、飽きさせません。
私が好きなのは、アペニンの隠者ミンスキー(常に人肉を食べている)と、貴族という身分を捨てて世界へ武者修行に出かけ、大稼ぎしている盗賊になったブリザ・テスタの物語です。
この作品は、澁澤訳での完訳をぜひ読みたかったです。
ところどころ省略されているようなので。
これがシブサワだ!
かつて澁澤龍彦の著書を熱読した時期があった。そのなかでも「悪徳の栄え」はエポック・メーキングな作品だった。たしかにドストエフスキーやニーチェにも密かな影響をあたえた形跡が歴然としていた。延々と続く哲学問答と性的場面がめまいに似た感覚をもたらし、たぐいまれな書物の面白さの世界にのめりこませてくれた。登場人物たちの性格付けは少々機械的な感もあるが、ヒロイン、ジュリエットには十分悪の女王の魅惑がそなわっている。
興味深いのは、アペニンの人食い鬼ミンスキーのエピソードで、澁澤がもっとも好きな部分と言っているようなダークなファンタジーである。サン・フォンの悪の支配者哲学とともに私にとっても非常に好きなページである。
考えさせられます
この作品を読むと、善とか悪という言葉がむなしくなります。

この作品には、善に対する救いがまったくありません。

でもなぜか不快にはなりません。

反対によくぞそこまで言った、という気分になります。

既存の善悪に辟易している人にはおすすめ。
話題の作品
今も昔も変りませんね。
クラッシックさが新しい。
なるほどこれは教養小説かもしれん
幾つか知っておくべき性語の類がある。「千鳥」とは女性同士が張形を使って行う性行為のことであり、「何する」とは即ち「性交する」ということ、「若気(にやけ)」は、男色の相手、もしくは肛門。「玉門」は女性の陰部。まあ大体文脈でわかるけど。澁澤訳はなかなか読みやすいが、裏教養小説とは言い当て妙だ。美徳や道徳などは、社会が個人に押し付けた次元の低いもので、真の幸福は美徳などという欺瞞を超越して悪に徹する事だ、というのは、単にサドの戯言として看過するわけにはいかない哲学的命題を含んでいる。さて、放蕩の限りを尽くすジュリエットの運命や如何に。話は下巻に続く。