ノモンハンの夏 (文春文庫)

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ノモンハンの夏 (文春文庫)


文藝春秋

価格(new/used): 660 円 / 160 円 より
発売日: (2001-06) アマゾン売上ランキング: 9566 位
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 21件

今こそ読まれるべき作品
 内容は他のレビューに詳しいので、読書歴の一部として書いておくだけにするが、読後に来るのは圧倒的な怒りと、どうしようもない虚無感である。日本陸軍の馬鹿さ加減に対する怒りと、でも世の中の仕組みってこうだよね、別に何も変わってないやね、という空しさ。抑えた文章がそれを際立たせる。
 ところで「ノモンハン」と聞いて何の話かわかるのって、どの世代までだろう。私は三十代で読んで、今、四十だが、他のレビュアーも何となく近い世代かなーと感じる。できたらもうちょっと若い世代にも読んでほしい作品である。「知らない」ということほど怖いことはない。
 
平成のニッポン国民の知性も心配に・・・
この本は資料としても文学としても読み応え十分です。
私が当作品を読んで一番衝撃だったのは、
ノモンハン事件当時、日本国民の世論が、
完全に親ナチス・反英米だった事でした。
三国同盟を締結せんと画策していた帝国陸軍が
マスコミを使って世論を誘導したかもしれませんし
外国の情報機関の工作員の仕事かもしれません。
しかし、"絶対悪"ヒットラーと手を組むことは
日本国民の民意でもあった事は事実です。
この本を読んで帝国陸軍の組織腐敗を嘆いたり
高級参謀の無能ぶりを嘲笑ったりするのは簡単ですが
過ちから学ぶ必要があるのは軍人だけではなく
現在の日本を生きる私たち国民一人一人もそうです。
今も昔も、世論や民意がマスコミによって作られています。
日本国を再び過ちを犯す国にしたくなければ、
我々国民がもっと賢くなるしか他に道はないわけです。
この本は平和を願う日本国民必読の書です。
安全な場所にいる人間が唱える現場主義とは
この本は、ノモンハンにおける戦いについてのミクロな話ではなく、国際政治の文脈の中に位置づけた上での
ノモンハンの話、もしくは、ノモンハンという地点に最終的に結実された日本および諸外国の政治的・軍事的
意思決定のプロセスについて語った本、もしくは、日本陸軍幹部、および政治的指導者がいかにダメダメだっ
たかということを語った本である。
ノモンハンの戦いの詳細を知りたいのであれば、アルヴィン・D. クックスの「ノモンハン(全四巻)」がよいかと。残
念なことに冷戦前に書かれているのでソ連側の資料、とりわけソ連崩壊後に発掘された資料を参照すること
ができなかったけども。また、ソ連崩壊後に発掘されたソ連側の資料をもとに書かれた「ノモンハン事件の真
相と戦果」という本もあるので参照されたい。
ジューコフファンは必読
満蒙国境紛争が日ソ戦に発展したノモンハン事変ネタだが、
ヒトラーやスターリンのエピソードも多く紹介されている博覧強記の書。
ノンフィクションだが、小説並みに人物の内面の心理描写もされてます。
なんで、そんなことまで判るの?
と疑問に感じる箇所もあるが、まあ、若気の至りとして許してあげましょう。
ヒトラーとスターリンの801小説としても読めます(読むなよw)
で、世界一の悪で阿呆な大日本帝国軍ネタは、
最悪の軍人は辻政信であったと理解出来ます。
他の作品はけっこう筆を押さえて冷静に書いているが、
これは、絶対悪辻政信に対しての怒りが迸ってます。
ソ連軍ファンにはジューコフ将軍の大活躍に胸が躍るであろう。
ノモンハン事変でジューコフは日本軍に32%もの死傷率を与えた。
日本軍の主力の第23師団に対しては76%もの見事な包囲殲滅戦を完遂した。
太平洋戦争でもっとも悲惨とされるガダルカナルの戦いでも34%である。
包囲殲滅戦の教科書とされるジューコフの見事な戦いに酔いしれろ!
やりきれないのは、名将ジューコフの包囲から脱出したわずかな日本兵は、
敵前逃亡の罪でほとんどが死刑にされているのだよね。
法廷も開かれずに病院で暗殺された下士官もいた。
日本人の敵は大日本帝国軍の高級将校であったことがよく判る良書である。

日本を世界戦争へ導いた大事件
後の太平洋戦争につながっていくきっかけとも言えるノモンハン事件を描く大作。
戦場の軍人が統帥権をもつ天皇の意向を無視して暴走する様がありありと描かれ、数万人の死傷者を出してもなお自らの非を認めない高級将校に対する怒りがこめられた表現が多くみられます。
特に、悪名高い辻政信参謀に対しての批判は極めて厳しいのですが(もちろん、批判されてしかるべきなのですが)、その表現が幾分感情的に感じられ、単なる辻批判本と受け取られかねないところは若干残念でした。
とはいえ、ノモンハン事件そのものだけでなく、当時の国際情勢、特にヒトラーのドイツとスターリンのソ連の駆け引き、伊英仏の思惑など、複雑を極めた世界のパワーバランスが丁寧に描かれていて、日本にとってのノモンハン事件が単なる局地的戦闘でなかったことがよく理解できます。
とにかく資料の膨大さに感服します。ノモンハン事件のことを全く知らない人は、消化不良になるかもしれません。同じく文春文庫の「失敗の本質」第一章で予習をしてから読むことをお勧めします。