告白 (文春文庫)

- 文藝春秋 価格 ¥ 580
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告白 (文春文庫)


文藝春秋

価格(new/used): 580 円 / 197 円 より
発売日: (1999-05) アマゾン売上ランキング: 9929 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 12件

嗚呼、監査法人
 1995年9月に発覚した大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件。大和銀行はアメリカから追放され、事件に対する日米当局の対応の違いは、日米問題にまで発展した、と腰巻にはある。あらためて読み替えしてみると、この事件の教訓がその後何も生かされていなかったことがよくわかる。米国では、エンロン、ワールド・コム等が、日本では西武、三越等の大型粉飾事件が起こりいずれもレベルの低い監査法人が槍玉に挙がった。日本では、中央青山監査法人が潰れてしまった。
 大和事件については新日本監査法人の理事長が国会に呼ばれたりしたが、この理事長については私も良く知っているだけに、情けない!の一言では済まされない。大和銀行はその後りそな銀行に改組され、監査法人も新日本監査法人よりは「ましな」トーマツに変わった。しかし、そのトーマツもたいしたとがないことがわかってきた。大和の後遺症も続き、りそなの会計士も「自殺」してしまった、話はまだまだ続くのだ。
反面教師として役に立つ
著者がどのような取引を行って巨額損失を出すに至ったかを知りたくて読みました。
取引の内容が比較的詳しく語られており、参考になりました。
事件の発覚から結審にいたるまでの人間模様もリアルに描かれており、興味深く読めます。
他のレビューでも指摘されているように、著者は加害者意識が希薄であり、(というよりむしろ被害者意識すらもっており、)
単に自分の損失を隠すために無断取引を重ねたにもかかわらず、「会社のためにやったのになんで訴えられるのか」と
会社に復讐心を燃やしています。
こうして自己を正当化してしまう心理・考え方も反面教師として役立ちそうです。
文章は読みやすく、さらっと読める本だと思います。
何が正気で何が狂気か
今までの実績からすれば取るに足りない数千ドルの損失、しかしその月の達成数字は報告済みでありそれをいまさら減額修正して報告することは出来ない・・・そして彼はポイントゲッターでありながら管理者でもあった・・・全てはここから始まるのですが、(利益獲得部隊と監督権限が兼務されてることを除けば)極めて有りがちなシチュエーション。スケールの違いは歴然ですが要求数字と報告数字と着地数字の帳尻を合わすことを生業にする営業職サラリーマンとしては、、、、、、、身につまされ過ぎる、、、、。そう思わざるを得ない様に構成メンバーを仕向けてる企業組織が異常、というのは簡単ですが状態化してれば当人に取ってはそれは「日常」。シビアな競争にさらされ、企業としてそのような緊張を強いた方が(幸運にもこんな事態が発生しなければ)より生産効率が上げられると考え、殆どの組織が似たような状況を程度の差こそあれ内包してるならば、そんな会社は(新聞沙汰にならない限り)「通常」。この本に描かれてる恐怖はあなたの、わたしの日常業務は果たして端から見たとき通常と言えるのか?という疑問を投げかけます。そして私は思います、「異常」としらふで思っていても酔っぱらったフリして踊っている、または踊らざるを得ないという人は結構いると。そんな人にご推薦します。
狂気の本
これは狂気の本です。
この本を読んで、管理体制がどうとか、損切がどうとか言うのはこの本の本質を捉えていません。そういったことに関して、この本は二流です。
この本が凄いのは、罪悪感や謙虚さの欠如から漏れ出る狂気が、著者が図らずも記してしまったと思われる狂気が表されている点です。
信じられますか? この男は自分に自制心があったからこそ損失を30億ドルで止められたのだと、この期に及んで自分を称えています。そもそもの原因は業務でもなんでもない、無断取引を自分が勝手に始めたからなのに、それにも関わらず、です。
本当の狂気がここにあります。ぜひ一読ください。
ちなみに、星が五つでないのは、文章の下手さゆえの−1。
大和銀行巨額損失事件を克明にエキサイティングに記述
1995年米国でおきた大和銀行の現地採用、辣腕トレーダー井口氏の起こした巨額損失、裏帳簿の不正会計事件。大和銀行は井口氏を見放し、米国は井口氏を逮捕、実刑。刑務所暮しを過ごし、出所後に本書を書き下ろす。裏帳簿操作や警察や裁判での綿密な実証を経た故か、本書の記述は極めてリアルでエキサイティングである。この事件から10年近くたち、エンロンもワールドコム?も不正会計事件を起こしている事を考えると、トーレーディングだけがこの種の事件の温床でもなさそうだ。昨今では企業のCSRが盛んになってきたが、不正チェックのしくみのメリットの反面、管理社会の不自由さを感じる。本書を読み、著者が自分の犯した事件に対して自己反省の念を感じないのが、不思議に感じた。会社から事件の責任を一切押しつけられた禍根が無言の意思表現なのかもしれない。文章は文筆家とは思えないほどうまい。