椅子がこわい―私の腰痛放浪記 (文春文庫)

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椅子がこわい―私の腰痛放浪記 (文春文庫)


文藝春秋

価格(new/used): 450 円 / 1 円 より
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[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5 / 総数: 20件

腰痛闘病記がとてもわかりやすい。
さすがに文章がうまいので、引き込まれて最後まで読んでしまった。
夏樹静子の腰痛は、色んな検査をしても、器質的な疾患が明確に
ならなかった。
そこで、考えられるのは、心の病である。
しかし、夏樹静子はそれが納得できなかったので色々と治療を試みる。

この本を読んで、器質的な疾患がなくて、身体に疼痛がある時は、
心の病を疑う必要があるということが、少し理解できた。
腰痛治療行脚からの生還
売れっ子作家が、作家としてのスタイルを変えようと模索する時に、腰痛に苦しみ、広い交友関係を利用し、
ありとあらゆる治療を受け、最終的に心療内科で快方に向かうまでを伝えている。現役の作家自身が
思いもよらぬストレスを抱え、腰痛の治療にかけずりまわり、その地獄から生還するまでを、治る見込みのない
時から書かせた文藝春秋の商魂!も凄まじい。

西洋医学、東洋医学、霊まで出てくる。実名で著者の治療には無力だった名医たちが次々に出てくる。
作家の森村誠一さんも同時進行でおなじ治療を受け、著者とは異なり快方に向かうことも書かれている。
河合隼雄先生へも編集者を介して相談している。著者は、ネアカで、頭の回転が早く、思い込みも
激しい性質と描かれている。早口で治療者と向かい合って行くさまは、サスペンスさながらだ。

最後の最後に「心でこんなに痛くなるはずはない」と否定していた主人公が「心だから無限の痛みを
作ることができる」と、さらにネアカなはずの主人公が抱えていたストレスの存在に『気づく』。
そして、快方に向かって行く。詳細に書かれた本書で追体験することにより、多くの腰痛難民が
救われるのではないかと感じる。
無名の勤務医の立場から
私は民間病院に勤務する、無名の勤務医です。
多方面の検査では異常は見あたらないのに、腰痛や背部痛を訴える方に、頻回に遭遇します。
その痛みは激烈であり、時には痛みの部位が移動したりするのが特徴です。
老若男女を問わず、患者さんの数は非常に多いです。
非常に多い、という事を、特に強調したいです。

私は、本書を読んで、少々もどかしく感じました。
著者は、ご自分に合った治療法に巡り会うまで、随分遠回りをされました。
各界で名医と称される多くの医師や治療者の診療をはじめ、話が「霊」にまで到達しているのには、少々驚きました。

私なら、こういう場合は、心理的側面を重視し、懇意の臨床心理士の先生に、まず相談します。
経験から言って、時間は少しかかりますが、その方向の適した治療法の紹介で、たいていは劇的に症状が改善します。
問題は、この、心理的側面の可能性の問題を、患者さんに説明しても、なかなか信じてくれない事です。

そういう意味で、本書が世間に与えた啓蒙は大きいです。
本書では触れられていませんが、最近は、激烈な腰痛を訴えるニートの若者も激増しているとも感じます。

本書の登場以来「信じてくれる」患者さんが増えました。
信じてくれない方には、本書の一読をお勧めしているのですが、目から鱗だという反応が得られる事も多いです。

こういうケースでは、私の様な、無名の勤務医の言葉は重くはないです。
「劇場のイドラ」かも知れませんが、著者のネームバリューの持つ力は大きいです。

本書は殊の外壮絶です。
固定観念が覆される
腰痛の原因は筋肉や骨の異常である、心身症にかかるのはネクラな人であるといった固定観念が覆されます。心の問題は恐ろしい肉体的苦痛をもたらすことがある、ネアカで悩みを自覚していない人でも心の問題を抱えている可能性があることがわかりました。

頑固者の固定観念を打ち砕く壮絶な絶食療法にも驚きました。心と身体の関係についていろいろと勉強になります。
心の病気が見えた瞬間
自分では気がつかない、気がつきにくい心の病。
真面目で思慮深い夏樹静子さんだからこそかかった心の病気。それがまさか具体的な「激痛」に変化してはじめて気がつく。
私は同じように「ストレス」の恐さを知っているから泣いてしまった。
医者と静子さんの葛藤は凄まじい。
どうかこのレビューを読まれた皆さんにも読んで欲しい。
人の心の深さ。ありえない事が本当に起こった。これは事実です。

迷うメガネデブ