三人噺 志ん生・馬生・志ん朝 (文春文庫)

- 文藝春秋 価格 ¥ 530
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三人噺 志ん生・馬生・志ん朝 (文春文庫)


文藝春秋

価格(new/used): 530 円 / 130 円 より
発売日: (2005-11-10) アマゾン売上ランキング: 16644 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 5.0 / 総数: 4件

落語をより楽しむために…
噺家の伝記やエッセーは、
噺を鑑賞する楽しみを倍増させてくれるので大好きですが、
その中でも出色と思えるのが本書です。

不世出の落語一家美濃部家の長女として、
父志ん生、弟馬生・志ん朝の生と死、苦楽、遊蕩と努力等々を見守り続けた著者の目は、
他方で、戦前戦後の貧乏や戦時下の苦労という、
普遍的な経験をこの家族もまた味わってきたこと、
さらに、三人の高座からは窺われないものの、
誰よりも苦労してきた忍耐強い母の姿も愛情深く見つめています。

「へぇ」あり、笑いあり、涙あり…。
三者三様の素晴らしい噺の土台にはこんな物語があったのだ、
と落語ファンをうならせること間違いなしの名著です。
古き良き家族の肖像
「俺、あの寅さんの家族の気持ちがよぉくわかんだよ。本人はそりゃ、いいよ。
好き勝手なことしてんだから。けど、家族は大変なんだ」とは、志ん生の長男・馬生の言葉。
ここに一家の悲喜こもごもが表れている。
天才噺家を家長に持った彼ら(家族)が背負わざるを得なかったものの大きさは、計り知れない。
天才が身近にいるのは、濁流に飲み込まれるようなものだ。
周りの者は、圧倒的なパワーに問答無用で巻き込まれていく。
しかし、男であるがゆえにおのずと父と同じ道を歩むことになった二人(馬生、志ん朝)とは異なり、
著者は一歩引いた裏方として、家族のことをあたたかく見つめている。ちょうど彼女の母がそうであったように。
著者にとって志ん生は、噺家である以前に父親だった。その父親のダメっぷりといったらもう・・・。
それをすべてひっくるめて、許し、さらには尊敬すべき存在であった志ん生は、やっぱり特別な人だ。

決して一般的ではない家族だが、“古き良き、ある家族の物語”としても楽しめる良書。
文庫本化を歓迎する。
 2002年9月に単行本として出された古今亭志ん生〜馬生、志ん朝の生涯が描かれたもの。
 当時、次のような、レビューを書いたが、この危惧は今も変わらない。何も世襲をよしとするわけではないが。

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  若い頃売れなくて、戦後ブレークした志ん生、その長男として違う芸風を目指し、ややジミだった馬生、華やかで正統派だった志ん朝の三人の違いと共通点をきめ細かに書いてくれてある。
 この美濃部家の雰囲気が王朝を作ったのであろう。
 しかし、今となっては・・・・
 三人とも酒で死んでしまったというのも談志の言う「業」なのかなあ。
 色々考えさせられる一冊でした。


すばらしい江戸下町言葉の力
父親に「志ん生」、弟に「馬生」「志ん朝」を持つ、美濃部家の長姉による回想録。

志ん生の、売れない時代の貧乏話や、空襲に「ただもう闇雲にターッてはしってっちゃうんだから。そいで迷子になっちゃう。だから、あたしたちが後を追っかけて、捕まえんなきゃならないんですよ」という情けなくも滑稽な話。二人の弟の、人物や芸風についての身内にしか語りえない話など、薄い本なのに内容の濃さは驚くほど。志ん朝の鰻断ちの話など、特に泣かせる。また家族を陰で支え続けた母への愛情と愛惜に満ちた記述は、娘ならではのもの。

切れのいい江戸下町言葉と、人間としての生地の良さがそのまま出た率直な語り口は、ここにも一人の名人がいると思わせるほど。

活字も大きく、ゆったりと組んであり、読みやすい。写真もすばらしい。

文庫版あとがきも、いい文章だ。