炎環 (文春文庫 な 2-3)

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炎環 (文春文庫 な 2-3)


文藝春秋

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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 3件

鎌倉幕府成立の影を詳らかに
永井路子先生の出世作にして直木賞受賞作でもあるが、充分それに価値する作品である。

鎌倉幕府成立をどちらかと言えば陰で支えたと言って良い立場の4名それぞれの処し方を
紹介しながら、表の主人公である頼朝や義経の考え方や性格を詳らかにすると共に、
鎌倉幕府成立〜黎明期を刻銘に描き出すことに成功している。

面白いのは単純な短編集を思わせながら、4つの話を続けて読むことによって筆者が読ませたい
情景を浮き上がらせようとしているまさに「環」の関係にあり、非常に斬新な試みと言える。

また4作品の中で北条保子(政子の妹)を扱った「いもうと」以外の3作品(すなわち武将を扱った物)
はそれぞれの死の場面まで描かれているのも本作の特徴の一つである。命の炎燃え尽きるその時
まで戦い(戦だけではなく、政略・戦略的にも)、結果としての権力を掴みかけては死に、
そして最後に北条義時が覇樹を打ち立てるところで話が終わっていくのが、なんとも象徴的
である。

可能であれば永井先生の「つわものの賦」とセットで読むと、より広い視野で鎌倉幕府成立を
確認することが出来、おすすめである。
時代の大きなうねりを感じさせる本
一人一人が主役のつもりで必死に生きているうちに、いつの間にか流れが変えられていく・・・。

この小説は、阿野全成(源頼朝の異母弟,義経の同母兄)・梶原景時・北条保子(北条政子の妹)・北条義時の4人の視点から見た4つの話から成りたっている連作物である。長編でもなく独立した短編でもない「連作」というスタイルを取ることによって、実に見事に歴史の流れを描き出している。これこそが歴史の本質ではないか・・・と思わせられる。

また、全成や保子のような歴史上あまり有名ではない人物に光を当て、そちらの視点から見た時代を感じられるのも興味深い。

司馬遼よりも好きになれるかも
鎌倉 その時代にして、その日と、その人の話。 全成 北条政子 とバトンタッチで描かれていく世界は、 納得と理解の連続である。司馬遼太郎的な寄り道感は無いが、その独特の手法に300p一気に読みきれる。