アパルトマンの王子 (キャラ文庫 (え1...

緋色 れーいち - 徳間書店 価格 ¥ 540
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アパルトマンの王子 (キャラ文庫 (え1-4))

緋色 れーいち
徳間書店

価格(new/used): 540 円 / 200 円 より
発売日: (2007-11-27) アマゾン売上ランキング: 45466 位
文庫 / 通常24時間以内に発送
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.0 / 総数: 4件

解決しない潔さ
藤井沢商店街シリーズも4作目になりました。
1作ごとに独立した話なので、他の話を読んでいなくても楽しめます。
絵本から出てきたような金髪王子様とオンボロ不動産屋の長男(弟2、妹2)の恋。
ありえない。でも面白い。いつもの榎田テイストです。
榎田作品は、登場人物が抱える問題や家庭事情をすっきり片付けないまま終わることが多いです。
分かりやすい悪者が出てきても勧善懲悪にならない。誰も排斥したくないからみんなウロウロ悩むんだ、というスタンスなんだと思います。
話を読み終えた後でも、いつまでも登場人物が道の途上で佇んでいるような気分になるのは、この「未解決感」からくるのかもしれません。
そして、それは今を生きる作者と読者の等身大の姿でもあります。
結局おまえはいい子でいたいだけだろ、と昔の恋人に言われた過去を持ち、そんなちっぽけな評価でも自分にとっては必要だからとがんばる優一を描く目線が温かい。
長男長女なら「あるあるある!」と叫びたくなるのではないかと思うシーンもちらほら。
人生の諸問題は解決しないけれども、ひとりの孤独は解消される(孤独の解消が同性愛ファンタジーである点がBLなんですが)というストーリーを読むのは、
逃避というより祈りに近い行為なのかもしれません。
タイトル軽いし、出だしは何やらドタバタ調。
経営状態の余り良くない小栗不動産。小栗家の5人兄弟、長男優一が主人公です。
お相手は、訳ありの金髪王子。金髪でも日本人だそうだ。が、
王子様 世羅は本当に富豪のボンボンでした。

しがらみから解き放たれ何もかも捨て、自由になりたいと思いつつ、現実を見れば、
兄弟・商売・病気の母親・・・どれもこれも、結局 優一には見捨てられない。
過去もそれで、大事な人を失っていて、苦い思いは持ち続けている。
しかし、なんだかんだ言いつつ、また同じ事を繰り返そうとする優一と、
ピントのずれた王子が、優一に影響され変わる様子が描かれている。
だが、どうも互いが「物珍しさ」に惹かれているだけの様に感じられたり、特に興味を惹く部分も無かった気がする。
なのに、山場で小さい子供が登場すると、それまでは厳しい評価を持っていたのに、
その評価は呆気なく覆され、急に点数が甘くなっちゃう・・・。
(子供や小動物には弱いんです)
王子が兄弟喧嘩をする場面が後半あるが、暴力に慣れてないから、迫力無いしかっこ悪い。けれど
返ってそれがうそ臭く無く、その辺りは好感持てると思いました。

イラストがちょっと違う。
楽しみにしていた榎田さんの新刊早速読みました。
金髪王子(でも日本人)の世羅×超庶民派フツーの男(イケメンではない)優一のお話。
設定からして難しいとこ行くなあ〜だって受けが特に顔が可愛いわけでも何でもない。
と思っていたら、性格が良いのですね。傲岸不遜な王子が惚れてしまうほど。
流石「普通の男」を書いた作家さんです。
性格や心理描写が絶妙で、下手な男女の恋愛小説よりよっぽど巧いよ。

しかし、明るく楽しく男同士の恋愛も当たり前!的なBL小説ではないと思うので、
いっそもっと振り切っても良かったのでは?とも感じました。
ああでも藤井沢商店街シリーズはシリアス路線ではないのですね、はあww
男×男だからこそ発生する「家族に言えない」苦しさと、身分違いの恋となれば
ロミオとジュリエットどころではない困難な道ではないですか。
家族も藤井沢商店街の人々もみんな優しくていい人だけど、
カムアウトしても果たしてすんなり受け入れてくれるのかしら?

誰もが見惚れてしまうほどの王子なら、もっと美麗なイラストのほうが適していたと思います。
同じテキストでも、イラストが違えば作品全体の印象がまるで違うから。
ということで、榎田作品は全て星5つレベルですが、今後の期待も込めて星4.5です。
家族の絆と恋を丁寧に紡いだ物語。
この作品と出会ったのは、初めて購入したボーイズラブ小説誌キャラ
にて。まだ全然オリジナルBLの作家さんを知らず、
「こんなに繊細で切ない、心に触れる作品を描ける人がいる!」と
驚き、それから怒濤のごとく、この榎田さんの「藤井沢商店街シリーズ」
を買い漁った記憶があります。

ご存知の方には今更ですが、榎田尤利さんがキャラ文庫で展開している
藤井沢商店街シリーズは、都心から少し離れた郊外の藤井沢で
繰り広げられる日々日常のエピソードをふんわり柔らかく、時に
激しく時に染み入るように描写される傑作です。
「ボーイズラブ」という枠にはまらず、充分普通のエンターテイメント
としても通用するところは、さすが榎田さんと評価する部分だと思います。

今日ものんびりとした風景の藤井沢に、ある日突然金髪碧眼の美青年が
「なるべく古いアパートを貸して欲しい」と、やってくる。
父親を早くに亡くして、病気がちな母親と弟妹達を守りながら
小さい不動産屋を経営する青年優一は、彼に振り回されつつも、
いつしか純粋で曇りの無い貴族で不思議な空気を持つ世羅に惹かれ、やがて
二人は相思相愛の仲に。だがゲイである優一は過去、
家族と恋人を引き換えに出来ず失恋した経験から、
強く求める真摯な世羅には応えられない…。

榎田作品に共通してある特徴は、とにかく「家族・兄弟」の絆を
深く掘り下げられる丁寧な一人一人の心理描写だと思います。
特に気障な言葉があるわけではなく、派手なアクションもない。
でもスッと胸の奥の古傷が痛む瞬間のような感触を抱く文章。

主役優一だけでなく、世羅、そして優一の弟妹の気持ちまで
何気ない台詞や背景だけで読者側にダイレクトに伝わった来るのです。
これは作者が、それぞれの登場人物達に対して優しいまなざしで
彼らを愛しているという空気が伝導するからなのでしょう。

クリスマスも近い今の季節にピッタリな、ハートに添えられる
ストーリー。ゆったりとした気分でハッピーエンドを読みたい時には
絶対のおススメです。
また、文庫化されてからの書き下ろし小説は真夏のリゾート!
こちらもまた、家族愛をテーマにして優しく紡がれています。
緋色れーいちさんのイラストもピッタリ。ぜひこの冬のお供に。